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脊柱管狭窄症の名医 第2部第4章

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第4章 その他の痛み:脊柱管狭窄症以外の脚の痛み

 脚に痛みがあり、整形外科で脊柱管狭窄症と診断されると痛みの原因をすべてこの病気のせいに思いがちです。
 しかし、鼡径部や膝まわりに痛みがある場合はむしろ痛みが出ている場所に直接の原因がある場合のほうが大半です。

 本章では特に多い鼡径部の痛みと膝の痛みに対する運動方法を紹介します。


鼡径部の痛み 

 股関節の内側の筋肉(内転筋群)が硬くなるとその付け根の部分が痛くなります。硬くなった内転筋群のストレッチと、反対側にある股関節の外側の外転筋を鍛える運動が基本となります。

鼡径部の運動1内転筋ストレッチ座位

060 061

左右の足の裏をあわせて座ります
体を前に倒します。ここで20秒止めます

あまり痛みが強く出る場合は無理に行わないでください

鼡径部の運動2 内転筋ストレッチ臥位

062 063

膝を立てて寝ます
両足を開きます 限界まで開いてこの状態で20秒止めます

064 065
写真のように足を置く位置によってストレッチがかかる場所が移動しますので一番引っ張りを感じる場所で伸ばしてください


鼡径部の運動3 外転筋運動1

066 067
下がわの脚の膝を曲げて横向きに寝ます
まっすぐ上の脚を上に上げます。ここで10秒止めます

負荷が軽すぎる場合は足首に重りをつけて行ってください

悪い例
068 上から
このように股関節が曲がってしまってはいけません

正しい方法
069 上から
このように脚が曲がらないように上にあげます。

鼡径部の運動4 外転筋運動2

066 067
下がわの脚の膝を曲げて横向きに寝ます
まっすぐ上の脚を上に上げます。これを20回繰り返します。

負荷が軽すぎる場合は足首に重りをつけて行ってください

悪い例
068 上から
このように股関節が曲がってしまってはいけません

正しい方法
069 上から
このように脚が曲がらないように上にあげます。

膝の痛み

 膝周りの筋肉が衰えると膝に負担がかかりすぎて痛みが出ます。膝の周りの筋肉をほぐしつつ、特に膝の内側の筋肉を鍛える事が改善に重要です。

膝の運動1 膝の振り子運動

070 071
振り子のように膝をぶらぶらします。

足が床につかない高い所に座って行えると理想的です。

反対側の脚が痛くなければ立ちながら行ってもらっても結構です。
072 073

特に1日何回という事ではなく、痛みがある時にちょくちょくしてください。


膝の運動2 膝を伸ばす運動

074
力いっぱい膝を伸ばして10秒止めます

鍛える運動なので力いっぱい行ってください。
この運動は膝の痛みの一番基本的な運動となります。


膝の運動3 膝を閉じる運動

075
タオルなどを挟み、膝を力いっぱい閉じ10秒止めます

鍛える運動なので力いっぱい行ってください。
タオルを挟まなくても良いのですが、なにか挟んだ方が力が入りやすくなります。

膝の運動4 複合運動

076
写真のように膝の間にタオルを挟み、力いっぱい膝をとじて、力いっぱい膝を伸ばします。
この時体ができるだけ後ろに倒れないように、身体を起こしておきます。

注意点
077
このように、深く座ると簡単にできてしまい負荷がかからなくなります。

膝の運動2と膝の運動3の効果を同時に出す運動です。負荷の強い運動なので辛ければ無理に行わず、運動2と3を行ってください。


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脊柱管狭窄症の名医 第2部第3章

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第3章 追加練習

 最も優先順位が高いのは第1章の内容で、その次が第2章のバランス練習です。さらに追加して運動を行う事ができるのであれば本章で紹介する運動を追加して行ってください。

 反対に、運動の種類を多くしようとして第1章の基本の運動を行う回数が減ってしまうくらいならここで紹介する運動を行う必要はありません。

 この章で紹介する運動は少し負荷が強いものが多いため、体力的に辛ければ無理に行わないでください。
 また、運動を行う事で痛みや痺れが強く出るようであれば無理に行わないでください。

運動1 腹筋の等尺性運動

036 
037

写真のように自分の横腹に指を押し当てます
腹筋に力を入れて自分の指を押し返します。ここで10秒止めます

これは筋トレなので、力いっぱいお腹に力を入れて行ってください。

注意点
高血圧の人は行わないでください。


運動2 四つ這いでの腹式呼吸

038
039
040

四つ這いになります
お腹を膨らませながら鼻から息を吸います
お腹を凹ませながら口から10秒かけて息を吐きます

これを続けて10回行います。

第1章で紹介した腹式呼吸の代わりに行います。こちらの方が負荷が強くかかります。

注意点
高血圧の人は無理に行わないでください。


運動3 体幹筋トレーニング

041 横から
042 上から

写真のように腕と脚を水平に上げて45度開きます
この姿勢で腹筋に力をいれながら30秒止めます

もし難しいようであれば、写真のように脚だけを上げて行います。
043 044

悪い例
写真のように、脚や腕が下がってしまったり上がり過ぎてしまってはいけません。
045 046


運動4 背伸びの運動1

047 048
壁に手を当てて立ちます
背伸びをします。ここで10秒止めます

注意点
 手は添える程度で、あまり手に体重をかけずに行ってください

悪い例
049
手にあまり体重がかからないように行ってください

050
片方の脚に体重が偏らないようにしてください

051
膝が曲がらないようにしてください

運動5 背伸びの運動2

052 053
壁に手を当てて立ちます
背伸びをします。これを20回繰り返します。

注意点
 手は添える程度で、あまり手に体重をかけずに行ってください

悪い例
049
手にあまり体重がかからないように行ってください

050
片方の脚に体重が偏らないようにしてください

051
膝が曲がらないようにしてください


運動6 片脚で背伸びの運動1

054 055
壁に手を当てて片脚立ちで立ちます
背伸びをします。これで10秒止めます

注意点
 手は添える程度で、あまり手に体重をかけずに行ってください

悪い例
056
手に体重をかけ過ぎてはいけません

057
膝が曲がってはいけません

運動7 片脚で背伸びの運動2

058 059
壁に手を当てて片脚で立ちます
背伸びをします。これを20回繰り返します

注意点
 手は添える程度で、あまり手に体重をかけずに行ってください


悪い例
056
手に体重をかけ過ぎてはいけません

057
膝が曲がってはいけません


本章のまとめ

 特に腹筋を鍛えたい場合は運動1と運動2を、腹筋と背筋を鍛えたい場合は運動3を行います。
 特にフクラハギを鍛えたい場合は運動4から運動7を可能なレベルで常態に応じて行ってください。前章のバランステストの結果が悪かった人はこの背伸びの時に使うフクラハギの筋肉が弱くなっているかもしれませんので一度試してみると良いでしょう。

 第1章の基本の運動とは異なり、力いっぱい限界の力で行ってもらえば1日1回でも効果があります。もちろん回数を増やせば効果も上がりますが、本章の運動は負荷が強めなので、やりすぎて痛めてしまう場合もあります。あまり無理をしないでください。

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脊柱管狭窄症の名医 第2部第2章

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第2章 バランス練習

前章の基本の運動の次に優先順位が高いのがバランス練習です。このバランス練習は、練習であるとともにバランステストでもあります。
まず一度この章で紹介する順に、あなたのバランス能力の現状がどの程度であるかを確認してみてください。

バランス1から順番に難易度があがっていきます。

注意:バランス練習を追加したせいで第1章の基本の運動を行う回数が減ってしまうくらいなら無理にバランス練習を追加しないでください。

バランス1 開眼閉脚立位 

018
写真のように目を開けて左右の足をぴったりつけてまっすぐ立ちます。
この状態を20秒保ちます

悪い例
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

バランス2 閉眼閉脚立位

019
写真のように目を閉じて左右の足をぴったりつけてまっすぐ立ちます。
この状態を20秒保ちます

悪い例 020
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

バランス3 開眼継ぎ足立位
021
写真のように片方の足のつま先と反対の足の踵をつけて、両足を一直線にして立ちます。
目を開けたままこの状態で20秒保ちます

022
同様に、左右の足をいれかえてもう一度行います。

悪い例 023
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

左右の足を入れ替えて、バランスのとりやすさが変わるようなら、身体に左右の歪みがある事を示唆しています。

バランス4 閉眼継ぎ足立位
024
写真のように片方の足のつま先と反対の足の踵をつけて、両足を一直線にして立ちます。
目を閉じてこの状態で20秒保ちます

025
同様に、左右の足をいれかえてもう一度行います。

悪い例 026
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

左右の足を入れ替えて、バランスのとりやすさが変わるようなら、身体に左右の歪みがある事を示唆しています。

バランス5 開眼片脚立位
027
写真のように片脚で立ちます。
目を開けたままこの状態で20秒保ちます

028
同様に、左右の足をいれかえてもう一度行います。

悪い例 029
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

左右の足を入れ替えて、バランスのとりやすさが変わるようなら、身体に左右の歪みがある事を示唆しています。


バランス6 閉眼片脚立位
030
写真のように片脚で立ちます。
目を閉じてこの状態で20秒保ちます

031
同様に、左右の足をいれかえてもう一度行います。

悪い例 032
このようにフラフラしながら20秒保ててもダメです。

左右の足を入れ替えて、バランスのとりやすさが変わるようなら、身体に左右の歪みがある事を示唆しています。

本章のまとめ

 バランスをとる為には足の指や足の裏など、足首から下の筋肉の働きが重要になります。ここが衰えると、下で支えきれない負担が上に来てしまい、歩く時に腰に負担が多くかかるようになってしまいます。この負担は脊柱管狭窄症を悪化させるものとなります。


 本章で紹介したバランステストは基本的にバランス1から順に難しくなり、バランス6が最も難しくなります。
ただし、人によって多少この難易度の順番が変わる事があります。バランス5よりバランス4の方が難しいという人も多くおられると思います。
 この様な人はバランスをとるうえで視覚に頼っている所が大きいという事を意味します。薄暗い所では転倒する可能性が他の方より高くなるので注意してください。

 このバランス能力についてですが、バランス6は若くて健康な人でも少し難しいためこれができる人はバランス練習を行う必要はありません。

 高齢者が安全を保つ上で必要とされるのはバランス5の「目をあけて片脚立ちで20秒」です。これが可能となるように練習をしてもらうと良いでしょう。

 もしバランス3の「目を開けて継ぎ足」が難しいようであれば要注意です。転倒の可能性がかなり高いという事を意味します。

 練習の回数は特に指定しませんが、多く行うほど良いです。ただし練習を行う事自体で痛みや痺れが強く出て辛い場合は無理にバランス練習を行う必要はありません。

バランスが悪い場合

バランス2の「閉眼閉脚立位」が出来ない場合、杖などを用いて転倒予防と足腰への負担軽減を心掛けたほうが良いでしょう。多くの場合自分にはまだ必要ないと思いがちです。しかし、客観的に見ればあなたの足腰はもうバランス3レベルかそれ以下なのです。

① T字杖 033
最も一般的な杖。悪い方と反対側の手で杖を持ちます。例えば右脚が悪い場合は左手で杖を持ちます。

② ウォーキングポール 034
ウォーキング用の2本杖。歩行練習に最もおすすめの優れもの。ただ両手がふさがるため日常での利用は不便な場合もある。

③ シルバーカー035
見た目を気にしなければ最も便利で足腰への負担が少ない。疲れたら座れるものも多いので便利。


ご家族の方へ
 もしこの本をご家族の方が読まれていたら、是非気をつけて頂きたい事があります。バランステストをしてバランス2以下の場合、非常に転倒の危険性が高いという事を意味します。この場合は本人が大丈夫だと言っても外出時は杖などを持たせるべきです。

 危ないからと杖を持てといっても本人はマジメに取り合わないかもしれません。本人は本気で大丈夫だと思っているのです。しかしバランス3のテストができないレベルであれば、客観的にみて大丈夫なわけがありません。

脊柱管狭窄症は進行すると歩けなくなる病気ですが、転倒して骨折すればすぐにでも歩けなくなってしまいます。
 屋外よりも自宅内で転んで骨折をする人のほうがが多いので、自宅に手すりをつけるなどできれば最良です。
 また夜中にトイレに行く時など、暗いと転倒しやすいため常夜灯を用意したり廊下は夜中でも電気をつけっぱなしにしておくなどの対応を考えたほうが良いでしょう。

 このバランステストは目を閉じて行うと格段に難しくなります。それくらい人は視覚にバランスを依存しているため、暗いとそれだけで各段に転びやすくなるのです。

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脊柱管狭窄症の名医 第2部第1章

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第1章 基本の運動

運動1 連続歩行距離の計測

方法
途中で腰を曲げたり、座り込んだりせずに、休まず続けて歩ける距離を計測します。

 距離で測れると最も良いのですが、難しいようであれば万歩計をつけて歩数でカウントするか、何分歩けるかを時間で計測します。

 できるだけ毎日同じ条件で測れるのが理想です。毎朝同じ道を歩いたり、杖を持って歩くなら毎回杖を持って歩いて測ってください。
 何かのついでに測るのではなく、わざわざこの連続歩行距離を測る為だけに時間をとってウォーキングをしてもらえるとこの数字の信頼性が高くなります。


注意点

 この数字を毎日測ってもらい、この数字が伸びているかどうかで改善しているのかどうかを判断します。日常生活での痛みや痺れの感じ方が変わらない場合でもこの数字が伸びていくなら継続して同じ運動を行うべきですし、1か月運動を継続してもこの数字が変わらないのであれば同じ事を継続するべきではありません。

 歩き方や姿勢、歩行速度などは気にせず、毎回同じ数字を比較する事を基本とします。距離なら距離で、歩数なら歩数で、時間なら時間で毎回測ります。

 歩いた後に何時間も痛みが悪化したり翌日に痛みや疲労を持ち越すほど無理をしないでください。

 最終的な目標は、痛みなく歩く事が出来る距離を伸ばす事により、日常生活で立ったり歩いたりする程度では痛みや痺れが現れないようにする事です。


運動2 お尻の筋肉と腰のストレッチ

方法
001 002
写真のように脚を組みます
そのまま体を前に倒します
このまま20秒間止めます

誤003 正004
このように下になる脚が倒れてしまってはいけません。

このようにあまり脚が開いてしまってはいけません。
誤005 正006

もし、痛みが強く出たり、膝に痛みが出る場合は無理にこのストレッチを行わなず、代わりに以下の方法で腰を曲げてください。

007

注意点
特に男性に多いのですが、強く引っ張れば早く良くなるわけではありません。すこし張りを感じる所で止めてください。強く引っ張りすぎると伸びずに傷めてしまいます。
 回数は多く行ってもらうほど良いのですが続けて続けて10回20回と行うのではなく、30分~1時間ほど開けて行ってください。
 最低でも朝・昼・夜の3回は行ってください。


運動3 腰の屈伸運動

008 009

写真のように背中を丸めて腰を曲げます
写真のように背筋を伸ばします
この曲げ伸ばしをゆっくり1分間続けて行ってください。

動きが早くなると意味がありません。特に曲げる時にはゆっくり深く曲げてください。

悪い例
010
このように体が前に倒れてはいけません。むしろ後ろにもたれるくらいの気持ちで腰を曲げてください。

別方
もし上記の方法で特に背筋を伸ばす時に痛みや痺れが強く出る場合はこちらで行ってください。

008 009
手順1
写真のように背中を丸めて腰を曲げます
写真のように背筋を伸ばします
 これを3~4回繰り返します
手順2
011 012
このように体を左右にひねります
これを左右2~3回繰り返します
手順1の曲げ伸ばしと、手順2のひねる運動を交互に1~2分繰り返します。

 すべて動きが早くならないよう、ゆっくり行ってください。

この運動も続けて行うのは1~2分程度までにしてください。反対に回数は多く行ってもらう方が良いので1時間おきにやってもらっても結構です。最低でも朝・昼・夜の3回は行ってください。
1回にあまり長く続けて長く行うのは逆効果となります。

運動4 腹式呼吸

013 014
お腹を膨らませながら鼻から息を吸います
お腹を凹ませながら口から10秒かけて息を吐きます

悪い例
015 016
写真のように、息を吸うときに背中が反ったり、息を吐く時に背中が丸くなってしまってはいけません。

健康法として常にこの腹式呼吸を行ってもらっても良いのですが、反対に忘れそうな場合は運動方法2のストレッチや運動方法3の運動を行う時に続けて10回ほど続けて行うと良いでしょう。

第1章まとめ

 脊柱管狭窄症を改善するために行う運動の基本がこの章で紹介した4つの運動を毎日行う事です。
 最低でも1日1回は運動1の連続歩行距離を測り、毎日最低でも朝昼晩の3回運動2~4の運動3つを行ってください。

 たくさんの運動を少しずつするくらいなら、1時間おきに基本の運動2~4をしてください。
あと、連続歩行距離を測るのは1日1回でも良いのですが、痛みが残らない範囲で休みながらでよいのでたくさん歩いてください。万歩計をつけて1日の歩数を追うと良いでしょう。

 自主練習の基本は、ここで紹介した運動2~4をできるだけたくさん行う事と、痛みが残らない範囲でたくさん歩く事です。

 もし歩くのが辛い方は、自転車で少し息があがるくらい運動を行ってください。自転車こぎを運動として行う場合は1回20分~30分が目安となります。

 もし自転車エルゴメーターをお持ちの方はもちろんそちらでも結構です。ペダルの重さは軽くても良いので、20~30分こぎ続けられる強度に設定してこいでください。

自転車エルゴメーター 写真
017


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脊柱管狭窄症の名医 第2部

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第2部 改善方法

 ここでは脊柱管狭窄症を改善するための運動方法をお伝えして参ります。ここでは全体としては多数の運動方法を紹介しますが、大切なのは一つでも良いので継続して一日に何度も行ってもらう事です。

 10個の運動を1日1回するよりも、一つの運動を1日10回するほうがはるかに有益です。

 また、続けて1か月は行わないと効果が出ているかどうかを判定する事もできません。だから、第1章の基本の運動だけでも良いので1か月くらいは毎日継続して行ってみてください。
 運動を行った後に痛みや痺れが強くなったり、1か月続けても良くならない場合は中止してください。

 脊柱管狭窄症は進行すると歩けなくなる高齢者特有の老化現象です。手軽に治す事もすぐに治す事も絶対にできません。
 反対に、ここで紹介する程度の運動を毎日行うだけでもきちんと続ければよくなる人はたくさんいるのです。

 是非一度試しに行ってみてください。それだけであなたが歩ける期間が10~20年程くらい延長できる可能性があるのです。


※注意点
行った後に痛みや痺れが強くなる場合は行わないでください。


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脊柱管狭窄症の名医 第5章

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第5章 脊柱管狭窄症以外の病気について

冒頭で少し触れましたが、図001のような場所に痛みや痺れが出る場合でも以下のような痛みの出方の方は注意が必要です。

・座り込む時、立ちあがる時につらい
・朝起きてすぐが一番つらい
・長く座っているとつらい、次に立つ時に痛い
・歩きはじめ等、動作の開始時に痛む
・腰を曲げてかがむのがつらい
・中腰の姿勢が非常につらい

 本来、脊柱管狭窄症ではこのような症状の現れ方はしません。ひょっとしたら他の病気を併発している可能性もあるのです。
 図001のような症状つまり坐骨神経痛が現れる疾患は脊柱管狭窄症以外にもいくつか存在するからです。
 脊柱管狭窄症以外で坐骨神経痛を引き起こす最も頻度の多い疾患が、椎間板ヘルニアと梨状筋症候群です。


坐骨神経津を引き起こすメジャーな疾患:椎間板ヘルニアと梨状筋症候群

椎間板ヘルニア
図010
 椎間板の中心にある髄核とくゼリー状の物質が椎間板の外側(線維輪)の軟骨を突き破ってしまい神経を圧迫した状態。

梨状筋症候群
図011
 お尻の筋肉が硬くなり、背骨ではなくお尻の部分で坐骨神経を圧迫している状態。お尻の筋肉が凝り固まっている状態。
厳密には腰ではなくて股関節の問題だが、神経を圧迫するので太ももや膝から下まで痛みや痺れを引き起こす事も多い。
 
椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の鑑別法
005
写真左のように腰を曲げた時に痛みや痺れがでると椎間板ヘルニア。脊柱管狭窄症の場合は曲げても痛みはないが写真右のように腰を反らすと痛みや痺れが出る。曲げても反っても痛みが強くなる場合は脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアを併発している可能性がある。

※状態によっては曲げても反っても症状が出ないため詳しくは専門医に相談してください


梨状筋症候群と脊柱管狭窄症の鑑別法
※以下はあくまでも簡易な鑑別法です。気になる方は専門医に一度相談してください。

鑑別法1
痛みのある側の足に体重をかける→体をひねる 
006
注意点:ひねる前も後もつま先は正面を向け動かさない
007
このようにつま先が外向きにならないように注意

体重をかけてひねった時に痛みや痺れが強くなる場合は梨状筋症候群を疑う


鑑別法2
写真のように脚を組む
008 009
痛みのある側が009のようにスネの角度が立っている場合は梨状筋症候群を疑う

鑑別法3 
写真の様に脚を組む→体を前に倒す
008→010 009→011
脚を組んだ時点でスネの角度に左右の差がなくても、体を倒した時に痛みが出たり、痛みが出ている方の筋肉の張りを強く感じる場合は梨状筋症候群を疑う


注意点

 ここで紹介した鑑別法で椎間板ヘルニアや梨状筋症候群に当てはまった場合でも、医療機関で脊柱管狭窄症と診断されていれば脊柱管狭窄症である事は間違いありません。

 脊柱管狭窄症という診断が誤診なのではなく、脊柱管狭窄症とこれらの疾患が合併している可能性があるという事なのです。

 特に梨状筋症候群は脊柱管狭窄症に非常に併発しやすいため注意が必要なのですが、筋肉が原因であるためレントゲンやMRIに写りません。そのため見落とされがちなのです。

脚の痛みを引き起こす疾患

 坐骨神経痛ではなく、純粋に脚の痛みを引き起こす疾患です。膝のまわりや鼠径部に痛みがある場合、脊柱管狭窄症以外にもその痛みが出ている部分の疾患を併発している場合が多いのです。

 以下の疾患は進行すればレントゲンで問題がわかる病気ですが、レントゲンで異常がみられる前の段階でも強く痛みを引き起こす事があります。

鼠径部通
 脚の付け根の内側の部分(鼠径部)に痛みが出る場合は脊柱管狭窄症の痛みとは分けて考えばければなりません。股関節の内側の筋肉(内転筋群)が硬くなってしまってその付け根の部分に痛みが出ている可能性があります。
 股関節周りの筋肉が弱くなるとよく引き起こされます。股関節まわりの問題なのですが、レントゲンをとっても股関節の骨には特に問題が映らない事が大半です。


変形性膝関節症
 膝の周囲の痛みを引き起こします。膝の内側が痛くなる事が最も多いのですが、膝のお皿の下あたりや外側に痛みが出る場合もあります。
 ある程度進行するとレントゲンで骨の変形を確認する事ができますが、レントゲン画像で問題が映っていなくても膝の半月板や靭帯が原因で強く痛みが出ている事も多くあります。


まとめ
 脊柱管狭窄症と診断されていても、それ以外の病気も合わせて併発している可能性が高いという事を覚えておいてください。足腰の痛みや痺れの症状をすべて脊柱管狭窄症から来ていると考えるのは危険です。
 むしろ脊柱管狭窄症だけという人の方が少ないかもしれません。このような足腰の加齢による変性が重なる事で人は歩けなくなっていくのです。

 これこそが、この病気が腰の手術をしても良くならない人が多い理由の一つなのです。

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脊柱管狭窄症の名医 第4章

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第4章 一度発症した脊柱管狭窄症がなぜ治るのか

脊柱管狭窄症は背骨が変形して神経に食い込む病気です。しかし、神経に食い込んでいる背骨を切り取る手術をしなくても「良くなった」「治った」という人が、常に一定の割合で存在します。あなた自身もこういう体験談をどこかで見たり聞いたりした事があるのではないでしょうか?

 これはどういうことなのでしょう。

 冒頭でも少し紹介したように、平均66歳のグループでMRIをとったところ77.9%の人に中等度以上の脊柱管の狭窄がみつかったというデータがあります。(※
 脊柱管の狭窄というのは、背骨が変形して背骨の中で神経が食い込んでしまっているという意味です。

 しかし興味深いのは、その中で痛みや痺れなどの自覚症状があったのは17.5%しかいなかったというのです。

 あとの大半の人は、脊柱管の狭窄が中等度以上に進行しているにも関わらず、痛みも痺れもないのです。きっと、このような実験でもしなければ本人達は自分に脊柱管狭窄がある事に気づく事すらなかったでしょう。

 脊柱管狭窄症の痛みや痺れは老化現象が複合して引き起こされるものなのです。そのため、MRIで見ると重度の脊柱管狭窄があっても痛みも痺れもないという人もいれば、反対にMRIで見る限りでは軽度の脊柱管狭窄でも強く痛みや痺れを訴える人もいます。

 これは一度脊柱管狭窄症の痛みや痺れが出てきても、老化による衰えを改善する事でこの病気の症状を改善する事が可能であるという事を意味します。

 実際に一度発症しても治ったという人は、そういう人達なのです。

 しかし、多くの場合一度痛みや痺れが出始めると、この病気は進行していく人の方が多数派です。
 この病気になると歩くと辛いため、歩いたり動いたりする事が少なくなり活動量が低下しがちです。そうなると、各組織の衰えがさらに進んでしまいさらに痛みや痺れを強くします。これが脊柱管狭窄症の最も一般的な進行のしかたです。つまり、この病気は安静にしているとどんどん病気が進行してしまうのです。

筋肉の衰えを改善すればこの病気は良くなる

 背骨の変形以外で最もこの病気と関係が深いのは筋肉です。筋肉が衰える事で、背骨にかかる負担が増えてしまい、痛みや痺れを強く引き起こす事になります。

筋肉の衰え方
1:筋肉が硬くなる(柔軟性の低下)
2:筋肉が疲れやすくなる(筋持久力の低下)
3:筋力低下(力が弱くなる・筋肉が細くなる)


それぞれの問題点を以下に述べてみます。

1:筋肉が硬くなる(柔軟性の低下)
 歳をとると自然と体が硬くなります。これは筋肉の柔軟性が低下するからです。しかし、この病気の方でも特に女性に多いのですが、前屈をすると手のひらが床につくほど体が柔らかい人もいます。
 ここで上げている柔軟性というのはあくまでも腰の脊柱管狭窄症と関連する部分の柔軟性についてです。どんなに前屈や開脚ができても、それはそもそもこの病気と関係が浅い場所なのです。

 この病気の柔軟性と最も関連が深いのは、背骨の横の筋肉とお尻の筋肉です。

012 013 お尻の筋肉のストレッチ
014 015 腰の屈伸


2:筋肉が疲れやすくなる(筋持久力の低下)
 筋肉が疲労ですぐに張ってしまうような状態です。力が弱いという意味ではありません。一般に足腰を鍛える運動というと筋トレのような事をしてしまいがちなのですが、この筋持久力を向上させるためには負荷の弱い運動を長時間行ってもらうほうが良いのです。
 自転車をこぐなら、楽にこげる道を1時間こいでもらうほうが、上り坂を10分気合をいれてこいだりするよりも100倍効果があります。
 同様に、無理のない範囲で休みながらで良いので翌日に疲労が残らない程度にできるだけ多く歩く事が最も重要になります。
 筋持久力を向上するには、低負荷で良いので長時間の運動が必要となります。


3:筋力低下(力が弱くなる・筋肉が細くなる)
 筋肉が細くなってしまっている場合、純粋な意味での筋力低下が問題となります。言うまでもなく、皮下脂肪で太くても筋肉が細ければダメです。特に女性の場合はこの筋力低下が問題となる事も多い反面、男性の場合はこの筋力低下が純粋に問題となっている事は少ない印象を受けます。この筋力低下と筋持久力の低下の意味を取り違えてしまい、筋持久力を上げなければならないのに筋力を上げるための運動をしている人が、特に男性に多い印象を受けます。
 筋力を向上するためには、回数はすくなくても良いので思いっきり力を入れるような運動をしてもらう必要があります。


男女別の特徴

 男性の場合、体の衰えを改善するために運動を行ってくださいというと、60代でも70代でも、ストレッチは強くやり過ぎてしまい、筋持久力を上げるための運動が必要なのに筋力を上げるための運動ばかり好んで行いがちです。俗にいう腹筋運動やスクワット、ダンベルを持ち上げるような運動などです。

 女性の場合、ストレッチは好んでされる反面、筋力を上げるための運動に対する意識が低い傾向にあります。また、筋肉の衰えを防ぐには肉類を多く食べる方が良いのですが、健康に気をつかっているつもりで野菜ばかり食べて身体が衰えてしまっている方も多くおられます。


まとめ
一度脊柱管狭窄症が発症しても、筋肉の衰えを改善する事で痛みや痺れがなくなる可能性が高い。

 筋肉の衰えの意味を正しく理解する必要がある。


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脊柱管狭窄症の名医 第3章

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第3章 脊柱管狭窄症について:人はなぜ脊柱管狭窄症になるのか

脊柱管狭窄症と坐骨神経痛

 脊柱管狭窄症は腰の背骨が神経に食い込む事で引き起こされる病気です。腰の所で骨が神経に食い込むと、食い込んでいる腰の所ではなくそれよりも下の部分で痛みや痺れが出ます。

 これを坐骨神経痛と言います。

 勘違いされやすいのですが、坐骨神経痛というのは病名ではありません。これは症状の名前です。
 頭が痛ければ頭痛、腰が痛ければ腰痛というのと同じで、図001のような場所に痛みや痺れが出ていれば、原因や病名に関係なくそれは全て坐骨神経痛なのです。

 これに対して、脊柱管狭窄症は病名であり原因を現した名前です。

 図002のように、腰の骨や周りの靭帯・骨と骨の間の椎間板が加齢によって変形したり、上の骨と下の骨がズレたりして、背骨の中の管(脊柱管)の中を通っている神経が圧迫された状態が脊柱管狭窄症です。
 そして、この脊柱管狭窄症は図001のような坐骨神経痛を引き起こす代表的な病気なのです。

 この病気は座っていたり腰を曲げていると神経に対して背骨の食い込みが浅くなるためあまり痛みや痺れが出ません。
反対に腰を反ったり伸ばしたり、立ったり歩いたりすると背骨の食い込みが強くなるために痛みや痺れが強くなります。

なぜ脊柱管狭窄症になるのか

図002のように背骨が変形するとこの病気になるわけですが、なぜ加齢によって背骨にこのような変化が起こるのでしょうか?

 この理由を説明する前に、一度腹式呼吸を行ってみてもらいたいと思います。

001
お腹をふくらませながら鼻から息を吸います
002
お腹を凹ませながら息を吐きます

※呼吸の時に腰が反ったり曲がったりしないように、お腹だけを動かして呼吸を行います。
003 004

 腹式呼吸では、息を吐く時にお腹を凹ませます。この時にお腹が凹むのは腹横筋という腹筋の働きによるものです。

図003腹横筋 図004背筋(多裂筋) 図005

 人は通常、背骨を腹筋と背筋で前と後ろから支えあっています。この時腹筋がしっかり働いてくれると図の赤の部分:内臓で体重を支える事ができます(図005)
 腹筋が衰えると背筋だけで身体を支える事になってしまいます。こうなると、図の三角の部分(背骨)の先端に負荷が集中してしまいます。

 人は必ず腹筋から衰えるように衰える順番が決まっています。だから加齢によって図の右側のような状態、つまり背骨に負荷が集中した状態になってしまうのです。
 このような状態が何年~何十年という時間続くことによって徐々に背骨が変形し、図002のような背骨に変形していってしまうのです。

 腹筋が衰えると図005の右側の図のように、腹筋の力不足を補うために背筋が強く働くようになります。そうすると背筋が凝り固まります。脊柱管狭窄症で腰の辺りに鈍痛を訴える人も多くおられますが、これは背筋が凝り固まって血流が悪くなっているからです。

 このような理由から、背筋の血流不良による慢性痛が若いうちからあるような人は平均よりも早く脊柱管狭窄症になる傾向にあります。

つまり、腹筋が衰えると慢性腰痛や脊柱管狭窄症になりやすいのです。

 昔から「腰が悪い人は腹筋を鍛えなさい」などと言われがちです。しかし、図006のような一般的な腹筋のトレーニングなどを行ってもあまり効果はありません。

 これは腹直筋という腹筋のトレーニングだからです。腰の改善に必要な筋肉は腹横筋という腹筋のトレーニングであり、先ほど紹介した腹式呼吸の時にお腹を凹ませる時に働く筋肉なのです。

 ひとくちに「腹筋」といっても、腹筋には4種類の筋肉があります。内蔵に近い側から順に、「腹横筋→内腹斜筋→外腹斜筋→腹直筋」と並んでいます。腰の状態を改善するためには内蔵に近い側から順に重要なのです。図007


脊柱管狭窄症の外見上の特徴

図008

 脊柱管狭窄症になると腹筋で体を前から支える力が弱くなっている人が大半です。そのため図008ように背骨が曲がって体が前に倒れがちです。また胸郭と骨盤に押されて内蔵は前方に押し出されます。
 腰が曲がったお年寄りを見かける事は多いと思いますが、それはこの様に腹筋の力が不足して体が前方に曲がっているからなのです。

 反対に、特に女性に多いのですが図009左のように腰が反って曲がりにくくなっている人も多く見かけます。
 これは腹筋が弱いのに猫背にならないよう見かけ上きれいな姿勢を保とうと意識している人に多くみられる姿勢です。腹筋が足りない分を過剰に背筋の力で補っているのです。
 この姿勢は見かけ上はキレイなのですが、進行すると図右側のように背骨の下半分が反り過ぎで、背骨の上半分が猫背になっていきます。
 お婆さんにこのような姿勢で歩いている人をよく見かけます。

 いずれの形も背骨の変形であるという点は同じです。脊柱管狭窄症という病気は、背骨が変形しながら固まっていく病気なのです。


まとめ

 この病気になっている人は腹筋の衰えにより腹筋と背筋の力関係が崩れてしまっています。だから適切な運動でこのバランスを改善していく事により改善が可能です。
 また、背骨が変形しながら固まっていく事により背骨が神経に食い込んで痛みや痺れが出る病気なので、同時に背骨の変形・柔軟性を改善していく必要があるのです。

 そのための運動方法が本書第二部の運動方法です。

まとめ
・脊柱管狭窄症は背骨が変形して神経に食い込む病気
・腹筋が衰えると背骨が変形して固まる
・この病気の改善方法は腹筋・背筋のバランス改善と、背骨の変形と柔軟性の改善が必要
・一般的な「腹筋トレーニング」はしない

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脊柱管狭窄症の名医 第2章

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第2章 脊柱管狭窄症の方の心理的な特徴

 脊柱管狭窄症の方と応対する時に受ける特徴がありますので、以下に述べてみます。もし当てはまるようなら注意してください。

・特徴1:腰は痛くないのに・・・

 医療機関で腰のレントゲンやMRIをとって脊柱管狭窄症と診断された人の特徴の一つで「腰は痛くないです」「辛いのはむしろ脚の付け根の所やフクラハギだ」と不思議そうにいわれる人がかなり多くいます。

 これは、「腰の病気だから腰が痛くなるに違いない」という思い込みから来るものです。脊柱管狭窄症の場合、大半の場合腰痛は強く起こりません。腰ではなくて図001のような場所、つまりお尻のあたりから脚に痛みや痺れが起こるのです。これを坐骨神経痛といいます。

 脊柱管狭窄症は、腰の病気ですが腰痛ではなくて坐骨神経痛を引き起こす病気なのです。こういう事を医療機関であまり詳しく説明されないため、「これは誤診なのでは?」といった疑いを持つ人すら多くいるくらいです。

 ただし、長年慢性的な腰痛が続いていたような人はこの脊柱管狭窄症が早く発症します。

特徴2:自分が高齢者であるという意識が乏しい

 脊柱管狭窄症は高齢者にしか起こらない病気です。病気というよりも老化現象の一種であり、足腰が衰えて歩けなくなりつつあるだけなのです。

 私が応対する脊柱管狭窄症の方をみていると、大きな特徴があります。それは、自分が高齢のために足腰が衰えてあるけなくなりつつあるという現実を正しく理解できないという点です。

 自分が高齢のために足腰が衰えてしまっただけなのに、なにか特別な病気にかかってしまったように思われている方がとても多いのです。

 何歳以上が高齢者であるかは議論の分かれる所ではあります。時代によっても変遷があります。


 仕事の定年の年齢は一つの参考になるでしょう。

 平均値で、体にガタがきて満足に働けなくなる年齢が定年です。雇用側から見て満足に働けない人を合理的に解雇するための制度だからです。

 かつては55歳が定年でした。現在は60歳から65歳が定年という所が大半です。

 つまり、この年齢を超えると足腰が衰えて痛みや痺れがでたり、それで歩けなくなったりするのは普通の事なのです。決して特別な病気ではないのです。

 この年齢を超えると、本書で紹介する運動のような事を行い、毎日身体のケアをしなければ痛みや痺れで歩けなくなる事は当然の事なのです。

 反対に、一度痛みや痺れが発症しても、適切な運動を続ける事で80歳でも元気に歩けている人と同じ状態にしていく事が可能です。

 ただし、痛みや痺れが一度なくなっても身体がまた衰えれば必ずまた再発しますので、運動やケアを続けなければなりません。


特徴3:運動など体のケアが続けられない

 私の元に来られる方には必ず本書で紹介しているような運動を自主練習として毎日行ってもらうようにしています。

 しかし、これを行えない人も多くおられます。継続できないだけではなく、はじめからちゃんと行ってくれない人も少なくありません。

 忙しいからとか、忘れてしまうとか、色々な事を言われます。しかし、残念ながらどんな理由をつけても自分の行動が変わらなければ体が変わる事はありません。
どんな理由があっても、必要な運動を行わなければ改善せず病状が進行するのは止められません。なぜなら、この病気は徐々に進行する病気であり自然に治る事はないからです。

 最低でも1ヶ月は運動を行い、休まず続けて歩ける距離(連続歩行距離)を測ってみないと改善しているかどうかすらわからないのです。

 痛みや痺れがまだ強く残っていても連続歩行距離が伸びているのなら継続して同じ運動を継続するべきですし、変わらないようなら運動自体が身体に合っていないかもしれないので方法の方を変えなければなりません。

 そのように、1ヶ月程度ごとに状態を確認のうえプログラムを検討していくのが理想なのですが、最初から運動を行ってもらえなければどうにもならないのです。

 他に、「自分は毎日運動を行っている」という方も結構多くおられます。状態が改善しないということはそもそもその運動が病状に合っていない可能性が高いため、運動方法を変更しなければなりません。


特徴4:薬や注射で治ると思っている

「何ヶ月も整形外科で投薬治療を行っているのに一向によくなりません」
「ブロック注射をしたのに治らない」

 このように言われる方も多くおられます。しかし、これは患者側が誤解をしています。整形外科でされる注射も処方される薬も、脊柱管狭窄症を治す作用はありません。あくまでも痛み止めなのです。現時点で脊柱管狭窄症を治す薬は存在しません。

 痛み止めの薬を増やしながら我慢できる所まで我慢して、痛みが強い時は注射をして、それでも我慢できなくなれば手術をするのか、手術はせずに車椅子で生活ができるように環境の方を整えるのかという選択をするのです。

 平均すると、男性が71歳、女性が74歳くらいでこのような選択となる事が多いようです(健康寿命:厚生労働省)

 医師にもよりますがベテランの医師になるほど、辛くてもある程度歩けているうちはあまり手術を勧めませんし、年齢によっては完全に歩けなくなっても手術を勧めない場合も多くあります。経験的に手術をしてもあまり痛みや痺れが改善しない事を知っているからです。
 むしろ手術のための入院期間中に身体がさらに衰えて歩けなくなってしまう事も多いため、多少でも歩けているうちはあまり手術を勧められない事が大半です。

 近所の整形外科のクリニックではなく、いきなり大きな病院や大学病院に行くとMRIの画像だけで判断してはじめから手術を勧められる事があります。これはそもそも大病院は手術をする所だからです。

 本来、大病院というのは近所のクリニックに通院している人が手術の必要が出て来た時に紹介状を持って訪れるところなのです。
 しかし、日本では自由に最初から大学病院であっても受診できるため、いきなり手術を勧められる事があるのです。
 大病院は手術をする所なので、行けばはじめから手術の話になる事も多いのですが、はじめから大病院に行くのはそもそも順序が違います。

 手術が必要かどうかは近所の整形外科の「かかりつけ医」が経過をみつつ判断するべきなのです。

 繰り返して言いますが、はじめからいきなり大病院に行ってはいけません。近所のクリニックのほうが、絶対にあなたの事をよく診て状態を把握してくれます。大病院に行くと流れ作業で「MRI撮影→手術」という話にはじめからなりがちです。

・・・

 いかがでしょうか? 本章では私が接する事の多い脊柱管狭窄症の方に多い特徴を挙げてみました。当てはまる所が全くないという人もおられるかもしれませんが、もし当てはまる所があるようであれば、一度よく考えてみて頂ければ幸いです。

本章のまとめ
・この病気は腰痛ではなくて坐骨神経痛が主症状
・この病気は高齢者にしか起こらない:高齢者としての自覚を持とう
・運動など体のケアを続けないと治らない
・この病気を治す薬や注射は存在しない

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脊柱管狭窄症の名医 第1章

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第一部 病気の説明

 脊柱管狭窄症という病気がどういうものなのかを説明して参ります。とにかく改善方法だけ知りたい、早く実践したい、という人は第二部の改善方法をすぐに実践してみてください。


第1章 現状の把握:連続歩行距離を測定する

「歩いていると痛み(しびれ)が強くなる。少し休めばまた歩ける」

これが脊柱管狭窄症の一番の特徴で、専門用語では間欠性跛行(かんけつせいはこう)と言います。

 つまり、休みながらであればそこそこ歩く事ができるのです。

 ちょっと立ち止まって腰を曲げたり座ったりするだけで、また少し歩けるようになります。

 脊柱管狭窄症は、休まずに続けて歩ける距離が短くなるという形で進行しますので、休まずに続けてどれだけ歩けるのかを計測する事が最も重要となります。

 まずは自分の現状を知るために、休まずに続けて歩ける距離を毎日測ってみましょう。

この「休まずに続けて歩ける距離」を連続歩行距離と言います。

 距離で測る事ができると最も良いのですが、距離を測るのは難しいので、何分歩けるかを時間ではかったり、万歩計をつけて休まずに何歩歩けるのかを測ってもらっても結構です。

 毎日、続けて休まず歩ける距離を測ってみると、その日によってかなり数字にばらつきがでると思います。これはその日ごとの体調によって出る誤差ですのでこれはあまり気にしないでください。
 だから、昨日と今日の距離をくらべて一喜一憂する必要はありません。1週間とか1か月といった、ある程度の期間の平均値を比べていくことが重要なのです。

 この数字が短くなっていくようなら脊柱管狭窄症が悪化しているという事を意味しますし、長くなるならば改善している事を意味します。

 良くなっていく時も悪くなっていく時も「歩くと辛い」という感覚は当初はあまりかわりがないため、このように数字を比較していく事がとても大切です。
 多くの場合「歩くと辛い」という感覚が変わらないまま、気が付くとずいぶん歩ける距離が短くなっていたという形で病気が進行していくのです。

 脊柱管狭窄症になると歩くのが辛くなるために歩かなくなりがちです。

 しかし、この病気は老化現象の一種なので歩かなくなると余計に体が衰えてしまいます。そうなると背骨を守る筋肉が弱化して脊柱管の狭窄がさらに進んでしまいます。その結果、さらに休まず歩ける距離が短くなっていってしまうのです。

 連続歩行距離を測る時は、できれば毎回同じ条件で行ってください。例えば、朝一番に測るのと、夜に仕事で疲れてから測るのとでは条件が変わってしまうためあまり好ましくありません。

まとめ
・途中で腰を曲げたり座ったりせずに、休まず続けて歩ける距離を毎日計る
・計り方は距離でも、時間でも、歩数でも結構ですので毎回同じ数字で測る
・できるだけ同じ条件で毎日測る


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