スタッフブログ - 大阪「TN整体院」

Tel:072-968-7559

HOME > スタッフブログ

※得られる結果には個人差があります

testtest

[記事URL]

 坐骨神経痛とは、腰から足にかけて痛みや痺れが出る病態です。痺れが悪化すると神経痛と呼ばれる痛みとして知覚されがちです。

画像01.png

誤解されがちなのですが、「坐骨神経痛」という病名はありません。坐骨神経痛というのは「症状の名前」だからです。

お腹が痛ければ「腹痛」、頭が痛ければ「頭痛」というのと同じ程度の意味で、上のイラストのような場所に痛みや痺れがある事を「坐骨神経痛」といいます。


 坐骨神経痛の原因は、主要な所では以下の3つです。


①椎間板ヘルニア
 椎間板の中身(髄核)が飛び出して、背骨の所で神経に触れて腰痛や坐骨神経痛を引き起こします
MRI画像
無題図014 (2)00ヘルニア.jpg


②脊柱管狭窄症(すべり症)
 脊柱(背骨)が変形し、骨や靭帯や椎間板が神経に触れる事で腰痛や坐骨神経痛が起こります。誤解されがちですが、骨と骨のすき間が狭くなる事をいうのではありません。ちなみに骨のズレだけが大きいと「すべり症」という病名になります。

無題9.png

MRI画像
無題図014 (2) - コピー-1.png

③梨状筋症候群
 お尻の辺りにある「梨状筋」という筋肉が硬くなると、隣にある坐骨神経をお尻の奥で圧迫し坐骨神経痛が起こります。筋肉の問題なのでレントゲンを撮ってもMRIを撮っても映りません。理学的検査を行い鑑別します。こちらは背骨ではなくて骨盤や股関節の変性に伴って発症する事が多いのが特徴です。

無題11.png

梨状筋症候群のややこしいのは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に併発していることも多い点です。梨状筋症候群はレントゲンやMRIには写らないので、ここで簡単な鑑別法を紹介します。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されている人も、ぜひ一度試しに行ってみてください。

鑑別法1

①つま先を少し開いて立つ
②つま先を内側に向ける

※ひざや腰が曲がらないよう、背すじを伸ばして行ってください。

①よりも②の時に痛みや違和感が強くなれば梨状筋症候群を疑う

無題12.png

無題146.png

※もし梨状筋症候群の兆候がみつかっても絶対に自分で無理にストレッチ等を行わないでください

注意点
 ここで紹介した鑑別法で梨状筋症候群に当てはまった場合、梨状筋症候群で坐骨神経痛が出ている可能性が高いといえます。ただし、そもそもこの梨状筋症候群は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に併発しやすいものなので、やはり坐骨神経痛が出現している場合は、診断のとおり本当の意味での椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症である場合が大半。
 しかし、この梨状筋症候群による坐骨神経痛が併発することで、痛みの出方を強くしていたり複雑にしていたりする場合が多いのです。


・・・・・

 50歳以下で坐骨神経痛が出現する事は少ないのですが、それが現れる場合の大半はケガに近い形の「椎間板ヘルニア」か運動が原因の「すべり症」です。

 50歳以上の方の坐骨神経痛は病名が同じ「椎間板ヘルニア」や「すべり症」であっても全て老化現象に起因する場合が大半です。特に「脊柱管狭窄症」の方の比率が多くなります。

 このページでは以下に50歳以上の方の坐骨神経痛について記載して参ります。

・・・・・

 主に、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアはよほど進行していなければレントゲンだけでは判明しません。まず整形外科でレントゲンをとって「坐骨神経痛ですね」と言われる事が多いのが現状です。このような形で坐骨神経痛と言われる場合は「レントゲンでは原因はわからない」というのと同じ意味となります。背骨の変性が大きい場合はレントゲン画像だけで椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(すべり症)といった病名をつけられる事もあります。

 次いでMRIを取った場合に変性がみつかれば「脊柱管狭窄症」とか「椎間板ヘルニア」といった病名がつけられる事となります。MRIでもとくに原因が映っていない場合はまた「坐骨神経痛」と言われます。これも原因は不明という意味です。この原因不明の坐骨神経痛の多くは梨状筋症候群に由来する事が多いかと思われます。


 上記の「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症(すべり症)」「梨状筋症候群」の3つが坐骨神経痛を引き起こす主要な原因です。病名としてはMRIやレントゲン画像により「椎間板ヘルニア」と「脊柱管狭窄症」の二つの病名がつけられる事がとても多いです。ただ、実際の症状は「梨状筋症候群」も併発してそこから症状の何割かが発生している場合も多いのです。特に慢性化している場合は複数の病態が併発している事が特に多いのが坐骨神経痛の特徴です。だからこれらの病名で腰の手術をしてもよくならない人が一定の割合で存在するのです。そしてその数は決して少なくありません。

 医療機関で「椎間板ヘルニア」とか「脊柱管狭窄症」という病名をつけられると、多くの患者さんは自分の症状がすべてその病気によるものだと強く思い込む傾向があります。しかし症状が1か月以上続いているような場合は医療機関でつけられた病名だけではなく梨状筋症候群のような画像に映らない病気の併発を疑う必要もあるのです。
 
 多くの医師は「腰の手術をしても良くならない人が結構多い」という事をよく知っています。だから仮にMRIを撮って病変が見つかっても「様子を見ましょう」というだけになりがちです。痛み止めの薬や注射で経過をみておくだけにした方が無難だからです。「歩けなくなれば手術です」と言われる事が多いかと思います。

 しかし、それは正しい事でもあるのです。この坐骨神経痛を治す薬は存在しません。そして手術もリスクが高いとなれば「様子をみる」だけにしておく方が正しいという事になります。

 痛み止めの薬で耐えながらでも普通の生活(介護が不要な生活)ができる期間を延長する事が、この投薬治療の目的なのです。

 多くの場合、坐骨神経痛は老化現象の一種として生じます。それに対して「脊柱管狭窄症」等の病名をつけているわけですが、背骨(脊柱管)や軟骨(椎間板)が変形するくらい老化が進行していれば画像に映らない他の組織も老化変性が進んでいると考える方が自然です。それらの足腰の老化変性の合計が現在の症状「坐骨神経痛」なのです。

 最終的に神経痛で立ったり歩いたりといった日常生活の困難が発生します。このレベルまで悪化した場合、70代の前半くらいまでであれば一度は手術を勧められる事となります。70代の後半以降になるとリスクをとって手術をするよりも介護の方向で検討される事の方が多くなります。

 現在、日本人の健康寿命は75歳です。多くの日本人は70歳から80歳のうちに坐骨神経痛その他の病変により介護が必要になります。

 しかし、現在では80代でも元気な方はたくさんおられます。つまり、元気な80代がたくさんいて健康寿命の平均値が75歳という事は、70歳までに足腰がダメになってしまう人が相当数いないと計算が合わなくなります。

 元気なお年寄りもたくさんいるけど、元気ではない前期高齢者(65~75歳)は実はもっと多いというのが現実です。事実、現在でも男性の4人に1人は75歳までに亡くなっています。これらの数字は厚生労働省が発表している数字なので正確なものであり、厳然とした事実です。亡くなる前の数年間は介護が必要な期間である事が多いので理解がしやすいかと存じます。

 坐骨神経痛は老化現象の一種であり、70歳から80歳の間に発症して進行するのが現代の平均値ではありますが、老化による病気は個人差が非常に大きいのです。例えばガンや脳梗塞のような命にかかわる病気は通常70代と80代で起こる事が最多です。しかし大病せずに90歳を超える人も最近では増えてきております。反対に、50代でガンや脳梗塞になる方もさほど珍しいとまではいえません。

 もし40代までにガンや脳梗塞になればそれはとても稀な事なのですが、そんな大きな病気でも50歳を超えるとポツポツと発症する人が出始めます。坐骨神経痛も50歳までに発症する人は稀なのですが50歳を超えると「珍しい」とまでは言えなくなります。

 坐骨神経痛は老化現象の一種であるため、自然に良くなる事は稀です。その日ごとに調子が良かったり悪かったりを繰り返しながら平均値としては悪化していく病態です。

 しかし、うまく筋肉や関節の状態を整えて体づくりを行う事で改善をする事も可能です。

 実際に、一度坐骨神経痛になったけど良くなったという人はたくさんいます。

 そのような改善を当院では整体として意図的に作り出していく事を目的に施術を行っております。

 まだ介護が不要な方であれば十分に改善の可能性はあります。

 当院で手術をせずにこれらの病態の改善を希望される方は以下のページをご確認ください。ただし、定期的な通院が必要となりますので非常に遠方の方(近畿圏外にお住まいの方)の御来院はお断りをしております。この点ご了承ください。

坐骨神経痛の改善
http://www.tnseitai.com/

・・・・・

坐骨神経痛の改善例

右の腰やお尻のあたりから太ももにかけて・・・

坐骨神経痛 大阪府 女性 30代

DSCN4187.JPG
当院に来院する前、どの様な症状に悩んでいましたか?

 3か月以上、右の腰やお尻のあたりから太ももにかけて痛みが続いていました。車に乗ったり長時間座っていたり立っているのが辛かったです。立つ時や歩き始めにも痛みがあり、特に朝起きてすぐはお尻のあたりの痛みがとても強く出ていました。

当院で施術を受けて、その症状はどの様に変化しましたか?

 週に1回の通院で痛みがなくなっていきました。3週目の時点でほぼ治っていました。

どの様な方に、当院はお勧めですか?

 坐骨神経痛の人。私と同じように腰というよりお尻のあたりから太ももにかけて痛みがあるような人。

※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(脊柱管狭窄症ほか)


左のお尻のあたりからフクラハギまで・・・(坐骨神経痛)


脊柱管狭窄症による坐骨神経痛 大阪府 女性 60代


狭窄写真1.JPG
当院に来院する前、どの様な症状に悩んでいましたか?

 1年前に脊柱管狭窄症と診断されていました。歩くと左のお尻のあたりからフクラハギまで痛みが強くなるため長時間歩く事ができませんでした。立っているだけでも辛いので台所仕事をするのにも辛く、腰を反らすと痛いので洗濯物を干すのも辛いような状況でした。手術はしたくなかったので、インターネットで調べてこちらの整体院に来ました。


当院で施術を受けて、その症状はどの様に変化しましたか?

 週に1回の施術と先生から指導された運動を行っているうちに徐々に長時間歩いても痛みを感じなくなるようになっていきました。以前は買い物に行ってもカートを押しながらでないと歩くのが辛かったのが、普通に歩けるようになりました。


どの様な方に、当院はお勧めですか?

 脊柱管狭窄症で手術をしたくない人にお勧めです。


※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(脊柱管狭窄症ほか)


左の腰からお尻のあたりに・・・腰痛・坐骨神経痛


腰痛・坐骨神経痛 大阪府 69歳


感想z8.jpg
当院に来院する前、どの様な症状に悩んでいましたか?

 左側の腰からお尻のあたりにかけてとても痛くて、病院でレントゲンやMRIも撮ったのですが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症ではないので、普通の坐骨神経痛だろうと言われていました。


当院で施術を受けて、その症状はどの様に変化しましたか?

病院で出された薬や湿布では全く良くならなかったので、接骨院や鍼治療にも行ってみたものの改善がみられなかったのですが、ここで施術を受けてからは段々と痛みが軽くなっていきました。


どの様な方に、当院はお勧めですか?

 足腰が痛くて家事をするのにも困る人。病院や接骨院に行っても良くならない人

※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(腰痛・坐骨神経痛ほか)


左側のお尻の辺りから太もも辺りまで・・・(坐骨神経痛)


大阪府 70歳 女性


感想mn06 - コピー - コピー.gif
当院に来院する前、どの様な症状に悩んでいましたか?

 急に左側のお尻の辺りから太もも辺りまでの痛みが出てきました。歩くと痛みが強く出て、少し歩いただけで腰を曲げて休まないと歩けないようになってしまっていました。整形外科でもらった薬をしばらく飲んでいましたが一向に良くならないので、このまま歩けなくなってしまうのではないかと不安に思っていました。


当院で施術を受けて、その症状はどの様に変化しましたか?

 歩いても痛みが出なくなりました。子供や孫と外出しても苦痛にならないのが一番嬉しい変化です。


どの様な方に、当院はお勧めですか?

 私と同じ様に、痛くて歩くのに困る人。

※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(腰痛・坐骨神経痛ほか)


腰の骨の4番と5番の間がつぶれて狭くなってると言われ...(腰痛・坐骨神経痛)


大阪府 椎間板ヘルニア 慢性腰痛 41歳 男性 



当院に来られる前、どの様な症状でお困りでしたか?

 何年も前から腰痛(坐骨神経痛)があって、病院でレントゲンとったら腰の骨の4番と5番の間がつぶれて狭くなってると言われてました。


 かなりつらかったんですけど、手術もできないと言われていたので、接骨院に通ったりもしたんですが全然治らなくて・・・ というか電気あてたりマッサージしたりするだけやったし、絶対これじゃ良くならないとは思ってたんですよ、接骨院って。


 それで、カイロプラクティックとかも行ったんですけど全然だめで、結局もう一生治らないもんやとあきらめかけていました。


当院で施術をうけて、その症状はどうなりましたか?

 ここで最初に身体をみてもらった時に先生から「大丈夫だ」と言われたので通ってたら、本当に痛みがなくなってびっくりしました。3回目に来た時くらいにはほとんど痛みなくなってたと思います。今はもう痛くなくなりました。ほんまにうれしいです。


どんな人に当院はおすすめできますか?

 僕みたいにどこへ行っても治らない人にはおすすめですね。あと、体の調子が悪いけど病院いってもだめでどこ行ったら良いかわからない人とか。ちょっと値段高いけど(笑)


※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(腰痛・坐骨神経痛ほか)


左脚にしびれが出て・・・(坐骨神経痛)


大阪府 腰痛・坐骨神経痛 71歳 女性


狭窄.jpg
当院に来院する前、どの様な症状に悩んでいましたか?

 左の太ももの付け根が痛くて、姿勢も悪く左の方へ傾いて歩いていたように思います。左脚にしびれが出て10分位歩いて一休みしなければなりませんでした。


当院で施術を受けて、その症状はどの様に変化しましたか?

 今では姿勢も大部良くなり、しびれもすっかりとはいえませんが、ほとんどなくなってきています。もうしばらく先生の治療を受けたいと思っています。


どの様な方に、当院はお勧めですか?

 私と同じように、長い間同じ病院に通ってもいっこうに楽にならない人に勧めたいと思っています。


※ お客様の声は、あくまで体験談であり、効果には
個人差があります(腰痛・坐骨神経痛ほか)

当院で手術をせずに坐骨神経痛の改善を希望される方は以下のページをご確認ください。ただし、定期的な通院が必要となりますので非常に遠方の方(近畿圏外にお住まいの方)の御来院はお断りをしております。この点ご了承ください。

坐骨神経痛の改善
http://www.tnseitai.com/


当院では、専門家としてテレビにも出演する院長が来院者全員の施術を行います。

※健康関連全般の専門家として出演依頼を受けたものです。
現在、当院では腰椎と坐骨神経のみを専門に施術を行っております。


「TN整体院」の地図


詳細な住所はこちらのようになっております。


〒577-0022
大阪府東大阪市荒本新町3-4 セイコービル303



z2新地図.png

近鉄けいはんな線(地下鉄中央線)荒本駅から徒歩3分

奈良・生駒方面からは生駒駅からコスモスクエア行きで約10分 大阪市内方面からは地下鉄中央線の生駒行きまたは 学研奈良登美ケ丘生きにお乗りください。 弁天町・本町・森ノ宮からは乗り換え無しで一本です。

以下の方面からはバスのご利用が便利です:バス停「荒本駅前」 若江岩田 近鉄八尾 河内小阪 八戸ノ里 鴻池新田 住道 萱島

お車でお越しのお客様は最寄りのコインパーキングをご利用ください


「TN整体院」の行き方:荒本駅から


最寄の4番出口から
(他の場所にエレベータもあります)


z1.png

荒本駅4番出口を出て、左へ進みます。


z20.png

②一つ目の信号を左へ曲がります。


z30.png

③点滅信号の交差点を直進します。


z40.png

④30秒ほど歩くと左手にドラッグストアが見えます。ドラッグストアを通り過ぎてから一つ目の角を左折します。


z50.png

⑤角を曲がるとすぐにこのビルが見えます。ここの3階です。


z60.png

⑥ビル入り口の看板が目印です。このビルの303号室がTN整体院です。


お車でお越しの場合

カーナビは住所で検索してください
電話番号では正しく表示されません

大阪府東大阪市荒本新町3-4
(セイコービル303)

※当院に駐車場はございませんので、お車でお越しの場合は地図に記載の最寄のコインパーキング等をご利用下さい

z2新地図.png


メニュー料金

料金表17.gif




※得られる結果には個人差があります

原稿サンプル(工事中)

[記事URL]

腰痛の間違った常識

間違った常識① 「腹筋運動」「背筋運動」で鍛えれば腰痛が治る

 これは間違った常識として最も流布されているものではないでしょうか。一般的に、腰痛を治すには「腹筋」と「背筋」を鍛えれば良いと世間では思われているようです。無資格の治療家や、中にはちゃんと国家資格を持った治療家でも、腰痛の患者さんに、いわゆる「腹筋運動」「背筋運動」を指導する人が未だに多くいます。

 この様な現状を、私は非常に悲しく思います。現在腰に痛みが出ている人が「腹筋運動」や「背筋運動」を行うと、かえって腰痛を悪化させてしまうからです。
 
まじめに先生の言うことを聞いて運動をした人が、かえって腰痛を悪化さ
せてしまうという、そんな状況が私には悲しくて仕方がないのです。

 試しに「腹筋運動」や「背筋運動」を行ってみてください。もしあなたが腰痛をお持ちなら、腰に負担がかかっていることが良くわかるのではないでしょうか? 人によっては運動時に痛みが出ると思います。腰が痛いのに腰に負担をかける。このような事をして腰痛が治るわけがありません。傷口を自分で拡げているようなものです。

 それなのに、この痛みや負担を乗り越えて運動を行えばきっと腰が良くなると信じて、腹筋運動や背筋運動を続けている人が多くいるようです。患者さんが悪いのではありません。そういう指導をしたり、文章として公表している先生の側が悪いのです。

 腰痛に対して「腹筋」と「背筋」は間違いなく重要な筋肉です。しかし、一般的な「腹筋運動」「背筋運動」で鍛えれば良いというものではないのです。働きが悪くなっている腹筋や背筋の働きを促して、「筋肉の状態を良くする」ということが大事なのです。それが本書で紹介する筋肉の改善方法なのです。


間違った常識② 背筋のストレッチを行う

 よく腰痛の人に対して指導されるストレッチ方法として007のようなストレッチがあります。これは非常に危険です。何を隠そう、私はこれを行って椎間板ヘルニアになったのです。


 腰痛の人は大抵の場合、背骨の両脇にある筋肉が非常に硬くなっています。だから単純にこの筋肉を伸ばせば良いという安易な考えで指導されがちなのですが、写真Aのようなストレッチを背中の筋肉が硬い状態で行うと、背骨の間に挟まっている椎間板に強い圧力がかかってしまうのです。だから、私のように椎間板ヘルニアを引き起こしてしまうことがあります。もちろん、椎間板ヘルニアが原因で腰痛の出ている人がこのようなストレッチを行うことは、自ら状態を悪化させているようなものです。

 硬い筋肉に対して適度にストレッチを行うことは、腰痛の改善に対して間違いなく有効です。ただし、その時に関節や他の組織にかかる負荷を考えずに闇雲にストレッチを行うことは非常に危険なのです。

 ちなみに私の場合、腰の筋肉に凝りがあるかなという状態だったので、このストレッチを行っていました。そしていわゆる「ぎっくり腰」になり病院に行ったところ椎間板ヘルニアと診断されました。理学療法士になってまだ3か月目のことです。そこから自分で治すための方法や腰痛について必死に勉強したところから、私の本当のキャリアがはじまったのだと思います。

間違った常識③ マッサージを行う(強く揉む)

 腰痛の人は背骨の両脇の筋肉が特に硬くなっているため、この部分を揉みほぐしたら良いと考えてマッサージに通う人がいます。特に強くマッサージを行うとわかりやすいのですが、これで腰痛が悪化します。いわゆる「揉みかえし」です。
 筋肉が硬く緊張している状態で強く揉むと、筋肉の線維が千切れてしまいます。これが「揉みかえし」の正体です。この様な状態になると、筋肉の緊張は余計に強くなってしまいます。これ以上筋肉が引き伸ばされて傷つくのを避けようと、筋肉が縮まり硬くなるのです。
 痛みを感じるところまで「揉みかえし」を感じなくても、マッサージを行ったことにより翌朝に筋肉の緊張が余計に強くなってしまっている人は多くいると思います。

 適度にマッサージを行うことは血液の循環や筋肉の状態の改善に対して確かに有効ではあるのですが、これは一般に思われているよりもずっと弱い負荷で行う場合です。そして全身に数百個ある筋肉の位置関係や特徴を熟知している必要があります。知識のない人が経験と勘で行っても、逆に状態を悪化させるばかりです。

まとめ

 正しい医学知識を持たない先生の指導を受けてセルフケアを行うと、かえって痛みを悪化させることになりかねません。それなのに、こういう腰痛治療などの一般向け書籍の著者には無資格の治療家や整骨院の院長など、いわゆる現代医療の正規教育を受けていない人が非常に多いことに驚きます。

 大きな本屋さんに行けば「健康法」とか「腰痛」のコーナーがあります。もし興味があればそこにある本の著者プロフィールを見てみてください。医師以外では、そういう現代医療の正規教育を受けていない人ばかりなのに驚くはずです。
 こういうことが専門である理学療法士の書いた本がほとんどないことは本当に残念なことです。


第1章 腰痛と坐骨神経痛

坐骨神経痛について

 腰痛は「腰の痛み」なのでわかりやすいし、特に説明の必要もないと思いますが、「坐骨神経痛」とはどのような状態を指すのか、ご存じでしょうか?
 
 坐骨神経痛というのは、図001のような場所に痛みや痺れが出る状態です。症状が軽い場合は痺れとして感じて、症状が重たくなると痺れから痛みに感じ方が変わります。

図001

 この坐骨神経痛は、骨や軟骨や固くなった筋肉などに神経が当たって引き起こされます。

坐骨神経痛を引き起こす代表的な病態は以下の3つです。
① 椎間板ヘルニア
② 脊柱管狭窄症
③ 梨状筋症候群

この3つを簡単に説明すると、以下の通りです。

椎間板ヘルニア  図002

 椎間板の中身が飛び出て後ろにある神経を押している状態。立っている方がマシで、座っている方が辛い事が多い。

脊柱管狭窄症  図003
 背骨(脊柱)が変形して、背骨の中の神経を押している状態。座っていると特に痛みも痺れもないが、立っていたり長く歩くと痛みや痺れが出る。腰を曲げて少し休むと楽になる。

梨状態筋症候群 図004
 梨状筋というお尻の筋肉が固くなって坐骨神経を押している状態。病院で「椎間板ヘルニア」とか「脊柱管狭窄症」といった病名をつけられずに、単に「坐骨神経痛ですね」と言われた場合は、この梨状筋症候群である事が多い。筋肉はレントゲンにもMRIにも写らないので、鑑別が難しい。

「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症」「梨状筋症候群」の3つについては、1章を割いて特徴と改善法を説明して参ります。

 非常にややこしいのは、病院で付けられた病名が一つでも、実際は複数の病態が併発して坐骨神経痛の原因となっている事が多いという事です。

 例えば病院で「椎間板ヘルニア」と診断されても、実は梨状筋症候群も併発していた場合、椎間板ヘルニアの手術をしても梨状筋症候群は当然改善していないので、坐骨神経痛が治っていない等という事はよくある事なのです。

 「腰の手術をしたのに治らなかった」という話をよく聞くのですが、例えばこんな事がその理由であったりするわけです。


腰痛について

 坐骨神経痛の原因として取り上げた「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症」「梨状筋症候群」の3つは、腰自体の痛みの原因にもなります。

 ただし、大半の慢性的な腰痛の方はこういった病名がつかない「慢性腰痛」と言われる状態である事が多いです。

 この慢性腰痛は「腰の重ダルさ」と、場合によっては身体を動かす時に不意に強い痛みが出るような状態の事です。このような状態が長く続くと、坐骨神経痛の要因となる、上記の3病態の原因になりやすいので、この「慢性腰痛」を改善する事はとても大切な事です。

 次章でまず、この慢性腰痛の説明をいたします。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの病名が付いている人も、この慢性腰痛の状態を理解して改善する事がとても大切なので、一読して頂ければと思います。

 
第2章 慢性腰痛

腰の重ダルさの原因は背筋の固さ

 慢性腰痛の原因は、腰の筋肉が凝って固くなっている事です。特に、背骨の両脇にあるいわゆる「背筋」と呼ばれる筋肉が凝り固まる事が腰の重ダルさの原因です。

図005

 筋肉は固くなると血流が悪くなり、鈍い痛みや不快感を引き起こします。

 固くなった筋肉が周辺の靭帯などを引っ張る事で、重ダルさだけではなくて身体を動かした時に不意に出る強い痛みを引き起こす事もあります。

背筋が固いのは腹筋の働きが悪いから

 図006の左側の図を見てください。本来、この様に身体の前から腹筋が、後ろ側から背筋が身体を支えています。

 しかし、身体が衰えてくると必ず腹筋の方から弱ります。そうなると、図の右側のように背筋だけで身体を支える事になります。
 このように背筋が過剰に働くことで、筋肉が固くなってしまい腰の重ダルさを引き起こすのです。

 実際には、腹筋の働きが悪くなると釣り合いがとれなくなってしまい、姿勢が悪くなります。

 図007の左側ように背骨が曲がってしまって猫背になったり、図の右側のように腰が反ってしまったりします。この二つが組み合わさって、腰は反っているのに背骨の上の方は曲がって猫背でなで肩という人もいます。


慢性腰痛が椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に原因に

 ここで大切なのは、この腹筋の働きが悪くなった状態が、腰の重ダルさの原因となるだけではなくて、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」の根本的な原因になっているという点です。

 図008を見てください。腹筋がちゃんと働くと、図の左側のようにテコの支点の三角の部分だけではなく、赤の内臓のほうでも上半身の体重を支える事ができます。
 これが腹筋の働きが悪くなると、図の右側のように、上半身の体重がテコの支点の三角の頂点にすべて負荷がかかってしまいます。この三角は背骨なので、この頂点にギュッと圧力がかかると、骨と骨に挟まれている椎間板を押し潰してしまいます。これが椎間板ヘルニアの原因です。

 また、長年背骨に圧力が加わり続けると、この部分の背骨が変形してきます。変形した背骨が神経に触れるようになると腰痛や坐骨神経痛が起こり「脊柱管狭窄症」という病名が付けられます。

 ここで大切なのは、腹筋を鍛えれば腰痛が治るのかというと、そういうわけではないという事です。いわゆる「腹筋運動」で使われる腹筋は「腹直筋」という筋肉なのに対して、腰を守る為に重要な働きをするのは「腹横筋」という筋肉だからです。

 いわゆる「腹筋運動」を行うと、腰への負担が大きくなってしまい、良くなるどころかかえって状態を悪くする恐れがあります。


身体が硬いと腰痛になりやすい

 よく知られている事ですが、身体が硬い人は腰痛になりやすいという特徴があります。これはどうしてでしょうか。

 例えば、図009のように、「腰を曲げる」動作では実は腰ではなくて股関節を大きく動かす動作なのです。
 では、もし股関節が硬いとどうなるかというと、図のような「腰を曲げる」動作を行うと、文字通り過剰に腰(腰椎)が曲げられる事になります。

 もう一例、図010のゴルフのスイングのような、「腰をひねる」動作を見てみましょう。注目して欲しいのは図の一番左側の絵の左足のつま先の向きです。身体は正面を向いているのに、足の向きは変化していません。この様に、立位で「腰をひねる」という動作は、実は腰ではなくて脚の付け根の股関節をひねって角度を出しているのです。
 股関節の柔軟性がなければ、この様な「腰をひねる」動作をした時に、本当に腰に強くひねりの負荷がかかってしまうため、腰を痛める原因になります。

 「身体が柔らかいのに腰が悪い」という患者さんから言われる事がよくあるのですが、そういう人は図009の様な前屈方向には柔らかいのですが、図010のように身体をひねる動作の時に問題になる筋肉が硬いという事がよくあります。
 この身体をひねる時に、股関節のひねりを邪魔する筋肉こそが「梨状筋」という筋肉です。これが硬くなる事で腰だけではなくて「梨状筋症候群」という坐骨神経痛を引き起こしているという事がよくあるのです。

 簡単な検査の方法として、写真007の様に脚を組んで姿勢をみるという方法があります。梨状筋の柔軟性に問題がなければ、スネの角度が床面に対して水平に近い角度になりますが、筋肉が硬いと写真の右側の様に、膝が立ってしまいます。

 右脚と左脚で角度が違う場合も重要な鑑別ポイントになります。例えば腰の右側だけが痛いとか、坐骨神経痛が右足にだけ出ているとか、左右の痛みや痺れの出方が違う場合は、この筋肉の固さの左右の差が原因である事が多いためです。
 簡単な方法なので痛みや痺れのある人は、一度脚を組んでみて問題がないかどうか見てみてください。


股関節と足部の関係

 冒頭で紹介したバランステストなのですが、もし足の指の力や足首の力が弱いと人は上手くバランスをとる事が出来なくなります。
 冒頭のバランステストでバランスをうまく取れなかった人は、足の指や足首などの足元筋肉の働きが悪いという事です。

 問題なのは、足の方の力でバランスをうまくとれなくなると、人間は変わりに股関節の働きでバランスをとろうとしてしまうのです。
 つまり、股関節の周りの筋肉を硬くしてしまうという事です。

足元の筋肉の働きが悪い→股関節が硬くなる→腰を悪くする

こういう連鎖的な働きが起こってしまうのです。

 よく「老いは足元からやってくる」と言いますが、本当に足の指の筋肉から人は衰えが始まるのです。ちなみに高齢者がよく転倒するのはこれが原因でもあります。
本章のまとめ

腰痛の原因は背筋の固さ・腹筋の衰え
股関節が硬いと腰を悪くする
足元の筋肉が衰えていると股関節を硬くする


第3章 椎間板ヘルニア

 第1章で簡単に説明しましたが、椎間板ヘルニアとは背骨の間に挟まれている軟骨でできたクッションです。
 
 椎間板の真ん中は髄核というゼリー状の物体で、そのまわりを線維輪という軟骨が囲んでいます。髄核が線維輪を突き破って後方に飛び出したのが「椎間板ヘルニア」と呼ばれる状態です。
 図011

 背骨の構造を見てみましょう。図012の様に、椎間板のすぐ後ろには後縦靭帯という靭帯があります。この後縦靭帯は痛みに対して非常に敏感な場所なので、椎間板の髄核がここに触れたり、ここを突き破ったりすると腰自体の痛みを感じると考えられます。
 この後縦靭帯のさらに後方には神経根という神経があります。椎間板の髄核がこの神経根に触れると足腰の痛みや痺れ(坐骨神経痛)引き起こします。

 椎間板の髄核が後縦靭帯に触れるだけで、後方の神経根に触れなければ、症状は腰の部分の痛みだけで坐骨神経痛は現れないかもしれません。

椎間板ヘルニアはMRIを撮ると画像で確認が出来ます。

椎間板ヘルニアの大きな特徴は、腰を曲げると悪化して、腰を反らすと改善するという点です。

 図013の様に腰を曲げると椎間板の前方が圧迫されて、髄核は後方に移動しようとします。これは椎間板ヘルニアを悪化させる力学的な負荷となります。
 反対に、腰を反らすと椎間板の後方が圧迫されて髄核は前方に移動します。これは力学的に椎間板ヘルニアを改善する作用となります。


 つまり単純に言うと、椎間板ヘルニアを改善する為には腰を曲げずに反らしておけば良いという事になります。

 まずは日常生活動作の中で知らず知らずに腰を曲げる(曲がってしまう)動作がありますので以下のような事に気をつけてください。

低いイスに座る
→対策:椅子の座面が低いと腰が曲がり、座面が高くなると腰は曲がりにくくなります。座面の下に台を敷くなどして座面を上げる工夫をしてみてください。008

床に胡坐で座る
→胡坐で座ると必然的に腰が曲げられます。正座であれば腰を曲げずに座る事ができます。009

長時間の車の運転
→車のシートは絶望的に腰に悪いため、トラックの運転手など長時間車を運転する人に椎間板ヘルニアは多いのもその特徴です。クッションを当てて腰が曲げられないようにするなど、自分の身体に合わせて調整してください。図014

しゃがみ込む
→しゃがむと必然的に腰が曲げられます。しゃがんで作業などをしなければならないような時には、写真の様に片膝をついて作業をすると負担が軽減されます。010

本来、椎間板ヘルニアは自然に治る

 飛び出した椎間板の髄核は血液に吸収され、損傷した椎間板の線維輪は修復されて、椎間板ヘルニアは自然に治癒されます。
 
 ただし、腰を曲げるようなヘルニアを悪化させる様な負担を腰にかけ続ければ、椎間板ヘルニアはいつまで経っても治りません。
 また、前章で紹介した様に、腹筋の働きが悪くて背筋が硬くなってしまっている様な状態が続いていると、常に椎間板を押しつぶす負荷がかかり続けるので回復を邪魔します。

 同様に股関節の筋肉が硬いと、腰に対して過剰に曲げられたりひねられたりする負担がかかるため、回復が邪魔されます。

こういう場合は運動療法によって身体の昨日を改善させなければなりません。

 手術を行う事で飛び出した椎間板の髄核を切り取ってしまうという方法もあります。しかし身体の状態を変えずに手術を行っても、一時的には良くなりますが再発するリスクが常につきまといます。実際、椎間板ヘルニアは手術をしても再発率が高いのがその特徴です。

 一度損傷した椎間板は同じ場所をまた損傷しやすいため、特に腹筋や背筋の状態や、股関節の柔軟性など、身体機能の方を改善しないといけないのです。


椎間板ヘルニアを治す方法

 あまりに痛ければ手術を行う事も検討するべきですが、基本的に椎間板ヘルニアは自然治癒が見込めるため、無理に手術を行う必要もありません。

 先ほど、椎間板ヘルニアは腰を曲げると悪化して腰を反らせると改善すると書きました。では、図015のような姿勢をとっていれば治るのかというと、実はその通りです。

 ただし、椎間板ヘルニアを回復させるだけならこの様な姿勢をできるだけ長時間とっていれば良いのですが、椎間板ヘルニアには周囲の靭帯の損傷を伴う事も多く、この様な姿勢をとると靭帯の損傷を助長するような場合もあります。実際にこの様な姿勢をとってみて、この姿勢が楽なのであれば20分や30分続けてこの姿勢をとっていても良いのですが、もし行ってみて痛みが出るようなら無理に行うべきではありません。

 また、痛みや痺れが非常に強い時期が収まれば、股関節の柔軟性を改善するためのストレッチや、腰を少しずつ曲げながら腹筋や背筋を働かせる運動も行っていかなければなりません。

 腰を曲げると椎間板ヘルニアは悪化しますが、ずっと曲げないと今度は腰の柔軟性がなくなって曲がりにくくなり、ちょっとした衝撃でまた椎間板ヘルニアを再発させる事にも繋がります。椎間板ヘルニアは一度治っても再発する事が多いので、痛みが強い時期を過ぎたら再発予防のための体作りを合わせて行わなければならないのです。

 治りかけに油断して、また腰を痛めてしまう人は結構多い印象を受けます。

 足腰の柔軟性を改善させる必要があるわけですが、間違っても我流でストレッチや筋トレなどをしてはいけません、
 下半身のストレッチは腰を曲げる動作を伴うものが多いため、ストレッチを行うことでかえって悪化させてしまうという事は非常に多いのです。
 例えば011のような太もものストレッチや、012のような背中のストレッチ、013のような腹筋の筋トレは絶対に行うべきではありません。

 改善法の実技については、実技の章で改めて紹介して参ります。

その症状、本当に椎間板ヘルニア?

 腰痛や坐骨神経痛が出ていて、病院で椎間板ヘルニアと診断されて、手術をしたのに治らなかったという人は少なくありません。
 そもそも、その症状は本当に椎間板ヘルニアが原因だったのでしょうか?

 実は、痛みや痺れがあってもなくても、腰痛のない成人の7割以上に、画像で調べたら椎間板ヘルニアが確認されたという研究結果があります。※(Boos N. ら による研究。学術誌 『Spine』 1995年)

 つまり、足腰の痛みが出ていてMRIをとってみて、それで椎間板ヘルニアがみつかっても、本当に足腰の痛みの原因が椎間板ヘルニアに由来しているのかどうかはそれだけではわからないのです。

 特に、梨状筋症候群との鑑別は重要になります。梨状筋症候群は筋肉の硬さが原因で坐骨神経痛が起こる病態なので、レントゲンやMRIには写らないためです。

 椎間板ヘルニアの痛みが原因で足腰の筋肉が硬くなってしまって梨状筋症候群を併発しているような事も多くありますし、そもそもの痛みの原因が椎間板ヘルニアではなくて梨状筋症候群単独である場合もあるかもしれません。
 その様な状態で手術を行えば「治らなかった」という事になりかねないわけです。


第4章 脊柱管狭窄症

 脊柱管狭窄症は、背骨(脊柱)が変形し、変形した背骨が神経に触れて腰痛や坐骨神経痛を引き起こす病態です。図016

厳密にいうと、脊柱を構成する骨の形が変わったり位置がずれたり、椎間板や靭帯の形が変形して神経が圧迫された状態です。

 脊柱管狭窄症の大きな特徴は、歩いていると足腰の痛みや痺れが悪化してきて歩けなくなるのですが、少し腰を曲げて休憩すると状態が回復するという点です。これを「間欠性跛行」といいます。

 症状が進行して悪化してくると、連続して歩ける距離がどんどん短くなっていきます。さらに立っているだけでも痛みや痺れが出てきたり、常に痛みや痺れを感じたり、もっと悪化すると尿意や便意を自分でコントロールできなくなります(排尿・排便障害)

 第2章で紹介したような、腰への負担が長年かかり続ける事で背骨が変形してしまった事がこの病態の原因となっています。
 腰への負担が長年かかり続ける事で起こる病態なので、この脊柱管狭窄症は若年者でみかける事はまずありません。50代以降の人に多くみられる病態です。
 
これは、椎間板ヘルニアが10代や20代でもよく見かける事と比べると大きな違いだと言えます。

 椎間板ヘルニアは自然治癒が見込めるのに対して、脊柱管狭窄症は背骨の変形なので自然治癒は見込めません。むしろ放っておくとどんどん骨の変形が進んで悪化していきます。

 では、脊柱管狭窄症による足腰の痛みや痺れが治らないのかというと、そんな事はありません。


脊柱管狭窄症の痛みの原因

 前述した通り、脊柱管狭窄症の大きな特徴は歩くと痛みが強くなる事です。歩く時の痛みが出なくなれば、ほとんどの場合脊柱管狭窄症で生活に支障が出る事はなくなります。
 脊柱管狭窄症の症状は、「連続歩行距離」がその状態把握の重要な指標になります。つまり、続けてどれくらい歩けるか、です。

 連続歩行距離が100mで、100mで痛くて歩けなくなるようでは大きな問題ですが、これが1km歩いても痛みが出ないくらいの状態になれば、日常生活や普通の仕事をする程度の事だとほとんど問題がなくなります。現代人の生活で1km立ち止まりもせず休まずに歩かなければならない場面というのはそうそうないからです。

 脊柱管狭窄症の痛みの出方の特徴は、腰を曲げても痛くないけど腰を反らすと痛みが出る、という事です。これは椎間板ヘルニアの痛みの出方と正反対になります。

 脊柱管狭窄症では、腰を反らすと変形した骨が神経に触れて痛みや痺れが出ます。歩いていると足腰の筋肉の働きにより、背骨を反らす方向への負荷がかかり、これにより歩いていると痛みや痺れが悪化してくるのです。

 また、立っていると座っている時よりも腰が反るので、病態が悪化すると立っているだけでも痛みや痺れが出てきます。


脊柱管狭窄症を改善する方法

 脊柱管狭窄症の症状を改善するための基本的なアプローチは、腰を反らせる筋肉の柔軟性を上げる事です。それはつまり、股関節前面の筋肉と背中の背筋を柔らかくするという事です。地道に硬い筋肉を伸ばしたり、腹筋を働かせて背筋が硬くならないようにしていく必要があります。

 ただし即効性のあるものではないため、生活に支障が出ているのであれば当面の措置として以下の様な事を行うと良いでしょう。

①自転車で移動する
脊柱管狭窄症の問題点は、歩くと痛くなるため歩かなくなり、足腰や体力が衰える事です。自転車に乗ると腰は曲がりがちになるため、脊柱管狭窄症が原因で痛みが出るという事は稀です。何より体力を落とさないという事を一番に考えると自転車に乗る事は最も推奨されます。

②腰を曲げる事を意識して歩く
 腰を曲げると痛みが出難いのが特徴なので、腰を曲げながら歩く事を意識して歩きます。ただし、何も持たずに腰を曲げて歩くのは難しいため、杖やシルバーカー図017などを持て歩くと良いです。ウォーキング用の2本杖を使用すると腰への負担は普通の杖より軽減します。図017b
 杖を持つ場合は少し長さを短めにすると腰が曲がり気味になりやすいので良いでしょう。

③家事の時に踏み台を使う
 立位での作業が辛い場合、特に女性の台所仕事などがこれに当たりますが、図018のように片脚を踏み台の上に載せて立ち仕事を行うと腰への負担が減ります。これは脚を上に上げると必然的に腰に曲がる方向への力が働くからです。踏み台の高さが高くなるほど腰に曲がる力が働きますが、実際に試してみてちょうど良い高さの台を使うべきだと考えます。

 以上の様な事でとりあえず対処しながら、しっかりと筋肉の状態を整えて痛みの出ない体づくりをしていく事が最も重要です。
 繰り返しますが、何もしなければ背骨の変形は更に進行していくので、なによりも状態を悪化させないという事が大切であると言う事もできます。
 また腰を曲げれば痛みが出なくて楽な反面、腰を伸ばさないとどんどん腰が曲がっていってしまい、背骨の変形を助長する事にも繋がります。状態改善にはしっかりと腰を動かすという点も重要になります。

 改善の為の実技の方法は改めて実技の章で紹介します。


手術をしたら治る?

 背骨が神経に触れている事が痛みや痺れの原因なので、手術で骨を切り取ってしまえば治りそうな気もしますが、それほど単純な事でもありません。
 実際、脊柱管狭窄症の手術は背骨の神経に触れている部分を切り取るわけですが、他の腰の手術と比べても、「良くならなかった」と言われる人の割合が特に高いという印象を受けます。

 理由は二つ考えられます。一つ目は、脊柱管狭窄症単独ではなくて梨状筋症候群など他の坐骨神経痛を引き起こす病態も併発していたという点。さらに言えば、脊柱管狭窄症ではなくて本当はそちらが痛みの原因であったなら、手術で背骨を切り取っても症状は当然改善されません。

 もう一つは、骨に触れていた神経についた傷が、骨を切り取ってももう治らないという点です。脊柱管狭窄症の特徴は高齢者に多い事であり、自然治癒能力はそれほど高くありません。だから、骨を切り取っても神経についた傷が治らないという事も考えられます。

 いずれにせよ、医師は歩けるレベルの人に脊柱管狭窄症の手術をあまり勧めません。手術をした後に歩けなくなると医師の側が困るからです。
 多くの場合、痛みで歩けなくなったり、排尿障害などが現れてから手術を勧められる事が多い状況です。
 
 言うまでもない事ですが、大切なのはそこまで状態を悪化させない事です。その為にしっかりと本書で紹介するような運動療法をしっかりと継続して行ってみるべきなのです。


背骨の変形は病気?

 背骨の変形が本当に病気なのかというとこれは難しいところで、むしろ自然な老化現象であるという方が正確なのかもしれません。

 特に60代以降では、多くの人に背骨の変形は少なからず起こっています。そして、本人は気づいていないかもしれませんが、2時間とか3時間連続して歩けば足腰に痛みや痺れが出るという人は多いかもしれません。
 ただ、現代人の生活スタイルではそれほど続けて休まずに歩くような機会は滅多にないので、それに気づかないのです。

 現在、脊柱管狭窄症の人でも1時間続けて歩けるようになれば、おそらく「治った」と思うはずです。この変化は背骨の変形が治ったわけではなくて、筋肉の状態の変化に由来するものなのですが。

 同程度に背骨が変形していても、痛みや痺れが出ている人と出ていない人がいて、それは筋肉の働き方に由来しているという可能性が高いのです。

 ただ、特に60歳以上の人には一度真剣に考えて頂きたいのですが、人間は骨が変形して足腰が曲がっていって痛くて歩けなくなって死んでいくのがむしろ自然な経過なのです。厚生労働省が出している健康寿命を参考にすると、平均で日本人は70代の前半で生活が自立できなくなります。つまり一人でまともに外を歩けなくなるという事です。これが60代でおきても誤差程度でしかありません。80歳や90歳でも元気に歩いている人もたくさんいるわけですから、同じくらい60代でまともに歩けなくなっている人もたくさんいるのです。平均値なのですから。

 特に60歳を過ぎたら、健康を維持するためには「正しい努力」が常に必要になります。我流でやみくもに努力をして体を悪くしている人も多いため、できれば専門家の助言を受けながら、自分の状態に適した努力を行う必要があります。

 専門家の指導を受ければお金もかかるでしょうし、毎日行う事なので手間も時間もかかりますが、「普通」に過ごしていたら背骨の変形が進み脊柱管狭窄症は悪化します。それが「普通」に歳をとるという事だからです。

第5章 梨状筋症候群

 ここで紹介する梨状筋症候群は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に比べると、名前が知られていない病名かもしれません。
 病院でこの診断名が付けられることは極めて稀だからです。私も病院に何年も勤務していましたが、自分が担当した人でこの診断名を付けられた人を見たことがありません。
 ただし、医師から普通に「坐骨神経痛」とだけ言われた人の多くがこの梨状筋症候群に該当していました。
 また、診断名が椎間板ヘルニアであったり脊柱管狭窄症と付いている人でも、梨状筋症候群を併発していたり、むしろ痛みや痺れの原因の大半は梨状筋症候群であろうというような人も多くみてきました。

 梨状筋症候群とは、図019のように、お尻にある梨状筋という筋肉が硬くなって、その下から出ている坐骨神経を圧迫して坐骨神経痛を引き起こしている状態の事を言います。
 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が背骨の所で神経に当たっているのに対して、この梨状筋症候群は腰というよりお尻の所の病変だということもできます。

 筋肉はレントゲンやMRIには写りません。病院での診断は主にレントゲン写真とMRIによる画像診断で付けられるため、この梨状筋症候群という名前が病院でつけられる事は滅多にありません。
 坐骨神経痛が出ているのに、レントゲンやMRIで椎間板の問題や背骨の変形が見られない場合、医師からは単に「坐骨神経痛ですね」と言われる程度です。

 問題なのは、痛みや痺れが出ていなくても、椎間板ヘルニアは腰痛のない成人の7割以上にみられる※(Boos N. ら による研究。学術誌 『Spine』 1995年)という事と、背骨の変形も痛みや痺れに関係なく加齢に伴い程度の差はあれ、年齢によってはほとんどの人にみられるという事です。

 つまり画像上、椎間板ヘルニアや脊柱管の狭窄が確認されても、本当はそれが坐骨神経痛の原因かどうかわからないという事になります。

 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術をしても、「全く良くならなかった」と言う患者さんは少なくありませんが、もし坐骨神経痛の本当の原因が梨状筋症候群であった場合、当然手術で椎間板や背骨を切り取っても良くなるはずがありません。

 ちょっと恐ろしい事なのですが、梨状筋症候群の検査を病院で医師が行う事はほとんどありません。梨状筋症候群を調べる検査はMRIなどの画像診断ではなくて、足を動かしたり、筋肉を押したりして、痛みや痺れなどが出るかどうかを調べる「理学的検査」で調べる事ができます。


 写真014のように股関節をひねって梨状筋を引き延ばしてみたり(Freiberg's test
)、写真015のように直接梨状筋を押してみて、筋肉の硬さや、痛みや痺れが出るかどうかを確認します。
 病院では時間がないのと、医療制度上の問題などもあり、医師がこの様な検査を行う事はあまりありません。
ただ、医師の指示で患者さんが理学療法科に回されると理学療法士がこの様な検査を行う事はよくあります。ただ、梨状筋症候群は基本的に慢性的な病態である事が多いため、医療保険制度上の問題から、理学療法士によるこの様な理学的検査も行われる事がほとんどないのが実情です。

 不完全ではありますが、自分でもわかる梨状筋症候群の検査として、写真016のように脚を組んでみる事で梨状筋の硬さがわかることがあります。
 梨状筋の柔軟性に問題がなければ、スネの角度が床面に平行に近い角度になりますが、梨状筋が硬いと写真右側のように膝が立ってしまいます。人によってはこの様に脚を組む姿勢をとるだけで、お尻から太ももの上の方に突っ張りを感じる事もよくあります。

 あと、単純に坐骨神経痛が出ている側のお尻の部分を押した時に硬さを感じたり、押すと、痛みが出たり筋肉が凝っている所を押される感じがして気持ち良いように感じる事も多くあります。

 マッサージ師の人などは、経験的にこの筋肉が凝りやすい事を知っているため、梨状筋が硬いとその部分を強く揉んだりする事があります。

 凝っているので揉まれると気持ち良いのですが、梨状筋は過敏な筋肉なので、間違ってもお尻の部分の痛みや坐骨神経痛があるのにこの部分を強く揉んだり長く揉んだりしてはいけません。その時はよくても後から余計に硬くなります。いわゆる揉み返しというものです。

 梨状筋症候群による坐骨神経痛は、梨状筋の柔軟性を改善することで改善されます。その為には股関節のストレッチや軽度の運動、また温熱療法などを行います。

 また、第2章で少し説明したように、足の指や足首を動かす筋肉の働きが悪くなると、代わりに股関節の筋肉を使って立っている時にバランスをとろうとするようになり、股関節を硬くする原因になります。だからこういう足元の筋肉の働きも改善させる必要もあるのです。

 他にも、痛みがあると周囲の筋肉が硬くなりますので、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症で坐骨神経痛が長く続くと、その部分の筋肉が硬くなってしまって、二次的に梨状筋症候群を併発させてしまうというのもよくある事です。
 この様な場合は、当然ながら同時に椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の改善も進める必要があります。

改善方法については、詳しくは実技の章で紹介して参ります。


実技基礎
30腹式呼吸
半身浴

重要なものから
実技ヘルニア
1体幹伸展
2梨状筋ストレッチ

実技狭窄症
3ウェイトシフト前後→10センチ台
4腸腰筋ストレッチ

実技梨状筋S
5梨状筋運動 座位・腹臥位
6梨状筋ストレッチ
7大殿筋ストレッチ
8立位回旋運動

実技共通:慢性腰痛
重複してもすべて記載

寝て行う運動
10臥位回旋
11臥位回旋ストレッチ
12ヒップアップ
13ヒップアップ片脚

座って行う運動
14ウェイトシフト前後
15ウェイトシフト左右リーチ
16ウェイトシフト回旋
17ウェイトシフト回転

立って行うもの運動
18立位左右リーチ
19立位ステップ
20立位回旋
21立位バランス
 22マンーT 開閉
 23返脚立位 開閉
 24ロンベルク 開閉

片脚で背伸び

ストレッチ各種
 25腸腰筋
 26大殿筋
 27梨状筋
 28内転筋
 29ハムスト3種


腰痛・ヘルニア等を本気で改善したい人はこちら
http://www.tnseitai.com/



※得られる結果には個人差があります

東大阪市の接骨院・整骨院では治らない腰痛ヘルニアが良くなる理由

[記事URL]

最近の接骨院・整骨院では
マッサージや電気治療の他に、

保険適応外での自費治療として、
独自の手技・施術法で腰痛治療を
行う所もあると聞きます。

ではなぜ、そんな東大阪市の接骨院・整骨院で治らない腰痛が
当院で良くなるのか、ご存じでしょうか?

まずは当院で改善された
腰痛ヘルニアに悩む方の声をご覧ください。

>整骨院に何件か通ってたんですけど全然治らなかったんです<

・朝起きるときに腰からお尻やふくらはぎにかけて痛みが強い

・腰痛のせいで子供をお風呂に入れるのもつらい

・座ると痛みが強く出て仕事に支障がでている

・病院で手術を勧められたけど入院して仕事を休めない

もしあなたが現在この様な腰痛ヘルニアの症状に悩んでいるのなら、
きっと当院での施術で力になれるはずです。

東大阪市には数多くの接骨院・整骨院があり、
中には電気やマッサージだけではなく独自の手技を
行う所もあると聞きます。

接骨院・整骨院の安価な保険診療で
あなたの腰痛ヘルニアが改善されるなら
それが最良かもしれません。

保険適応外で高価でも、良くなるのなら
もちろん良いと思います。

でも、もし東大阪市で腰痛ヘルニアで接骨院や整骨院に通ったのに改善がみられなかったという人は、当院のホームページの内容を見て頂きたいと思います。きっと有益な内容であると思います。

こちらをご覧ください→東大阪市の腰痛ヘルニア専門院



※得られる結果には個人差があります

東大阪市の病院や整形外科で治らない腰痛ヘルニアのあなたへ

[記事URL]

病院や整形外科に通っても全く治らない。
病院では湿布と痛み止めの薬を出されるだけ。

痛み止めの薬と湿布だけで治るわけないのに
こんな対応をされて不満をもった事はありませんか?

レントゲンやMRIを撮っても手術するほどじゃないと
言われて、結局なにもしてくれない。

もし、こんな事で不満を持っておられるなら、
当院はあなたのお役に立てるはずです。

まずは当院で改善された方の声を
お聞きください。

>痛み止めの薬を飲んでも少しの間しか効き目がないし、ずっと痛みがとれず脚の痺れも出てきて<


もしあなたが、
・痛み止めの薬で症状を抑えるだけの治療に満足できない
・本当に治したい
・健康になりたい

そう本気で希望されるのであれば、
ホームページを確認して頂き、
当院に一度ご相談ください。

ホームページは
こちらをご覧ください→東大阪市の腰痛ヘルニア専門院



※得られる結果には個人差があります

東大阪市のカイロプラクティックで効果のなかった腰痛ヘルニアのあなたへ

[記事URL]

腰痛ヘルニアの痛みでお悩みではないですか?

しかも東大阪市のカイロプラクティックで
効果のなかったあなたへの提案です

まずは、この患者様の声をお聞きください


>カイロプラクティックとかも行ったんですけど全然だめで・・・<


病院・接骨院・マッサージからカイロプラクティックまで、様々な施設に通院しても良くならなかった腰痛の方でも当院では改善されております。

それは、その改善率の高さから治療家用教材にもなった
当院独自の施術法があるからです。

長岡式「腰痛・坐骨神経痛」完全攻略テクニック

長岡式.png

この当院独自の腰痛攻略テクニックで
腰痛の原因に対してアプローチをかけて参ります。

東大阪市のカイロプラクティックで効果のなかった
腰痛・ヘルニアのあなたへ

もしカイロプラクティックをはじめ、どの治療院に行ってもダメだったという人は一度当院の情報を見て欲しいと思います。

当院には腰痛・ヘルニアで悩みを持つ方が多く来院されています。

あきらめる前に、一度ご覧ください。 クリック→腰痛専門TN整体院



※得られる結果には個人差があります

東大阪市の鍼灸でも治らない腰痛・ヘルニアがなぜ当院で良くなるのかご存じですか?

[記事URL]

腰痛ヘルニアの痛みでお悩みではないですか?

しかも東大阪市の鍼灸で
効果のなかったあなたへの提案です

まずは、この患者様の声をお聞きください


>どこに行っても治らない人にはおすすめですね<


病院・鍼灸・接骨院まで、様々な施設に通院しても良くならなかった腰痛の方でも当院では改善されております。


・朝起きるときに腰からお尻やふくらはぎにかけて痛みが強い


・腰痛のせいで子供をお風呂に入れるのもつらい


・座ると痛みが強く出て仕事に支障がでている


・病院で手術を勧められたけど入院して仕事を休めない

もしあなたが現在この様な腰痛ヘルニアの症状に悩んでいるのなら、
きっと当院での施術で力になれるはずです。

なぜ、どこへ行ってもダメだった腰痛ヘルニアが当院では改善されるのか?
それは、その改善率の高さから治療家用教材にもなった
当院独自の施術法があるからです。

長岡式「腰痛・坐骨神経痛」完全攻略テクニック

長岡式.png

この当院独自の腰痛攻略テクニックで
腰痛の原因に対してアプローチをかけて参ります。

東大阪市の鍼灸治療で効果のなかった
腰痛・ヘルニアのあなたへ

もし鍼灸をはじめ、どの治療院に行ってもダメだったという人は一度当院の情報を見て欲しいと思います。

当院には腰痛・ヘルニアで悩みを持つ方が多く来院されています。

あきらめる前に、一度ご覧ください。 クリック→腰痛専門TN整体院



※得られる結果には個人差があります

東大阪の病院で治らない腰痛(工事中テスト)

[記事URL]

タイトル案1:(仮)姿勢を正す! ―理学療法士が教える姿勢改善の方法-
タイトル案2:(仮)ねこ背を治す! -自分で悪い姿勢を治す方法-

赤字の写真とある所は写真
青字の図とある部分は図
緑字の筋肉の名前の部分は筋肉のイラスト
をそれぞれ挿入

はじめに

 本書を手にとって頂きありがとうございます。この本はあなたの姿勢を美しく健康的に改善するための本です。
 姿勢が悪いと見た目が美しく見えないだけではなく、健康を害します。腰痛・肩こりといった軽度の症状から、頚椎症や腰椎症などの神経症状を有する疾患を引き起こす原因にもなります。私は病院でそのような病気の人たちの治療に携わっている理学療法士です。

 また心理学的要因から、姿勢の悪い人は「しょぼくれている」「自信がなさそう」「信用できない」「頼りにならない」といったネガティブなイメージを第三者に与えます。これはビジネスシーンにおいて、不利な要素となることは言うまでもありません。
取引相手との交渉のみならず、上司・部下など内側の人間に対しても、そしてあなたに接する全ての人に対しての印象に影響を与えます。

本書は実用書なので効果がなければ意味がありません。是非、この「はじめに」で紹介する3つの実技だけで良いので、実際に行ってみてもらえないでしょうか。かなり分かりやすい効果がすぐに現れます。


実技A ハムストリングスのストレッチ
①まず前屈して自分の手がどこまで届くか確認します。(写真1)
②しゃがんで両方の手のひらを床につけます(写真2)
③手のひらを床につけたまま両足を伸ばせる所まで伸ばします(写真3)
太ももの裏側がひっぱられて少しキツイですが20秒ここで我慢してみてください
④前屈して自分の手がどこまで届くようになったか確認してみてください(写真4)

 どうでしょう。確実に①より④のほうが手が下まで届くようになっていると思います。たった20秒で筋肉の柔軟性が改善したのです。これは本書の中でもご紹介する姿勢改善法のテクニックの一つです。筋肉の柔軟性と姿勢は密接な関連性を有しています。

図1
 この実技でストレッチをかけたのは太もも後面にあるハムストリングスという筋肉です。この筋肉の柔軟性が低下して硬く・短くなると、骨盤を後ろに傾けます。そうすると、その影響で背骨は前のめりに湾曲し、いわゆる猫背になってしまいます。
 
このハムストリングスに限らず、姿勢の悪い人は身体が硬い人が非常に多いのです。筋肉の柔軟性の低下によって、硬くなった筋肉に骨が引っ張られて関節が曲がり、姿勢が悪くなっているのです。

 厳密にいうと、単純な柔軟性の低下だけではなく、部分的に筋肉の働きが悪かったり、反対に過剰に筋肉が働いて凝り固まったり、といった要因もあります。

 本書はこういった正常ではない筋肉の状態を改善して、美しく健康的な姿勢をつくるための実用書です。


 二つ目です。これはたまにテレビなどでやっている「一瞬でウエストが細くなる方法」のタネ明かしです。

実技B 腹横筋と横隔膜の同時収縮
①リラックスして立ちます。この姿勢ではじめにウエストのサイズを測ります。写真16
②深呼吸の要領で大きく息を吸い、背すじを伸ばします。ここでもう一度ウエストのサイズを測ります。写真17

 どうでしょう。①より②のほうがウエストのサイズが小さくなっているはずです。実際には一人でウエストのサイズを測るのは難しいので分かりにくいかもしれませんが、②の状態の時のほうがお腹が凹んでいるような感じは分かるのではないでしょうか。

 これは呼吸に合わせて腹横筋というお腹を凹ませる筋肉が働いたためです。図29 この腹横筋の働きが悪いとお腹は前方にでっぱり、正しく働けばお腹を凹ませ背すじを伸ばすのです。

 ちなみに、テレビに出てきてこういうことをする人は慣れているので、なんらかの方法で被験者に無意識の内に腹横筋を収縮させ、その瞬間にウエストのサイズを測っているというわけです。

 もちろん、こういう方法ではすぐにウエストサイズは元に戻ってしまいます。しかし、持続的に腹横筋が働く身体をつくれば、実際に細いウエストを手に入れることができます。そして、それは可能です。


 3つ目です。これは「実技」というほどではありませんが、是非試してみてください。椅子に座っている時の姿勢がすぐにかわります。

実技C 座面の高さを変える
①まず普通にリラックス(脱力)して自分がちょうど良いと思う座面の高さの椅子に座ってみてください。写真115
②固めの座布団やクッションを敷き、座面を①の時より5~10cm高くします。足の裏をしっかりと床につけたまま座ってください。写真116

 どうでしょう。普段猫背気味の人では①より②の座り方のほうが少し背すじが伸びたのではないでしょうか? 少なくとも背すじを伸ばしやすくはなるはずです。

写真をよく見比べてもらうとわかるのですが、①と②では股関節の曲がっている角度が少し違います。②の方が股関節の曲がり方の角度がやや少ないのです。これが原因で骨盤の傾きが変わり、姿勢全体の変化をもたらしているのです。

 骨盤や股関節の影響で姿勢は大きく変わってきます。この辺の理論や改善方法なども本書で紹介しております。是非、さらっとでも良いので御一読頂ければ嬉しく思います。

目次
はじめに
第1章 悪い姿勢とは
第2章 骨盤のゆがみ
第3章 股関節と姿勢・動作
第4章 体幹筋の働き:コア・スタビリティ
第5章 呼吸に使われる筋肉と姿勢の関係
第6章 インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(浅層筋)
第7章 その他の姿勢や健康に大事なこと(肩甲骨とふくらはぎ)
第8章 実技:体幹編
第9章 実技:下肢(脚部)編
第10章 悪い姿勢がもたらす病態
第11章 姿勢と心理
あとがき
 

第1章 悪い姿勢とは

1:横から見た場合(前後方向のゆがみ) 猫背型・反り腰型

 そもそも、悪い姿勢とはどのような姿勢なのでしょうか。ここで、日本人に多い悪い姿勢を簡単に3種類あげてみます。

1:猫背型 写真05
 猫背は悪い姿勢の代表なのではないでしょうか。厳密に見てみると、背中が円くなっているだけでなく、頭部の位置が前方に変位、肩の位置も前方に変位、その影響でバランスをとるために膝が少し曲がっています。
 頭部の位置の変位により、肩こりを非常に引き起こしやすい姿勢でもあります。また、背骨の湾曲が正常でないために腰痛の原因にもなります。膝が伸びきらないことから中高年以降では膝関節痛の原因となる場合もある姿勢です。
 
2:反り腰型 写真06
 腰が大きく反っており、お腹が前方に出っ張っています。この姿勢はお腹が出ている人がとりやすい姿勢です。妊婦さんなどは自然とこの姿勢になります。
 こちらも比較的多い姿勢なのですが、腰痛の原因になりやすい姿勢です。妊娠などではなく、単純にお腹が出ているだけの人の場合、脂肪がたまっているというよりも、腹筋の働きが悪い為に内臓を押さえることが出来ていないという場合が多いようです。

3:猫背+反り腰型 写真07
 腰が反ってお腹が出ており、肩はなで肩で頭部が前方に変位している姿勢です。胴体の上半分が猫背型、下半分が反り腰型といっても良いでしょう。
 言うまでもなく、腰痛、肩こり、膝関節痛などの病態を引き起こしやすい姿勢です。

 どうでしょう? 以上の悪い姿勢を見て、どのように思われますか? おそらくここで上げた3つの姿勢をみて「美しい」と感じる人はいないと思います。むしろ「醜い・美しくない」と感じる人が大半なのではないでしょうか。

 人の脳は本能レベルで、健康的な人間を美しいと感じるように出来ているようです。健康的な人に魅力を感じたほうが、子孫の繁栄に有利だからかもしれません。
 そして、ここであげた悪い姿勢はどれも様々な病態を引き起こす、医学的に見ても悪い姿勢なのです。
 上記の3つの悪い姿勢は、肩こりや腰痛の原因になるのは間違いありません。それだけではなく、もっと深刻な病態の要因にもなるのです。例えば、頚椎症や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症や胸郭出口症候群といった神経疾患を引き起こす可能性が大きいのです。
 
 私は、病院で理学療法士としてリハビリ関連の仕事をしています。そして、まさにこのような病気の人達を相手に姿勢改善のための運動を指導しているのです。

2:正面から見た場合(左右方向のゆがみ) 重心が左右いずれかに片寄っている
 身体の重心が左右のいずれかに常に片寄っている人も多く見かけます。写真を見てみてください。写真8:座位 写真9立位 
写真8では鼻先やアゴの先の位置と、両膝の中間の位置が一致していません。写真9では鼻先やアゴの先の位置と両足のつま先の中間が一致しません。これらは体の重心が右に寄ってしまっているということです。パっと見たくらいではこういう小さな左右への片寄りというのはわからないことが大半です。

こういう重心が右に寄っている人は立ち上がる時はどのようにどのように立ち上がるか。写真の様な立ち上がり方になることが多いのです。写真10:座位 11:臀部離床 12立位

ここでは座位姿勢・立位姿勢、あと立ち上がり動作だけを取り上げましたが、ここで取り上げたような人の場合、日常におけるすべての動作が右側に体重が多くかかってしまっているのです。歩いたり、階段を上り下りする時なども。

 このように、身体の左右の一方だけを過剰に使い続けると身体に歪みが出てきます。日常生活においては、できるだけ身体を左右均等に使う方が良いのです。本書では、全ての動作の基本となる座位と立位姿勢の改善方法を実技紹介の章で紹介いたします。

3:上から見た場合(上下方向のゆがみ) 身体がねじれている
最後に、今度は上から見てみましょう。写真13を見てください。右膝が左膝よりも前に出てしまっています。これは身体が捻じれているということです。

次に写真14を見てください。こちらは膝の位置は左右そろっているのに右の肩が左の肩よりも前方に位置しています。これも身体が捻じれてしまっているということです。

写真15を見てください。今度は膝も肩も右側が左側よりも前に出てしまっています。顔は正面を向いていますので、当然これも身体が捻じれてしまっているということです。

身体の捻じれは身体の左右の筋肉の働き方がアンバランスなために起こります。この筋肉の働き方のアンバランスが身体のねじれ・ゆがみとして現れるのです。

この章のまとめ
・悪い姿勢とは、不健康な姿勢である。
・人の脳は健康的な姿勢を美しいと感じ、不健康な姿勢を醜いと感じる
・前後方向・左右方向・上下方向、3方向から、3次元的に身体の歪みを認識する必要がある

第2章 骨盤のゆがみ

「骨盤のゆがみ」という言葉をみかけることが多いのですが、これはどのような状態のことを言っているのでしょうか。よく聴く言葉なのですが、少なくとも医療上の専門用語としては使われない言葉です。

「骨盤のゆがみ」といわれる状態について、ここで私なりに簡単にまとめてみました。

1:骨盤の、骨同士が接合する部分がねじれる、ずれる。
図2
 骨盤は複数の骨がつながってできています。そのつなぎめの部分がねじれてしまえば、文字通りの「骨盤のゆがみ」といわれる状態になります。

 特に仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節という部分には負荷がかかりやすいため、この部分のねじれやズレが腰痛などの病態の原因となることは割と多くあります。

 骨盤前面の恥骨結合という部位も骨の接合部なのですが、産後の女性以外ではあまりこの部位が問題になるということはないようです。

2:姿勢の影響で骨盤が傾く・回旋する

 一般的に「骨盤のゆがみ」と言われている状態の大半はこちらになると思います。骨盤のゆがみというより、姿勢全体のゆがみであり、これは肩こり・腰痛・膝関節痛はじめ諸病態のベースになります。

 ここでいう骨盤の歪みは、その骨盤の傾きの影響などから、腹部が前方に出っ張ったり、猫背になったりもして見た目にも美しくない姿勢となります。

a:前後方向への傾斜 図3
b:左右方向への傾斜 図4
c:骨盤が回旋してしまっている 図5

 実際には、上記のa・b・cが合わさって骨盤がゆがんでいる人が大半です。たとえば、骨盤が後方に傾き、合わせて右側に傾き、さらに左側が後方に回旋してしまっているとか、そんな人が多いのです。

まとめ
「骨盤のゆがみ」は「姿勢のゆがみ」とほぼ同じ意味である
 主な骨盤のゆがみ:前後方向への傾斜・左右方向への傾斜・骨盤の回旋

第3章 股関節と姿勢・動作

股関節と姿勢
 股関節の周りの筋肉の柔軟性に問題があると、骨盤を正常ではない角度に傾けてしまうため、姿勢のゆがみの原因になります。

①股関節前面の筋肉に問題がある場合
 図10を見てください。これは股関節の前面に付いている筋肉の柔軟性が低下したり短縮している場合の図です。短縮した股関節前面の筋肉にひっぱられて骨盤が前に傾いています(骨盤前傾)。こうなると、バランスをとるために背骨は腰の部分で反りを大きくする必要が出てきます。
 つまり、股関節前面の筋肉の短縮は悪い姿勢の一つである「反り腰型」の原因となるのです。

反り腰型の原因となる筋肉(股関節周囲で)
 腸腰筋
 大腿筋膜張筋
 恥骨筋
 大腿直筋

②股関節後面の筋肉に問題がある場合
 今度は図11を見てください。こちらは股関節後面についている筋肉の柔軟性が低下したり短縮している場合の図です。短縮した股関節後面の筋肉に引っ張られて骨盤は後ろに倒れます(骨盤後傾)。こうなると、バランスをとるために背骨は前方に曲がって猫背になります。
 つまり、股関節後面の筋肉の短縮は悪い姿勢の一つである「猫背型」の原因となるのです。

猫背型の原因となる筋肉(股関節周囲で)
 ハムストリングス(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の三つの筋肉の総称)
 大臀筋

③股関節の側面の筋肉に問題がある場合
 次は図12を見てください。骨盤の右側が上がっています。それなのに脚はまっすぐ下に伸びています。この場合、右脚の内側についている筋肉の柔軟性が低下している可能性があります。そして、反対側の左脚では外側の筋肉の柔軟性が低下している可能性があります。
 それぞれ、右脚や左脚の外側や内側の筋肉の柔軟性が低下することで、骨盤を側方に傾斜させてしまうこともあります。
 この図12を見ると、これでは脚の長さが左右で同じでは釣り合いが取れず両足で立てないようにも見えます。実際の場合では巧妙に各関節の角度などが調整されることで、左右の脚長差がなくても骨盤の傾きが相殺されてバランスをとることができます。
 バランスはとれるのですが、これがいわゆる身体のゆがみの一つでもあるわけです。

 ちなみに、若いころからずっと左右のいずれかに片寄った姿勢をとっていると本当に左右の脚の長さが変わってきます。実際に測ってみると、案外脚長差のある人は多いです。
実際に左右の脚長差がある場合でも、やはり同様に代償的に身体の各関節の角度が調整され、一見脚長差などないように見えます。日常生活においても左右の脚長差が2cm以下であれば動作に問題は生じないとされています。

骨盤の側方傾斜の原因となる筋肉(股関節周囲で)
 外側 中臀筋・小臀筋・大腿筋膜張筋
 内側 短内転筋・長内転筋・大内転筋・恥骨筋・薄筋

※その他
 上述した場合とは別に、両側の股関節外側の筋肉が凝り固まって柔軟性が低下し、反対に両側の股関節内側の筋肉が弱化して衰えている人が非常に多くいます。
 この場合、図13のように脚が外に開き、いわゆるO脚やガニ股と言われる姿勢になります。これは膝を痛めやすい姿勢の典型です。


④股関節の回旋作用がある筋肉に問題がある場合
最後に骨盤を回旋させる筋肉を見てみましょう。写真125を見てください。右側の足先が左側よりも前に出ています。これは骨盤の右側が前に出て左側が後方に下がっている、つまり回旋してしまっている状態です。上半身や顔はまっすぐ正面を向いていますので骨盤の回旋によって身体のねじれが起こってしまっているということです。

こういう人は股関節では大腿骨を回旋させる筋肉の柔軟性に左右差が生じています。

大腿骨を回旋させる筋肉
 股関節外旋筋群(梨状筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋)
 

 どうでしょう。ここまで読んで頂ければお分かり頂けるかと思いますが、股関節周囲の柔軟性の低下は第2章で紹介した3種類の骨盤のゆがみの全てを引き起こす原因となるのです。

3種類の骨盤のゆがみ
 前後方向への傾斜
 左右方向への傾斜
 骨盤の回旋

そして、骨盤がゆがめば、その上についている背骨の曲がり方が変わってくるため、股関節の柔軟性は姿勢の制御に対して重要な意味を持っているのです。

股関節と動作
 単純な座位や立位姿勢以上に、運動を行うときに股関節の柔軟性はさらに重要になります。

 図15を見てください。これはゴルフのスイングをしている写真です。一般に「腰をひねる」動作ですが、左足の足先の向きに注目してください。スイング後の足先は体の正面とは違う方向を向いています。実は、一般に「腰をひねる」と思われている動作の大半は(立位では)股関節の回旋運動によるものなのです。
 実は腰椎(腰の骨)の回旋作用は左右に5°しかありません。それ以上の回旋負荷が腰にかかると、組織の損傷が起こり腰痛の原因となります。股関節の柔軟性に問題があれば腰椎に過剰な回旋負荷がかかってしまう可能性が高いのです。
 (※体をひねる作用には頚椎と胸椎の回旋作用も重要です)

 今度は図16を見てください。左は股関節の柔軟性に問題がない場合の前屈時の図です。この場合、股関節が前方に70°、腰椎は前方に40°曲がっています。
 これが股関節の柔軟性に問題があると、右側の図のように代償として腰椎に過剰に負荷がかかります。腰椎だけではなく、骨盤に存在する仙腸関節(図17)という部分にも過剰な負荷がかかり、腰椎や仙腸関節周囲の組織を損傷させてしまい腰痛の原因となります。

 この様に、股関節の柔軟性に問題がある場合、腰に過剰な負荷がかかってしまい腰痛を引き起こす原因となります。そして間接的には腰痛だけではなく、姿勢不良を原因とするすべての疾患の原因にもなり得ます。

この章のまとめ
 股関節の柔軟性低下は骨盤のゆがみを引き起こす→姿勢のゆがみ
 股関節の柔軟性低下は腰に過剰な負担をかける


第4章 体幹筋の働き:コア・スタビリティ

腹筋群と背筋群
 人間は背骨を縦方向に、垂直に立てて姿勢をつくっています。これが可能なのは、胴体部分前面の腹筋群と後面の背筋群、それぞれの筋肉が適正に働いているからです。

図6を見てください。普通、このように背筋群によって背中側から背骨を引っ張る力と、腹筋群が内臓を圧迫して圧力で胸郭を押し上げる力とで、人は姿勢を保っています。

 第1章で紹介した悪い姿勢「猫背」「反り腰」の双方に共通するのは、大半の場合腹筋群の働きが悪いという点です。

 腹筋群の働きが悪いと、図7のように胸郭を十分に支えることができずに前に倒れこみ「猫背」になるか、反対に図8のように腰の部分の背筋群が過剰に働いて腰の部分の反りが強くなり「反り腰」なってしまうのです。

腹筋群に含まれるいくつかの筋肉のうち、特に腹横筋の働きが悪いと綺麗な姿勢を保つことができません。
 この腹横筋はいわゆる腹筋運動をしても鍛えることができません。腹筋運動で鍛えられるのは腹直筋という、腹筋群の中でもまた別の筋肉だからです。

体幹のコア(核)になる筋肉
 上述した腹横筋の他にも体幹には姿勢制御において特に重要な働きをする筋肉がいくつかあります。ここでそれらについて簡単に紹介します。

1:腹横筋
 すでに少し紹介しましたが、この筋肉は腹筋群のなかで最も深い場所にある筋肉です。この筋肉の働きは「お腹を凹ませる」作用です。意識的にお腹を凹ませる時にも働きますが、普段は無意識のうちに姿勢の変化に応じて自動的に働いています。この筋肉の働きが悪いと、姿勢が悪くなるだけでなく、内臓が前に押し出されてお腹が前方にでっぱります。

2:多裂筋(腰部)
 背骨の背中側に付いている筋肉です。同類の他の筋群よりも深層・内側についています。腹横筋と連動して働き、背骨を支えて姿勢を保ちます。腹横筋の働きが悪いとこの筋肉は代償的に過剰に働きます。腰痛の人などは背骨の横にあるこの筋肉が凝り固まっている場合が多いです。

3:横隔膜
 膜という名前ですが横隔膜は筋肉です。息を吸う時に働きます。息を吸う時に下にさがり、息を吐くときに上に戻ります。この筋肉の働きがなければ人間は呼吸ができません。この横隔膜は胸郭の下面の壁となります。

4:骨盤底筋群
 この筋肉は骨盤の真ん中にある大きな穴を塞いでいる小さな筋肉の群です。この筋肉はおしっこを我慢する時に働く筋肉(尿道括約筋)やお尻の穴をしめる筋肉(肛門括約筋)などであり、普段あまり意識をすることのない筋肉です。この筋肉がちゃんと働かずにたるんでしまうと内臓をうまく下から支えることができません。

 上記の4つの筋肉は身体のインナーユニットと呼ばれる筋肉で、それぞれあまり意識をしなくても姿勢を制御する時に自動的に協調して働いてくれます。このインナーユニットは最も狭い意味での身体のコア(核)となる部分であり、これらの筋肉を正常に働かせることは、美しい姿勢をつくるうえで重要であるばかりでなく、無理なく身体を動かす上で非常に重要な意味を持つのです。図9

 この体幹のコア(核)の部分の安定性のことを「コア・スタビリティ」と言います。

 体幹は文字通り身体の幹であり、ここがしっかりしていないと腕や脚を使った運動や動作にも十分に力を入れることができません。そして無理な動作を続けると体の幹自体が醜く曲がりくねってしまうという悪循環になるのです。

この章のまとめ
背骨はお腹側の腹筋群と背中側の背筋群の働きで支えられている
体幹の筋肉の中でも特にコア(核)となる筋肉の働きが重要

第5章 呼吸に使われる筋肉と姿勢の関係

 「はじめに」の項で紹介したウエストのサイズが一瞬で小さくなる方法の実技です。この実技に関連した内容を説明するのでもう一度ここで紹介しておきます。是非とももう一度ここで試してみてください。

実技B 腹横筋と横隔膜の同時収縮
①リラックスして立ちます。この姿勢ではじめにウエストのサイズを測ります。写真16
②深呼吸の要領で大きく息を吸い、背すじを伸ばします。ここでもう一度ウエストのサイズを測ります。写真17

①より②の状態のほうがお腹が凹んでウエストのサイズが小さくなっているはずです。

 このときにお腹が凹む理由に絡めて、この章では呼吸に使われる筋肉と姿勢との関係について説明いたします。

 実技Bのとき、胸式呼吸という呼吸方法で息を吸っています。それに対して腹式呼吸という呼吸方法もあります。

 なんとなくイメージとして、腹式呼吸は良い呼吸法で胸式呼吸は悪い呼吸法というようなイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、腹式呼吸と胸式呼吸は同じくらい重要なものです。「深呼吸」と一般に呼ばれている呼吸方法は胸式呼吸に類別される呼吸法でもあります。まずは呼吸方法に良い方法と悪い方法があるわけではないということを理解してください。

腹式呼吸と胸式呼吸:筋肉の働き方の違い
胸式呼吸と腹式呼吸の違いは、簡単に説明すると以下のようになります。

 胸式呼吸:息を吸うときにお腹が凹む・背すじが伸びる
      息を吐くときに猫背になる
 腹式呼吸:息を吐くときにお腹が凹む呼吸
      息を吸うときにお腹が前に出る

図18の左側を見てください。これは実技Bとして紹介した胸式呼吸を行っている時の筋肉の働き方の図です。息を吸うとき、横隔膜という筋肉が働いてこれが下に下がります。このタイミングでお腹を凹ませる腹横筋が働いて内臓が圧迫されると背骨が後ろに反って背すじが伸びます。実技Bを行うとお腹が凹んで背すじが伸びるのはこのような筋肉の共同した活動によるものなのです。
 では、この呼吸法で息を吐く場合はどうなるでしょうか。図18の右側のようになります。横隔膜が弛緩して上にあがり、腹横筋も働きません。こうなると体の前側からの支えがなくなるため、背骨は前方に曲がり猫背のようになります。
 実際に胸式呼吸の一種である深呼吸をしてみれば、息を吸うときと吐く時での姿勢の違いが良く分かると思います。是非一度試してみてください。

今度は図19を見てみてください。こちらは腹式呼吸を行っている時の筋肉の働き方の図です。
図の左側が息を吸うときの筋肉の働き方です。横隔膜が働いて下に下がっています。しかし腹横筋が働いていないため、横隔膜によって上から圧迫された内臓が前方に押し出されお腹が前方にでっぱります。
次に図の右側、息を吐く時の図です。腹横筋が働き内臓を圧迫してお腹を凹ませています。圧迫された内臓の上方向への圧力によって横隔膜が上に押し上げられています。息を吐く時、横隔膜は弛緩するだけで上方向に戻っていくのですが、腹式呼吸の場合ではこの内臓の圧力の作用で更にその動きを助け、より深く息を吐くことができます。
 腹式呼吸の場合、息を吸っても吐いても姿勢に影響を与えません。また、息を深く吐き出すことができるため、深い呼吸ができるようになります。

以上のことを踏まえて、改めて胸式呼吸と腹式呼吸の特徴をまとめるとこうなります。
  胸式呼吸:息を吸うと背すじが伸びてお腹が凹む
       息を吐くと姿勢が崩れて猫背になる
  腹式呼吸:息を吸っても吐いても姿勢に影響がない
       深い呼吸ができる

呼吸方法の使い分け
 普通、人は特に意識をせずに胸式呼吸と腹式呼吸、この異なる呼吸方法を適切に使い分けています。
 例えば、腹式呼吸をしながら運動をすることは困難です。試しに腹式呼吸をしながらランニングをしてみてください。理屈抜きに不可能なのがよくわかります。
 運動をする時には、胸式呼吸の方が有利なのです。息を吸う時に背すじを伸ばす作用が運動中の姿勢の安定を助けるからです。ただし、胸式呼吸で息を深く吐くと背骨が曲がり猫背になってしまうため、必然的に呼吸は浅くなってしまいます。

 ちなみに、もっとも姿勢を安定させる方法は息をとめることです。実際に重量挙げの選手や短距離走の選手などは息を止めます。背骨への負担を減らしたり、体の重心を安定して効率よく走ったりするには、横隔膜や腹横筋をグッと固めて動かさないのが一番効率的なのです。

 安静時においては腹式呼吸のほうが深く呼吸ができるため、効率的な呼吸法となります。また、歌をうたったり大声を出すときなどは、息を強く吐くことができるために腹式呼吸が有利となります。

しかし、たまに安静時でも胸式呼吸を行っている人がいます。女性に多いのですが、これは問題です。可能性として、腹横筋や背中側の筋肉の働きが正常よりも悪い可能性があります。安静時であっても胸式呼吸による姿勢維持作用がないと姿勢の維持が難しくなっているかもしれないからです。

 胸式呼吸では呼吸は浅くなりがちなので、長期的にみると健康を損なう根本的な原因の一つにもなりかねません。

 もし自分が安静時でも胸式呼吸をしているようであれば、本書の実技紹介の章で紹介する腹横筋など体幹に対するアプローチ方法を是非実践してみてください。

この章のまとめ
腹式呼吸と胸式呼吸の特徴を知ることが重要
場面に応じて呼吸法を調整できることが大事
胸式呼吸は悪い呼吸法などではない。ただし、安静時に胸式呼吸をしている場合は問題あり。

第6章 インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(浅層筋)
 インナーマッスルという言葉を聞いたことはありませんか? 最近その重要性が有名になってきているので知っている人もいるのではないでしょうか。
 身体の内側の深い位置にある筋肉のことをインナーマッスル(深層筋)といいます。これに対して、身体の表面に近い浅い部分にある筋肉はアウターマッスル(浅層筋)といいます。

 例えば、腹筋群と呼ばれる筋肉には内側から順に、腹横筋→内腹斜筋→外腹斜筋→腹直筋という4つの筋肉があります。この場合、腹横筋はインナーマッスルで腹直筋はアウターマッスルになります。

 インナーマッスルは主に姿勢の制御や安定性、ひいては生命維持にも寄与するような筋肉です。例えば第4章や第5章で紹介した呼吸や姿勢維持に関係するような筋肉もこれにあたります。

 アウターマッスルのほうの働きはというと、こちらは運動、つまりダイナミックに動く時に強く働く筋肉です。力強い動きを出すにはこのアウターマッスルの作用が重要になります。

 姿勢が悪い人に非常に多いのは、インナーマッスルの働きが悪いということです。インナーマッスルの働きが悪いと、その代償として本来姿勢の維持には関わらないアウターマッスルの作用で姿勢が維持されるようになります。本来とは違う筋肉の作用により姿勢が維持されると、変な姿勢になります。これが第1章で紹介した「悪い姿勢」です。

 アウターマッスルの作用で姿勢を維持すると、その筋肉は過剰に緊張して凝り固まり柔軟性が低下します。肩こりや筋肉に由来する腰痛の原因などはまさにこれです。

 このような状態を解消するためには、インナーマッスルの活性化とアウターマッスルの過剰な緊張や柔軟性を改善する必要があるのです。


第7章 その他の姿勢や健康に大事なこと(肩甲骨とふくらはぎ)

肩甲骨の位置のズレ
 脚に対しての骨盤と同様に、腕に対しては肩甲骨が重要な意味を持ちます。肩甲骨の位置がズレていると姿勢が悪くなりますし、慢性的な肩やクビの凝りを引き起こす原因にもなります。

 肩甲骨の位置がズレているとはどういうことでしょうか。図20を見てください。最も多いのは、この図のように肩甲骨が外側にズレるズレかたです。
 背骨が前方に曲がる猫背型の姿勢をとると、自然と肩甲骨は外側に変位し、いわゆる撫で肩になります。写真18 このような姿勢や運動のつながりを運動連鎖というのですが、この運動連鎖によって「猫背+撫で肩」といった、一般的によく見かける悪い姿勢がつくられることも多くあります。

 このように、肩甲骨の位置がズレて撫で肩姿勢を長期間とっていると、この姿勢でいることが自然となってしまい、胸部にある大胸筋や小胸筋といった筋肉が硬化・短縮してきます。これらの筋肉は肩を前方に引っ張る作用があるため、柔軟性が低下してしまうとこの撫で肩姿勢を固着させてしまう原因になります。
長年「猫背+撫で肩」の姿勢をとっている人はこの大胸筋や小胸筋の柔軟性を改善する必要があります。

ふくらはぎの筋肉と足のむくみ・立位姿勢の安定
 ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれるほど、血液の循環に重要な意味を持っています。この部分の筋肉が十分に働かないと、足部の血液を上方向に押し戻すことができなくなってしまうためです。
 血液を上方向に十分に押し戻すことができなくなると、体の水分が足元に貯留してしまいます。これがいわゆる「むくみ」の原因です。
 運動不足が原因でふくらはぎの筋肉の働きが悪くなり、足首のあたりがむくんでいる人は実際にかなり多くいます。とくにもともと筋肉量が少ない女性に多くみられる症状です。
 筋肉が使われていないため、単純に衰えているだけではなく、凝り固まったりして柔軟性が低下していることも多くあります。

 「ふくらはぎ」といわれる部分の大半は下腿三頭筋という筋肉です。この下腿三頭筋は腓腹筋という筋肉とヒラメ筋という筋肉の総称です。
 この下腿三頭筋の働きが悪いと足のむくみの原因になるのですが、もう一つ重要な筋肉があります。それは下腿三頭筋よりも深部にある、足の指を曲げるための筋肉です。
 運動不足の生活が続くとこの足の指を曲げるための筋肉も衰えてしまいます。この筋肉は血液の循環にとって重要なだけではなく、立位姿勢や立位動作中にしっかりとバランスがとれるように地面を踏みしめる働きをします。
 図27の左側の図を見てください。足の指を曲げる筋肉がしっかりと働いていない状態というのは、極端にいうとこの図のように足の裏の極めて狭い部分で全体重を支えているようなものなのです。当然こうなるとバランスを取るのが難しくなり姿勢も悪くなります。
 反対に足の指を曲げる筋肉がちゃんと働いている場合は図27の右側の図のように足の裏全体で体重を支えることができます。当然この方が姿勢も動作も安定します。

 足の指は足の裏全体から見ると大した大きさではないように見えるかもしれません。しかし、図28の骨の図を見てください。「足の指」を図の趾骨の部分だけではなく、中足骨の部分まで含めて捉えると、足の裏全体の面積のかなりの部分を占めることになります。足の指を曲げる筋肉が働かない状態というのは、この図28の足根骨の部分だけで体重を支えている状態と言っても良いかもしれません。

 ふくらはぎの部分の筋肉の機能を改善することは、足のむくみをとるために重要であり、またバランスよく安定した立位姿勢をとったり、安全に歩いたり運動したりするためにも重要だということです。

※足の指を曲げる筋肉:長母趾屈筋・長趾屈筋など

第8章 実技 体幹編  

実技1 腹横筋トレーニング(座位)
目的:姿勢の維持・調整に最も重要な腹横筋を鍛えます。

手順1:背もたれにもたれずにイスに座ります。両手をお腹に当てます。
写真19

手順2:鼻から大きく息を吸います。息を吸った時にお腹が膨らむように呼吸します。
写真20

手順3:10秒以上時間をかけて口から息を吐きます。息を吐いた時にお腹が凹むように呼吸します。少し苦しいかもしれませんが、できるだけ細く長く息が吐けるように口をすぼめて息を吐ききります。
写真21
写真22

これを5~10回程度行います。過呼吸にならないように注意して回数を調整します。実際に時計を見て10秒数えながら行ってみてください。意外と10秒は長いということがよくわかります。

実技2 腹横筋トレーニング
目的:実技1よりも強い負荷で腹横筋を鍛えます。こちらの運動が可能なら実技1よりもこちらを行ってください。

手順1:
四這いになります 写真23
手順2:
この姿勢で鼻から大きく息を吸います。息を吸った時にお腹が膨らむように呼吸します 写真24
手順3:
 この姿勢で10秒以上時間をかけて口から息を吐きます。息を吐いた時にお腹が凹むように呼吸します。少し苦しいかもしれませんが、できるだけ細く長く息が吐けるように口をすぼめて息を吐ききります。
 写真25

これを5~10回程度行います。過呼吸にならないように注意して回数を調整します。実際に時計を見て10秒数えながら行ってみてください。意外と10秒は長いということがよくわかります。

※ この腹横筋トレーニングは最も重要な運動です。実技1か実技2のどちらかだけでも毎日続けて行ってみてください。お腹が凹み、姿勢が良くなります。

実技3:座位での体重移動練習(前後)
 目的:腹横筋と横隔膜を使いながら理想的な座位姿勢になるように体幹の筋肉の活動を調整する

写真26
リラックスしてまっすぐにすわります。多少猫背になっていてもかまいません。上から見て膝の位置に差がないかどうかを確認します。片方の膝が前に出ているような場合、体がねじれていますので修正してください。写真27
 体のねじれを修正した場合、体の感覚に違和感があるかもしれません。しかしそれで結構です。違和感を感じること自体が重要です。

写真28
大きく息を吸いながら背筋を伸ばし、胸を張ります。

写真29
息を吐きながらもとの姿勢に戻します。

ポイント
写真26と28を3回から5回繰り返します。決して急がずに、ゆっくり動作を行ってください。動作が速いとダメです。あと、お尻で体重の位置を感じながら行うと更に良いです。写真26の位置では体重はお尻の後方に、写真28の位置では体重はお尻の前方に移動するはずです。是非それを感じながら運動を行ってみてください。

あと、この運動で大切なポイントは左右のお尻に均等に体重がかかった状態で行うことです。

実技4:座位での体重移動練習(左右)
 目的:左右に同じだけ体重を移動することで体の重心の片寄りを治す

写真30
リラックスしてまっすぐにすわります。多少猫背になっていてもかまいません。
上から見て膝の位置に差がないかどうかを確認します。片方の膝が前に出ているような場合、体がねじれていますので修正してください。写真31
 体のねじれを修正した場合、体の感覚に違和感があるかもしれません。しかしそれで結構です。違和感を感じること自体が重要です。

写真32
 背筋を伸ばして息を吸いながら右側のお尻に体重を移動します。左右の肩の高さが同じようにしてください。左右の位置が床面に対して水平になるように行います。

写真33の位置にもどす

写真34
 左側にも同様に体重を移動します。左側のお尻に体重がかかります。大切なのは、右側と同じ分だけ左に動かしてください。もしそれが難しければ右側への移動量を減らして左側に移動するのと同じ程度にして運動を行います。

悪い例
 片方の側の肩の高さが上がったり下がったりしてはいけません。これは立位で行う場合でも同じです。
 写真35 体重をかけた方の肩が下がる
 写真36体重をかけたほうの肩が上がりすぎる。

ポイント
 左右の肩の高さは背骨の運動で調整します。片方の肩の筋肉をすぼめたりして調整しては意味がありません。
 この運動をゆっくりと左右ともに3回から5回程度繰り返します。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。

実技5:立位での体重移動練習(中央)
 目的:腹横筋と横隔膜を使いながら理想的な立位姿勢になるように体幹と脚の筋肉の活動を調整する

写真37
左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真38
 大きく息を吸いながら背筋を伸ばします。

ポイント
 写真37と38を3回から5回繰り返し行います。左右の足に常に均等に体重がかかっているよう注意してください。

実技6:立位での体重移動練習(左右)
目的:左右の脚に同じだけ体重を移動することで体の重心の片寄りを治す
 
写真39
肩幅くらいに足を開き、左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

写真40
 息を吸いながら背筋を伸ばし右側の足に体重をかけていきます。右足一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を右側に移動します。左足は床につけておきますが、多少左側の踵が浮いてしまっても構いません。この時左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

 写真39の位置にもどす

写真41
息を吸いながら背すじを伸ばし左側の足に体重をかけていきます。左足一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を左側に移動します。右足は床につけておきますが、多少右側の踵が浮いてしまっても構いません。基本的には右側へ移動した時と同じだけ左に移動します。この時も左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

ポイント
ゆっくりと3回から5回行います。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。左右の肩の高さは背骨の運動で調整します。片方の肩の筋肉をすぼめたりして調整しては意味がありません。

悪い例
 片方の側の肩の高さが上がったり下がったりしてはいけません。
 写真42 体重をかけた方の肩が下がる
 写真43 体重をかけたほうの肩が上がりすぎる。

実技7:立位での体重移動練習(手を組んで上下に)
 目的:手を上に挙げる動作を加えることで肋骨と肋骨の間の組織や肋骨と背骨を繋ぐ関節(肋椎関節)を動かす
写真44
手を組み左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真45
 組んだ手を上げながら大きく息を吸いながら背筋を伸ばします。

ポイント
 写真44と45を3回から5回繰り返し行います。左右の足に常に均等に体重がかかっているよう注意してください。

実技8:立位での体重移動練習(手を組んで左右に)
目的:手を上に挙げる動作を加えることで肋骨と肋骨の間の組織や肋骨と背骨を繋ぐ関節(肋椎関節)を動かす。右脚に過重した場合は右側の肋骨がより大きく動く。反対側も同様。

 写真46
手を組み肩幅くらいに足を開き、左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真47
 息を吸いながら組んだ手を上げ、背筋を伸ばし右側の足に体重をかけていきます。右脚一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を右側に移動します。左足は床につけておきますが、多少左側の踵が浮いてしまっても構いません。この時左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

 写真46の位置にもどす

 写真48
息を吸いながら組んだ手を上げ、背筋を伸ばし左側の足に体重をかけていきます。左脚一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を左側に移動します。右足は床につけておきますが、多少右側の踵が浮いてしまっても構いません。基本的には右側へ移動した時
と同じだけ左に移動します。この時も左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

ポイント
ゆっくりと3回から5回行います。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。

実技9: 体幹側部のストレッチ
目的
胸郭(肋骨)の動きを悪くする体幹側部の筋肉をストレッチします。

写真111
手を組み肩幅くらいに足を開き、左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

写真112
息を吸いながら組んだ手を上げ、背筋を伸ばし右側の足に体重をかけていきます。右脚一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を右側に移動します。左足は床につけておきますが、多少左側の踵が浮いてしまっても構いません。この時左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

写真113
右脚に体重をかけたまま写真のように体を左にたおします。右側の肋骨の横あたりにつっぱりを感じればうまくできています。

写真114
反対側も同様に行います。

1回20秒程度行います。


実技10 立位での体幹回旋運動
目的
 立位で過重をかけながら体の回旋を行うことで腹部と背部の筋肉の働きを調整します

写真49
左右の脚に均等に体重を乗せ、左右対称の姿勢で立位をとります。
写真50
 大きく息を吸いながら右側の脚に体重を乗せます。この時、両肩の位置は床面と水平になるように注意します。どちらかの肩が上がったり下がったりしてはいけません。
写真51
 良い姿勢を保ちながら右側に体を回旋します。この時も左右の肩の位置は床面と水平、どちらかの肩が上がったり下がったりしてはいけません。

写真52
写真53
 反対側にも同様のことを行います。

左右に3回~5回ずつ行います。やりにくい方向に多めに行っても結構です。


実技11 臥位での体幹回旋運動
目的
 体幹の回旋運動を阻害する筋肉の緊張を抑制します

写真54
 膝を立てて寝ます
写真55
 膝を右に倒します
写真56
 反対方向(左側)に倒します

5~10回行います

実技12 体幹回旋ストレッチ
目的
 体幹回旋を阻害する筋肉の柔軟性を改善します

①右側へのストレッチ
写真57
 寝て脚を組みます。右脚が上になります。
写真58
 組んだ脚を左側に倒します
1回20~30秒行います

②左側へのストレッチ
写真59
 寝て脚を組みます。左脚が上になります。
写真60
 組んだ脚を右側に倒します
1回20~30秒行います

動かしてみて硬いと感じる方向に多めに行っても結構です

実技13 広背筋のスタティック・ストレッチ
目的
過剰に緊張しがちな背中にある筋肉の広背筋の柔軟性を改善します。

手順1
写真のように四つ這いになります
写真61

手順2
写真のようにお尻を後方に動かして膝を曲げます。20~30秒この位置でストレッチします
写真62

実技14 大胸筋のストレッチ(中部線維)
目的:この筋肉が過剰に緊張すると肩の位置を前方に変位させるため、伸ばします。

手順1
壁際に立ちます。脇を開いて手から前腕を壁につけます。上腕は床面と水平になるようにします。
写真63

手順2
そのまま上体を回旋します(写真では右腕を壁につけているので上体を左にまわします)
この位置で20~30秒ストレッチします。
写真64

実技15 大胸筋のストレッチ(上部線維)
目的:この筋肉が過剰に緊張すると肩の位置を前方に変位させるため、伸ばします。

手順1
壁際に立ちます。写真のように手から前腕を壁につけます。
実技29の時よりも手が上に位置します。
写真65

手順2
そのまま上体を回旋します(写真では右手を壁につけているので上体を左にまわします)
この位置で20~30秒ストレッチします。
写真66

実技16 大胸筋のストレッチ(下部線維)
目的:この筋肉が過剰に緊張すると肩の位置を前方に変位させるため、伸ばします。

手順1
壁際に立ち、写真のようにやや低い位置で掌を壁につけます。
写真67

手順2
そのまま上体を回旋します(写真では右腕を壁につけているので上体を左にまわします)
この位置で20~30秒ストレッチします。
写真68


実技17 肩関節の位置の調整

目的
前方に変位した肩の位置を後方に戻します。

手順1
写真のように両腕を上げます
写真69

手順2
そこから写真のように腕を回します。(10回程度)
写真70 71 72

ポイント
大きく動かす必要はありません。しっかり後ろまで腕を移動させることが重要です。

実技18 腹直筋トレーニング1
目的
 お腹の正面の筋肉を鍛えることで、引き締まったウエストをつくります
写真117
頭の後で手を組みます。
写真118
そのまま頭を起こします。ここで10秒止めます。

※肩甲骨が床面から離れる高さまで上がればそれで結構です

実技19 腹直筋トレーニング2
目的
お腹の正面の筋肉を鍛えることで、引き締まったウエストをつくります
 実技18では負荷が強すぎて行い難い場合はこちらを行ってください。

写真119
 写真のように手を組みます。
写真120
 そのまま頭を起こします。ここで10秒止めます。

※肩甲骨が床面から離れる高さまで上がればそれで結構です

実技20 腹斜筋トレーニング1
目的
側腹部の筋肉を鍛え、この部分のたるみの解消を目指します。

写真109
頭の後で手を組みます。
写真110
写真のように体をひねりながら頭を起こします。ここで10秒止めます。
反対側にも同様に行います写真110b


※肩甲骨が床面から離れる高さまで上がればそれで結構です

実技21 腹斜筋トレーニング2
目的
側腹部の筋肉を鍛え、この部分のたるみの解消を目指します。
実技20では負荷が強すぎて行い難い場合はこちらを行ってください。

写真121
膝を曲げて写真のように手を組みます。
写真122
写真のように体をひねりながら頭を起こします。ここで10秒止めます。
反対側にも同様に行います写真122b


※肩甲骨が床面から離れる高さまで上がればそれで結構です

実技22 大胸筋トレーニング
目的
胸の筋肉を鍛え、バストに張りを出します。

写真123
写真のように手を合わせます。
写真124
矢印の方向に両方の手を押します。力いっぱい押してください。ここで10秒止めます。

※ 力いっぱい強く押してください。
この実技を行う時は合わせて大胸筋のストレッチも行ってください(実技13・14・15)

実技追加01
目的:腹横筋・多裂筋などの体幹のコアになる筋肉を複合的に鍛えます

写真追加001
四這いになります

写真追加002
写真追加003
写真のように腕と脚を約45度程度外側に開きながら、上げます。
10~30秒間この姿勢をキープします。

写真追加004
難しければ、写真のように脚だけ上げる運動でも結構です。

実技追加02
目的:腹筋群と腰部の筋肉を鍛えます
写真追加005
できるだけ背すじを伸ばした姿勢で写真のように両膝を持ち上げます。
できれば両手を座面に着けずに行います。

悪い例
写真追加006
写真のように、背中がまるまってしまうとよくありません。


第9章 実技:下肢(脚部)編

実技23 腸腰筋ストレッチ
目的
骨盤の前傾を引き起こす腸腰筋の柔軟性を改善します

写真73
写真のような姿勢をとり、この位置で20~30秒ストレッチします。後ろ側の脚の股関節の前面につっぱりを感じることができれば正しくストレッチされています。

実技24 大腿直筋ストレッチ
目的
 骨盤の前傾を引き起こす大腿直筋の柔軟性を改善します
写真74
横向きに寝ます。下側の脚は軽く曲げておきます。手で足部を持って股関節を後ろに曲げる方向に引っ張ります。太ももの前側につっぱる感覚を感じることができれば正しくストレッチできています。1回20~30秒程度で行います。

実技25 大腿筋膜張筋ストレッチ
目的
 骨盤の前傾や側方への傾斜・O脚などの原因となる大腿筋膜張筋の柔軟性を改善します
手順1写真75
 写真のように壁に手を当て、片膝をつきます。
手順2写真76
 写真のように膝をついた側の脚を内側に倒します。ここで20~30秒ストレッチします。
太ももの外側につっぱりを感じたら上手くできています。

実技26 外側広筋の柔軟性改善
目的
 O脚の原因などになる、太もも外側の外側広筋の柔軟性を改善します。
写真77
椅子に浅めに座ります。
写真78
両方の手でしっかりと太ももを挟みます
写真79
しっかり挟んだまま外側の手を下方向に、内側の手を上方向に動かします。太ももの筋肉をしっかりとはさんで、骨を中心に回転させるような感じです。かなり手に力を入れてください。
写真80、81
膝に近いところから行い、股関節の近くまで、しっかり太ももの筋肉を回転させるように揉んでいきます。特に太ももの外側の筋肉を掌底でしっかり下へ押すようにしてみてください。

実技27 股関節内転筋群ストレッチ
目的
股関節内転筋群の柔軟性を改善して姿勢の改善をはかります
写真82
両方の足の裏を合わせて座る
写真83
上から両方の膝を押す

1回20秒から30秒行います。太ももの内側の筋肉につっぱりを感じたら、上手くできています。体を前傾させると更に負荷を強くすることができます。写真84
実技28 ハムストリングスストレッチ
目的
 骨盤を後方に傾斜させるハムストリングスの柔軟性を改善します

写真85
まずしゃがんで両手を床につけます。
写真86
膝を伸ばして20秒止めます。

写真87
難しい場合は台を置いて行います。太ももの後ろ側につっぱりを感じたらOKです。ふくらはぎにつっぱりを感じる場合はうまくハムストリングスがストレッチされていません。お尻の位置を前後にずらしながら太ももの後ろ側は引っ張られる場所を探してみてください。

実技29 大臀筋ストレッチ(浅層)
目的
 床座位での大臀筋ストレッチが難しい場合に行ってみてください。

写真88(右側大臀筋のストレッチ)
 イスに座り脚を組む
写真89(右側大臀筋のストレッチ)
 体を前に倒す


実技30 臀部挙上運動(ステップ1)
目的
 働きの悪い大臀筋の収縮と弛緩を行います。補助的に広背筋の収縮と弛緩も行います。
写真90 91
膝を立てて寝ます。脇を少し開いて肘を曲げておきます。
写真92
お尻を持ち上げます。肘と上腕で床面を軽く押してお尻を持ち上げるのを助けつつ行います。

これを10回程度行います

実技31 臀部挙上運動(ステップ2)
目的
 働きの悪い大臀筋を働かせます。補助的に広背筋の収縮と弛緩も行います。
ステップ1より負荷が強くなります。
写真93
脚を組んで膝を立てて寝ます。脇を少し開いて肘を曲げておきます。
写真94
お尻を持ち上げます。肘と上腕で床面を軽く押してお尻を持ち上げるのを助けつつ行います。

左右両側を10回ずつ行います

実技32 梨状筋ストレッチ
目的
 股関節の回旋作用を持つ梨状筋の柔軟性を改善します

写真95
 下向きに寝て右脚の膝を曲げます
写真96
 膝を曲げた側の脚を外側に倒します。ここで20~30秒止めます。可能であれば、右足部を手で持ってストレッチのかかりを良くしてあげると良いでしょう。

実技33 腓腹筋ストレッチ
目的
 足のむくみの原因となるふくらはぎの筋肉の柔軟性を改善します
写真97
伸ばすほうの足の足首をしっかりと上にあげて行って下さい。反対側の脚は曲げておきます。ふくらはぎにつっぱりを感じることができれば正しくストレッチできています。1回20~30秒程度で行います。

実技34 下腿三頭筋トレーニング1
目的
 足のむくみの原因となるふくらはぎの筋肉の機能を改善します。

写真98a 98b
写真のように背伸びをします。
この運動を10~20回行います。
運動はゆっくりと行ってください。すばやく行うと十分に筋肉が働きません。

バランスがとれず片脚でうまく運動が行えない場合、写真のように壁や台に手を置いて行っても結構です。ただし、手のほうにはあまり体重がかからないように注意し、しっかりと脚に荷重をかけて運動を行ってください。
写真99a 写真99b


実技35 下腿三頭筋トレーニング2
目的
足のむくみの原因となるふくらはぎの筋肉の機能を改善します。実技34より負荷が強くかかります。

写真100 101
写真のように片脚で立ち、背伸びを行います。この運動を10~20回行います。

写真102 103
バランスがとれず片脚でうまく運動が行えない場合、写真のように壁や台に手を置いて行っても結構です。ただし、手のほうにはあまり体重がかからないように注意し、しっかりと脚に荷重をかけて運動を行ってください。

運動はゆっくりと行ってください。すばやく行うと十分に筋肉が働きません。

実技36 足指屈筋のトレーニング
目的
 衰えがちな足の指の筋肉の機能を改善し、立位動作の安定性の向上を図ります。

写真104a
裸足になり、足のしたにタオルを敷きます。
写真104b
足の指でタオルをグッと掴みます

この運動を10~20回行います。

実技追加03 内転筋トレーニング
目的:太もも内側の筋肉を鍛えて、O脚・ガニ股を改善します

写真追加007・008
座布団やクッションなどを両膝で挟みます。
力いっぱい10秒間両膝で挟み続けます。

実技追加04 内側広筋トレーニング
目的:太もも内側の筋肉を鍛えて、O脚・ガニ股を改善します

写真追加009
足でクッションなどを挟みます。
写真追加010
背すじを伸ばした状態で力いっぱい両脚を伸ばします。
同時に力いっぱい両足でなどを挟みます。
10秒間この姿勢を維持します。


第10章 悪い姿勢がもたらす病態
 ここまでも、悪い姿勢というのはすなわち不健康な姿勢であると説明をして参りました。この章では、実際に姿勢の不良によって直接的にもたらされる病態について紹介していきます。

膝関節痛
 写真5を見てください。第1章などでも紹介した悪い姿勢の典型である「猫背型」の姿勢です。ここで着目して欲しいのは、膝が少し曲がっており伸びきっていない点です。猫背になると、バランスをとるために膝は伸びにくくなるのです。
 今度は図21を見てください。左は正しく膝が伸びきっている場合です。膝関節の構造的な特徴もあり、膝が伸びきっていれば筋肉の働きがほとんどなくても人間は立位姿勢をとることができます。
 次に右の図を見てください。このように膝が少し曲がっている場合、重力の作用により膝はより曲がる方向に力が加わります。これに抗して立位を保つためには、常に膝を伸ばす方向に筋肉を働かせる必要が生じてきます。
 このように常に筋肉が過剰に働くようになると、その筋肉は過剰に緊張して凝り固まります。そして、その過剰に緊張した筋肉にひっぱられて膝関節の内部にある半月板などの組織の位置関係が微妙にずれてしまうのです。そして本来体重がかからないような、痛みに対して敏感な場所に負荷がかかることによって痛みの原因となってしまうのです。

 次は図22を見てください。いわゆるO脚の図です。これは太ももの外側の筋肉が過剰に働き、内側の筋肉の筋力が低下している場合に起こりやすい姿勢です。
 この図のように、O脚になると膝の内側に体重の負荷が集中してしまいます。そのため、膝の内側の軟骨がすり減り、関節の変形を来たしてしまうのです。こうなると当然痛みも現れます。

このような病態のことを「変形性膝関節症」といいます。

股関節痛
 姿勢の不良は股関節痛の原因にもなります。図23を見てください。左は正常な姿勢をとっている場合の股関節の図です。赤い部分が荷重のかかる部分です。通常この関節の最も荷重がかかる部分は軟骨が厚くなっていて衝撃に強い作りになっています。
 図の右側は猫背型の不良姿勢をとった場合の股関節の図です。この図のように、姿勢が悪くなり骨盤の傾きが変わると、本来の荷重がかかる部分とは別の場所に体重がかかるようになってしまいます。本来荷重がかかる部位ではないため、衝撃に強いつくりにはなっていません。こうなると組織の損傷をもたらして関節が破壊され痛みの原因となってしまいます。
 関節の中の問題だけではなく、姿勢の影響を受けて特定の筋肉の緊張が過剰となり、それが痛みの原因となることも多くあります。

 このような病態を「変形性股関節症」といいます。

腰痛
 第4章で腹筋群、特に腹横筋の働きが悪いと猫背や反り腰などの悪い姿勢になりやすいということを紹介しました。

 ここでもう一度同じ図を見てみましょう。正常に腹横筋が働けば図6のように内臓が胸郭を上に押し上げる作用によって、腰に負荷をかけることなく姿勢を保つことができます。
 今度は図6bを見てください。こちらは腹横筋の作用がない場合の図です。このような状態でも背中側の筋肉が強く働けば姿勢を保つことは理論上可能ではありますが、この図を見てもわかるように、テコの支点となる背骨の部分に非常に強い負荷がかかってしまい、これが腰痛の原因となります。実際に腰痛の人は腹部の筋肉の働きが悪いため、反対に背中側の筋肉は過剰に働き過ぎて凝り固まっている人が非常に多くいます。この筋肉の凝り自体が痛みの原因にもなるのです。

 実際には腹部の筋肉の働きが悪いと図6bのように綺麗に姿勢の釣り合いをとることは難しくなり、図7や図8のような悪い姿勢になりがちです。

 腰痛をもたらす病態は、疾患名でいうと変形性腰椎症、腰部の椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが代表的な疾患なのですが、これらは全て腹部の筋肉の働きの悪さや背中側の筋肉の過剰な緊張、そしてそれによってもたらされる姿勢の悪さから引き起こされることが多い疾患なのです。

肩こり
 肩こりというのは、肩から頚部にかけての筋肉が過剰に緊張した状態のことです。クビの凝りもここでは肩こりに含めます。
 図24を見てください。良い姿勢であれば、軽いS字状に湾曲しながらまっすぐ立った背骨の真上あたりに頭が位置します。このような正しい姿勢をとる場合、頭部の重さを支えるのにあまり筋肉の力を必要としません。背骨の構造が自然と頭部の重量を支えてくれるのです。
 これに対して、猫背型の悪い姿勢をとった場合は図25のようになります。背骨の自然なS字型の湾曲がなくなり、C字型になっています。また、頭の位置が背骨の上に乗っていません。このような姿勢になると、重力で下に落ちようとする頭部を頚部後面の筋肉の力で支える必要が出てきます。頚部の筋肉は横に広がり肩甲骨に付着するものがいくつかあるのですが、その筋肉が過剰に緊張することで頚部から肩にかけての凝りが起こるのです。

 肩から頚部にかけての筋肉の過剰な緊張が続くと、変形性頚椎症や頚部の椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群といった腕や手・指に痺れが出るような神経疾患の原因にもなります。

第11章 姿勢と心理

 姿勢は心理的な影響を受けて変化することが古くから知られています。例えば、落ち込んでいる時や自信のない時などは図26のような姿勢をとりがちです。反対に自信に満ち溢れている時や相手を威圧しようとする時には踏ん反り返った姿勢をとります。
 興味深いのは、姿勢自体が心理状態を変化させるということがわかってきているということです。つまり、図26のような姿勢をとること自体が「落ち込み」や「うつ」などの心理状態を作り出したり、踏ん反り返った姿勢が強気な心理状態を作り出すということです。
 心理状態が姿勢に影響を与えるだけではなく、姿勢が心理状態に影響を与えているということです。

 このような理論は「身体心理学」という心理学の一分野において研究がなされています。この身体心理学の考え方から特に姿勢の調節と関係の深いものについて、2点考察してみます。

1:呼吸と心理状態
 一般的に、強いストレスがかかると呼吸回数が増え、一回あたりの呼吸は浅くなります。反対にリラックスしている場合では一回あたりの呼吸は深くなり、呼吸回数は減少します。

 本書の第5章で紹介したように、呼吸に使用される筋肉の作用は姿勢を形作るうえで重要な意味を持っています。「心理的不安定→呼吸の変化→不良姿勢→更なる心理的不安定」という悪循環が成り立っている人も多いかもしれません。逆説的にいうと、「姿勢の改善→呼吸の変化→心理的な安定」という変化も可能であるということになります。

 呼吸は血液の中に酸素を取り込むための運動です。呼吸状態が変化するということはすなわち血圧や心拍数の変化をもたらすということを意味します。
 血圧や心拍数が変化すると当然、身体の各器官への血液の供給量が変化してきます。最も重要なのは脳への血流量の変化です。「心理状態」というものが理論的には脳で形成されている以上、脳への血流量の変化は当然ながら心理状態の変化をもたらします。

 厳密にいうと、自律神経系の変化や各種ホルモンなど内分泌系の変化なども当然含まれてくると思うのですが、とにかくここで重要なのは、呼吸の変化が脳内の状態に変化を与えて心理状態をも変化させるということは、医学的に見てもまず間違いのないことだと考えられるということです。

2:筋肉の緊張と心理状態
 一般的に、心理的に緊張していると筋肉も緊張してしまうということが知られています。「緊張しすぎて体が硬くなっている」などという言葉を聞くことも多いのではないでしょうか。
 
 このような心理状態からくる筋肉の状態の変化は、自律神経系の影響を考えると医学的にも自然なことであると考えられます。
これは私見ではありますが、この場合の硬くなる筋肉は主に身体の外側の筋肉である浅層筋(アウターマッスル)のことであると考えられます。浅層筋(アウターマッスル)と深層筋(インナーマッスル)については第6章で紹介しましたが、浅層筋(アウターマッスル)が過剰に緊張すると姿勢が悪くなります。

 つまり呼吸の場合と同じで、「心理的不安定→筋肉の過剰な緊張→不良姿勢→更なる心理的不安定」という悪循環が成り立っている人も多いかもしれません。この場合当然ながら「筋肉の状態の改善→姿勢の改善→心理状態の改善」という改善方法も成り立つはずです。

この章の総括
 私が勤務している病院の院内勉強会で心理カウンセラーの講師から講義を受けたことがあるのですが、心理的に問題のある人が腰痛や肩こりを訴えることは非常に多いそうです。
 本章で紹介した内容と第10章で紹介した内容を合わせて考えると、それは当然だと思います。
 もう一度図26を見てみてください。この姿勢は第1章で紹介した悪い姿勢「猫背型」そのものです。このような姿勢が腰痛や肩こりの要因であることは第10章で紹介したとおりです。

 本書の第8章と第9章で紹介した実技の中には呼吸を伴うものや、運動やストレッチなどにより筋肉の質を改善する為の方法が多くあります。
 これらは、この身体心理学という考え方に照らし合わせても有効なものであると考えます。


あとがき
 私はこれまでに腰痛・膝関節痛に関する本と肩こりに関する本を書いてきました。これらの本に共通した内容は、「治療のために最も重要なのは姿勢の改善」であるということです。
本書でも簡単に紹介したように、悪い姿勢は様々な病態を引き起こすのです。そして、腰痛や肩こりなどは日本人に極めて多い病態です。特に病院を受診したりしない人を含めると、そういった病態をもった人は日本人のかなりの割合を占めるのではないでしょうか。逆説的に言うと、それくらい姿勢が悪い人が多いということです。

そして前著である「腰痛・膝関節痛の本」と「肩こりの本」の原稿を書いていて気が付いたことがあります。それは私が書いている原稿の内容と、美容とかダイエットの方法として紹介されている本の内容に非常に共通点が多いということです。
 これは考えてみると当然で、きっと人の脳は健康な肉体を美しいと感じるように出来ているのです。だから、健康に害のあるような悪い姿勢をとっている人を人は美しくないと感じるのでしょう。

 私は理学療法士という仕事をしています。理学療法士とは病院などでリハビリをする仕事です。私は慢性期の患者様のリハビリに携わることが多いのですが、こういった人たちは病気の種類に係わらず、皆姿勢に問題があります。普段の私の仕事の半分くらいはこういった人達の姿勢を改善させることであると言っても過言ではありません。

 様々な理由で姿勢の改善に興味のある人や、そういった情報が必要な人が多いのではないかと考え、今回新たに「姿勢改善」に内容を特化させて本書を書いてみました。この本に書いた私の知識と技術が、一人でも多くの人の役に立つことができれば幸いです。



※得られる結果には個人差があります

東大阪の腰痛・ヘルニア 工事中(テスト)

[記事URL]

読むだけで治る本 腰痛・膝関節痛 編


はじめに

本書を手にとって頂きありがとうございます。これだけは今、是非ここで一度試してみてください。損はさせません。
立ち読みされている人は恥ずかしいと思うので、一度やり方を見てからちょっと人のいない所に移動してやってみてください。

ハムストリングスのストレッチ(強い痛みが出る場合はやめてください)
①まず前屈して自分の手がどこまで届くか確認します。(写真1)
②しゃがんで両方の手のひらを床につけます(写真2)
③手のひらを床につけたまま両足を伸ばせる所まで伸ばします(写真3)
太ももの裏側がひっぱられて少しキツイですが20秒ここで我慢してみてください
④前屈して自分の手がどこまで届くようになったか確認してみてください(写真4)

 どうでしょう。確実に①より④のほうが手が下まで届くようになっていると思います。たった20秒で筋肉の緊張が改善したのです。これは本書の中でもご紹介する関節痛の治療テクニックの一つです。筋肉の柔軟性と関節痛は密接な関連性を有しています。ちなみに、この方法が難しい人に対しても様々な治療方法を紹介しているので、是非ご一読いただきたく思います。


もう一つ実技を紹介しておきましょう。よくテレビなんかでしている、一瞬でウエストのサイズが小さくなるという方法のタネあかしです。ウエストのサイズを測らないと効果がわからないので一人で行うのは少し難しいかもしれません。

一瞬でウエストサイズが小さくなる方法(横隔膜と腹横筋の同時収縮)
①脱力してリラックスした姿勢でウエストサイズを測ります(写真110)
②大きく息を吸いながら背すじを伸ばします。
ここでもう一度ウエストサイズを測ります(写真111)

 どうでしょう。人によっては2センチくらいウエストが細くなる人もあるかと思います。これは腹横筋というお腹を凹ませて内臓を圧迫するための筋肉を働かせた結果です。

テレビなんかに出てきてこういうことを行う人は慣れているので、②のお腹が凹んだままの姿勢を10秒~20秒くらい被験者に無意識に維持させることができます。その間にウエストを測らせているのです。

 インチキのような気もしますが、良い姿勢でいれば常に細いウエストでいることができるということです。逆に悪い姿勢・不良姿勢でいるとお腹の内臓をひきしめる腹横筋が働かないためお腹が前に出っ張るのです。実はこの悪い姿勢・不良姿勢が様々な痛みを引き起こす原因なのです。


私が本書を書こうと思い立った理由
私は病院で理学療法士という仕事をしております。理学療法士というのは病院で運動療法などのリハビリを行う仕事です。対象となる疾患は多いのですが、私が勤務している病院は主に慢性期(発症からかなりの日にちを経た)の患者様を対象にした病院ということもあり、膝や腰の痛みを訴える患者様を診ることが多くあります。
近隣に慢性期のリハビリを行っている施設が他にあまりないため、よくリハビリをしてほしいと依頼や問い合わせを受けるのですが、当院でもマンパワーが不足していることもあり、お断りをしたりキャンセル待ちに登録してもらっているような状態です。

関節痛はその多くが慢性疾患です。長年の悪い姿勢や動作、加齢や運動不足による筋力低下(筋肉の不活動・異常活動・硬化)の積み重ねによって引き起こされています。
治療には専門医の診察を受けてリハビリの指示を出してもらい、理学療法士がその人に応じて個別にプログラムを立てて運動療法や物理療法を行うのが一番です。しかし、残念なことに医療保険制度の問題で慢性期疾患のリハビリを行うことは困難な状況です。

最近関節痛の自己治療法を紹介しているような本をちょくちょく見かけます。しかしリハビリを専門にしているはずの理学療法士によって書かれたものを私は見たことがありません。手間の割に利益が少ないからかもしれません。
そこで今回、我々理学療法士が行っている関節痛の治療法を紹介しようと思い立ちました。本書では、私が普段病院で行っている治療方法を自分一人でもできる方法にアレンジしてご紹介してみようと思います。

病院の中では、医師は診断の後に必要に応じて理学療法士等に対して「リハビリを行うように指示を出す」のがその役割であり、「実際に何をどうするのか」は我々が実際に患者様の身体を検査・評価して決めます。運動をするように指示を出すのが医師であり、どういう運動をさせるかは理学療法士が決めるということです。

まだ痛くない人、是非読んでください
 関節痛で病院に来られる方の年齢層は大抵50代以降です。70代80代になってくると既にかなり症状が進行した状態になっています。関節の破壊が進み運動療法や徒手療法では改善が困難なケースが多い年齢層です。
 どんな病気でもそうなのですが、最も良いのは予防です。30代くらいから姿勢や動作に気をつけてたまにストレッチ程度のことをやっておくだけでその後の人生が大きく変わるのです。未経験の人にはわかりにくいのですが、慢性痛は本当につらいです。
膝関節痛は特に女性に多いので女性は30代から関節痛の予防に努めるべきでしょう。女性は男性に比べて骨盤の横幅が広いため膝に負担がかかる姿勢になりやすいのです。
 あと、肩こりが強い人は大抵姿勢が悪いため将来の関節疾患予備軍です。自覚のある人は注意したほうが良いでしょう。

本書の対象者
 腰・膝が痛い人
 まだ痛くない人:30代以降の女性や肩こりの強い人


本書の構成
本書では第1章で基礎的な関節痛の治療方法の考え方をご説明し、第2章以降で具体的な運動方法をご紹介して参ります。第2章以降では、①痛みの簡単な原因の説明、②運動方法を写真で説明、の2項目に分けて説明して参ります。実用書としては②の運動を行ってもらうことができれば十分です。

 「読むだけで治る本」というタイトルをつけておりますが、本書は治療法の実技を紹介する本です。タイトルの理由は最後に説明するとして、一度サラッと最後まで読んでみてください。あなたの痛みの原因もわかるかもしれません。

第1章 基礎的な考え方

 慢性的な関節の痛みを劇的に改善する方法というのは残念ながらありません。鎮痛剤を打ったりすれば別ですが、当然薬の効き目が切れればまた痛みます。これから各章で各関節の痛みに対する運動方法をご紹介していきますが、本気で痛みを治したいのならば以下の3項目をよく覚えておいてください。

①太っている人はやせてください。関節にかかる体重を減らすことは最も重要です。
②最低でも等間隔で週に3回は行ってください。
③最低でも1ヶ月は続けてください。3ヶ月続けても効果がなければ本書の方法はあなたの状態に合っていないのでやめてください。

 どうでしょう。厳しいですか? ③なんて随分無責任ですよね? 以下、この3項目について少し説明します。

①太っている人はやせてください
 本書では腰痛、膝関節痛の治療方法をご紹介しますが、どちらも体重の影響をもろに受ける場所です。負担を減らすには体重は軽いほうが良いというのは子供にもわかる理屈です。どうすればやせるのか。食べる量を減らせばやせます。この世に太った餓死者はいません。
 以前、「どうすればやせられますかね?」と聞かれた時に半分冗談、半分本気で「晩御飯を食べるのをやめたらやせますよ」と答えたことがあります。そうしたら、その人は晩御飯を食べないことがいかに体に悪いかを私に説明してくれました。どう思います? 食べ過ぎてすでに関節痛を引き起こして体を壊しているのに、食べない方が体に悪いと言うのです。
 もちろん理想は食べる回数を減らすのではなく、一度に食べる量を減らすことです。しかし、それができないのであれば晩御飯を食べずに一食減らした方がマシなのではないかと私は考えます。食事の回数を減らすと太る体質になるとよく聞くことがあるのですが、結局のところ重要なのは摂取カロリーの総量です。
 ダイエットが難しいのは重々承知です。私はお酒とお菓子と揚げ物が大好きです。でも、本気で関節痛を治したいのであれば、減量が重要であるということと、そのためには食事制限が必要であるという事実から目をそらさないでください。

②最低でも等間隔で週に3回は行ってください
 一番はじめにご紹介したハムストリングスのストレッチですが、半日後に同じように前屈をしてみてください。たぶんもとに戻っています。効果のみで言えば週に3回どころか1日3回を毎日行っても良いくらいなのです。
例えばストレッチでいうと、はじめは筋肉を伸ばしてもすぐにもとに戻ってしまいます。これが何日もストレッチを繰り返すと柔軟性が維持されてくるようになります。専門的な言葉を使うと、ストレッチを長期間繰り返すことにより筋肉の受容器の閾値が高くなり筋肉の緊張が低下してくるのです。

しかし誤解しないで頂きたいのは、たまにしかやらない人には意味がないかというと、そういう訳でもないのです。
本書のやり方で自己治療を行えば関節周囲の軟部組織の機能が改善し、簡単にいうとこわばりがほぐれてすぐに痛みが軽くなることがあります。これを改善と捉えるなら、たまに1回するだけでも効果があります。
しかし数時間すると残念ながらまた痛くなります。こういうことを繰り返しながら傷んでいる組織を徐々に治癒させて完治に向かわせるのが本書の治療法です。そのためには最低でも週に3回は行って欲しいと思います。たまにちょっとしただけで痛みが完治する運動療法など絶対にありません。本書は本気で痛みを治したい人に向けた本であることを強調しておきます。

③最低でも1ヶ月は続けてください。3ヶ月続けても効果がなければ本書の方法はあなたの状態に合っていないのでやめてください

 運動療法を行う場合、本来なら医師の診察をもとに私たち理学療法士が患者様ごとに個別にいろいろな検査や評価を行って治療プログラムを立てます。そして経過を診ながら状態に合わせて内容を変更していきます。残念ながら自己治療を行う場合ではこのようなことは不可能です。だから本書の内容があなたの状態に合っているのかどうかはあなたにしかわかりません。
 もし本書の方法で痛みがまったく軽減されない場合、運動方法が合っていない可能性もありますが、運動療法や徒手療法では改善することが不可能な痛みである可能性も高いと思われます。外科的な手術や専用の装具の処方、投薬などの方法により痛みが改善する可能性も高いので専門医の診察を受けてください。

 ちなみに、本書の自己治療法で治療を行うことで関節疾患の進行を食い止め、手術や投薬が必要な状態にまで陥らないようにすることが最も重要です。

 
本書の治療方法と治療概念

 よく関節痛の原因は筋力低下が原因だから治すには筋力を鍛えなければならないと思われています。例えば腰痛では腹筋を鍛えるとか、膝痛なら太ももの筋肉を鍛えるとか。
 この考え方は間違ってはいないのです。確かに筋力が著しく低下した場合にも関節痛は起こります。例えば足の骨折後にギプスをしていてまったく動かすことができないような場合、著しい筋力低下がおこります。ギプスをとって左右の足の太さを比べてみるとその太さの違いがよくわかります。ギプスをしていた方の足は長期間筋肉を使うことができなかったためすっかり痩せ細っているはずです。
こんな場合であれば純粋な筋力低下を原因とする関節痛がおこってもおかしくはありません。しかし、一般的な関節痛はよく使う方の足腰に起こりやすいのです。右膝が痛い人の場合、左側よりも右側の太ももの筋力が強いということは非常に多くあります。むしろ私の経験ではこういうケースが大半です。

 ではなぜ痛みが起こるのでしょうか。それには各関節に特有の事情も多いのですが、簡単に言うと筋肉の不活動と筋肉の活動のしすぎ(過緊張)です。これが起こる原因は姿勢と動作の不良です。これは重要なポイントなので是非おぼえておいてください。
 筋肉の不活動と筋肉の活動のしすぎ(過緊張)の状態になると、関節の中の各組織の配置の微妙なバランスが崩れてしまいます。これが痛みの原因や関節破壊の原因となるのです。あと、活動し過ぎている(過緊張状態の)筋肉はそれ自体が痛みの原因となります。「筋肉が凝りすぎて痛い」という経験をしたことのある人は多いのではないでしょうか。それと同じです。
 
本書で紹介する治療のしかたは、①姿勢と動作の改善、②活動しすぎの筋肉の働きを抑制する(筋緊張の抑制)、③不活動の筋肉を活動させる(筋活動の促通) ④関節内の組織の配置を正常化させるの4つが基本となります。筋力増強を目的とするものは基本的にありません。一見筋力増強を目的としているように見える運動方法もありますが、それは主に③の筋活動の促通を目的としたものです。だから強い負荷をかけて運動するということはありません。

まとめ
 痛みの原因
 1:痛みの原因は筋肉の不活動と筋肉の活動のしすぎ(筋緊張の亢進)
 2:その原因は姿勢と動作の不良
 3:筋肉の活動の異常が関節内の組織の配置のバランスを崩す=痛みが出る
 4:筋緊張の亢進はそれ自体が痛みの原因にもなる

 治療方法
 1:姿勢と動作の改善
2:活動しすぎの筋肉の働きを抑制する(筋緊張の抑制)、
3:不活動の筋肉を活動させる(筋活動の促通) ただし筋力増強ではない
4:関節内の組織の配置を正常化させる


第2章 体幹を整える

第1項 痛みの原因
 なぜあなたの関節が痛いのでしょうか。腰痛にせよ股関節痛にせよ膝関節痛にせよ、関節痛を有する人達にはある共通点があります。それは姿勢が悪いということです。一般的に見てのものではなく、プロから診ての姿勢の悪さです。

前から見た姿勢:重心が左右に片寄っている

 まず体の重心が左右のいずれかに寄ってしまっているということです。写真を見てみてください。写真5:座位 写真6立位 
写真5では鼻先やアゴの先の位置と、両膝の中間の位置が一致していません。写真6では鼻先やアゴの先の位置と両足のつま先の中間が一致しません。これらは体の重心が右に寄ってしまっているということです。パっと見たくらいではこういう小さな左右への片寄りというのはわからないものです。しかし、実はこれが関節痛にとっては非常に重要な意味を持っているのです。
 
こういう重心が右に寄っている人は立ち上がる時はどのようにどのように立ち上がるか。写真の様な立ち上がり方になることが多いのです。写真7:座位 8:臀部離床 9立位
 
ここでは座位姿勢・立位姿勢、あと立ち上がり動作だけを取り上げましたが、ここで取り上げたような人の場合、日常におけるすべての動作が右側に体重が多くかかってしまっているのです。歩くにしても、階段を上り下りするにしても、重い物を持ち上げるにしても。
 当然、どちらの足が悪くなるかは明らかです。こういう人は右側の膝や腰の右側を悪くしやすいのです(腰に関しては左右が逆転することもあります)。何十年もこのような姿勢や動作を繰り返した結果、関節にダメージが蓄積して関節の痛みを引き起こすのです。

左右両方の関節が痛いという人も多く見かけます。しかしよくよく聞いてみると、もとはどちらか片方が痛かったという人や、片方の方が痛みが強いなど左右差がある人が大半です。一方の関節が痛むようになると、反対側の足によけいに体重をかけるようになり、結果として両方の関節が痛くなるのです。このような場合、大抵ははじめに痛めた側の関節のほうが関節破壊は進行しています。

 多くの人は右利きであるため、骨折などケガの既往がない人の多くは右側に重心が寄っていることが多いようです。だから腰から下の関節痛は私の経験では右側に特に多いように思われます。(腰は真ん中や反対に左側が痛い人も多いです)

 ちなみに、写真では左右差がわかりやすくなるようにわざと右側への片寄りを大きくしています。実際にはパっと見た程度ではわかりにくい程度の差がほとんどです。

横からみた姿勢:背骨の形が悪い(猫背や腰の反り過ぎ)

 関節痛を有する人は左右だけでなく前後方向にも姿勢が片寄っています。こちらは片寄っているという表現は適切でないかもしれません。以下に関節に痛みのある人に多い姿勢を4つ挙げてみました。

①最も多い「猫背」写真10 
背中が丸くなると普通の人にはある腰の反りがなくなります。また立位ではバランスをとるために必然的に膝がわずかに前に出ます。膝関節が伸びきらずにわずかに曲がった姿勢になるのです。この時、股関節もわずかに曲がってしまいます。これが各関節に非常に悪いのです。その理由は以後の章で詳述します。

②腰とおなかを前に出しすぎている姿勢写真11 
この姿勢は腰の反りが強くなりすぎて腰痛を起こしやすい姿勢です。またこの姿勢でも膝が少し曲がってしまいます。膝痛の原因になります。股関節の位置も正常ではありません。俗にビール腹などと呼ばれるようなお腹が出た人によく見られます。妊婦さんにも多い姿勢です。

③腰の反りが強く重心が前方にある姿勢。写真12
この姿勢では腰の反りが異常に大きく、股関節と膝関節が少し曲がっています。これも各関節に負担が強く痛みを引き起こす姿勢です。

④一見とても綺麗な姿勢。写真13 
よく見ると腰の反りが大きすぎです。腰痛を起こしやすい姿勢です。おなかの筋肉の活動に比して背中の筋肉を過剰に働かした場合このような姿勢になります。意識的に力をいれて良い姿勢を作ろうとした場合になりやすい姿勢です。またヒールの高い靴を履いた場合になりやすい姿勢でもあります。

 こちらも写真ではそれぞれの姿勢の種類がわかりやすいよう、わざと姿勢の特徴をわかりやすく表現しています。実際にはパっと見た程度ではわかりにくい程度の差がほとんどです。
 
 ①から④の姿勢を見てどう思いますか? ④以外はお年寄りに多い姿勢です。こんな姿勢のお年寄りを見ること、多くないですか? まさにこれが高齢者に関節痛が多い原因なのです。中年くらいの人ではちょっと見たくらいではこのような姿勢の特徴はわかりにくいと思います。むしろ素人が見たくらいでは全然わからない程度の姿勢不良が大半です。それは各姿勢の特徴が小さいからわかりにくいだけです。放っておくとその特徴は年々大きくなり、やがて高齢者になる頃には①から③のようなわかりやすい高齢者の姿勢になっているのです。ちなみに④の姿勢は将来②や③の姿勢になりやすいと思われます。


第2項 実技
この章で紹介する運動は、腰痛・膝関節痛いずれの治療にも必要な運動です。以降の各章で紹介する方法を行う前、もしくはその途中でも後でも良いので必ず行ってください。

この章での実技では全身を写せるような大きな鏡を見ながらできると最良です。そういう大きな鏡がない場合は痛みのない側・少ない側へ(右膝が痛い場合は左側へ)の体重移動が大きくなるよう意識して運動を行ってみてください。
実際には左右に同じだけ動かすのですが、体に染み付いたクセの影響で痛みの少ない側への体重移動は難しいのでそのように意識して行います。

実技1:座位での体重移動練習(前後)
 目的:腹横筋と横隔膜を使いながら理想的な座位姿勢になるように体幹の筋肉の活動を調整する


写真14
リラックスしてまっすぐにすわります。多少猫背になっていてもかまいません。上から見て膝の位置に差がないかどうかを確認します。片方の膝が前に出ているような場合、体がねじれていますので修正してください。写真15
 体のねじれを修正した場合、体の感覚に違和感があるかもしれません。しかしそれで結構です。違和感を感じること自体が重要です。

写真16
大きく息を吸いながら背筋を伸ばし、胸を張ります。

写真17
息を吐きながらもとの姿勢に戻します。

ポイント
写真14と16を3回から5回繰り返します。決して急がずに、ゆっくり動作を行ってください。動作が速いとダメです。あと、お尻で体重の位置を感じながら行うと更に良いです。写真14の位置では体重はお尻の後方に、写真16の位置では体重はお尻の前方に移動するはずです。是非それを感じながら運動を行ってみてください。

あと、この運動で大切なポイントは左右のお尻に均等に体重がかかった状態で行うことです。

実技2:座位での体重移動練習(左右)
 目的:左右に同じだけ体重を移動することで体の重心の片寄りを治す

写真18
リラックスしてまっすぐにすわります。多少猫背になっていてもかまいません。
上から見て膝の位置に差がないかどうかを確認します。片方の膝が前に出ているような場合、体がねじれていますので修正してください。写真19
 体のねじれを修正した場合、体の感覚に違和感があるかもしれません。しかしそれで結構です。違和感を感じること自体が重要です。

写真20
 背筋を伸ばして息を吸いながら右側のお尻に体重を移動します。左右の肩の高さが同じようにしてください。左右の位置が床面に対して水平になるように行います。

写真18の位置にもどす

写真21
 左側にも同様に体重を移動します。左側のお尻に体重がかかります。大切なのは、右側と同じ分だけ左に動かしてください。もしそれが難しければ右側への移動量を減らして左側に移動するのと同じ程度にして運動を行います。

悪い例
 片方の側の肩の高さが上がったり下がったりしてはいけません。これは立位で行う場合でも同じです。
 写真22 体重をかけた方の肩が下がる
 写真23 体重をかけたほうの肩が上がりすぎる。

ポイント
 左右の肩の高さは背骨の運動で調整します。片方の肩の筋肉をすぼめたりして調整しては意味がありません。
 この運動をゆっくりと左右ともに3回から5回程度繰り返します。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。

実技3:立位での体重移動練習(中央)
 目的:腹横筋と横隔膜を使いながら理想的な立位姿勢になるように体幹と脚の筋肉の活動を調整する

写真24
左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真25
 大きく息を吸いながら背筋を伸ばします。

ポイント
 写真24と25を3回から5回繰り返し行います。左右の足に常に均等に体重がかかっているよう注意してください。

実技4:立位での体重移動練習(左右)
目的:左右の脚に同じだけ体重を移動することで体の重心の片寄りを治す
 
写真26
肩幅くらいに足を開き、左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真27
 息を吸いながら背筋を伸ばし右側の足に体重をかけていきます。右足一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を右側に移動します。左足は床につけておきますが、多少左側の踵が浮いてしまっても構いません。この時左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

 写真26の位置にもどす

 写真28
息を吸いながら背すじを伸ばし左側の足に体重をかけていきます。左足一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を左側に移動します。右足は床につけておきますが、多少右側の踵が浮いてしまっても構いません。基本的には右側へ移動した時と同じだけ左に移動します。この時も左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

ポイント
ゆっくりと3回から5回行います。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。左右の肩の高さは背骨の運動で調整します。片方の肩の筋肉をすぼめたりして調整しては意味がありません。

悪い例
 片方の側の肩の高さが上がったり下がったりしてはいけません。
 写真29 体重をかけた方の肩が下がる
 写真30 体重をかけたほうの肩が上がりすぎる。

実技5:立位での体重移動練習(手を組んで上下に)
 目的:手を上に挙げる動作を加えることで肋骨と肋骨の間の組織や肋骨と背骨を繋ぐ関節(肋椎関節)を動かす
写真31
手を組み左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真32
 組んだ手を上げながら大きく息を吸いながら背筋を伸ばします。

ポイント
 写真31と32を3回から5回繰り返し行います。左右の足に常に均等に体重がかかっているよう注意してください。

実技6:立位での体重移動練習(手を組んで左右に)
目的:手を上に挙げる動作を加えることで肋骨と肋骨の間の組織や肋骨と背骨を繋ぐ関節(肋椎関節)を動かす。右脚に過重した場合は右側の肋骨がより大きく動く。反対側も同様。

 写真33
手を組み肩幅くらいに足を開き、左右の足に均等に体重をかけてリラックスして立ちます。多少猫背でも構いません。

 写真34
 息を吸いながら組んだ手を上げ、背筋を伸ばし右側の足に体重をかけていきます。右脚一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を右側に移動します。左足は床につけておきますが、多少左側の踵が浮いてしまっても構いません。この時左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

 写真33の位置にもどす

 写真35
息を吸いながら組んだ手を上げ、背筋を伸ばし左側の足に体重をかけていきます。左脚一本でも体重が支えられそうな位置まで体重を左側に移動します。右足は床につけておきますが、多少右側の踵が浮いてしまっても構いません。基本的には右側へ移動した時
と同じだけ左に移動します。この時も左右の肩の高さが同じになるよう注意します。

ポイント
ゆっくりと3回から5回行います。体重をかけにくい方向に多めに行っても結構です。


※ この章の実技の注意
各運動は、すばやくキビキビと行うのではなく、ゆるやかに滑らかに行ってください。
  呼吸をしながら行うものが多いため、過呼吸にならないように気をつけてください。

本章実技の解説

 人間は背中の背筋とお腹の腹筋で背骨を縦に支えています。支える力が足りないと重力に負けて背骨が前に曲がります。腹筋の働きが弱くなると背中側の筋肉のみで背骨を支えることになります。これが非常に腰に負担が強いのです。
 また、背中側の筋肉だけでは背骨を支えきれないことが多く、そういう場合少し上体が前に倒れます。これが本章第1項で紹介した写真10の姿勢です。反対に背中の筋肉のみが異常に働き過ぎた場合には腰が反ってしまい写真11や写真12や写真13のような姿勢になります。
 共通するのはどれも腹筋の働きが悪いということです。いわゆる腹筋運動をして筋力をつけてもこれは改善しません。なぜなら、腹筋運動で使われるのは腹直筋という筋肉なのに対し、この場合に重要なのは腹横筋という筋肉だからです。

図1
腹横筋の働きがないと背中側の筋肉のみで背骨を支えるために背中の筋肉は過剰に働きます。テコの支点となる背骨には大きな圧力が加わり腰痛の原因となります。また働き過ぎの背中側の筋肉が過緊張状態になり、それ自体が痛みとなります。
腹横筋が働くと内臓を圧迫します。圧迫された内臓の圧力は上と下に逃げます。この内臓の圧力が胸郭を支えるため背骨への負担も小さくなりますし、背中側の筋肉も過剰に働く必要がなくなります。この内臓への圧力のことを腹圧といいます。
胸郭の下面は横隔膜です。膜という名前ですが、これは人が息を吸う時に働く筋肉です。この横隔膜と腹横筋が連動して働くことで、人は本来腰への負担を小さくしつつもしっかりと背骨を支えることができているのです。

 実技1、3、5は横隔膜や腹横筋を使って主に前後方向へのゆがみ、つまり横から見た時の姿勢を改善するための運動です。これに対して、実技2、4、6は左右方向つまり前から見た時の姿勢を改善するための運動です。

 実技2、4、6の運動も腹横筋や横隔膜を活動させつつ行うという点には変わりないのですが、それにプラスしてこれらの運動には体重を左右に同じだけ動かしつつ左右の片寄りをなくすということや、良い姿勢を保ちつつ片足でバランスよく体重を支えるということを目的としています。
 人間は2本足で歩きます。歩行中は左右どちらの足も必ず片足で体重を支える期間が生じます。もし右足と左足で同じように体重を支えることができないとどうなるでしょう。答えを言ってしまうと、歩く時に右足と左足の片脚での立脚期の長さ(体重を支える時間の長さ)に差が出てくるのです。
負担のかかりかたに差が出れば、当然負担の多くかかるほうの関節は破壊され、痛みを生じます。素人が見た場合、関節痛がかなり進行した場合でないとこの差は分からないような程度の差であることが多いのですが、歩行は何十年もの間、毎日かなりの数を繰り返す動作なのでその蓄積は膨大なのです。
 歩行に限らず、立ち上がりや段差昇降、手を伸ばして物を取るような動作など、体重のかかり方の左右差が関節に影響を及ぼす動作は数えきれません。それを改善するための一番はじめの基本が座位と立位での姿勢の左右差をなくすことなのです。

 実技5、6では手を組んで上に挙げる運動を加えました。手を上に挙げると肋骨と背骨を繋ぐ関節(肋椎関節)が動かされ、自然と肋骨と肋骨の間が広がります。専門的に言うと胸郭が広がると言います。
姿勢の悪い人は肋骨の周辺の組織が硬くなっている人が多いのです。息を吸った時に十分に胸郭が広がらないと呼吸が浅くなり、持久力が落ちてちょっとした運動で息があがりやすくなります。また、正しい姿勢や動作を阻害する要因にもなるため、関節の痛みにも影響を及ぼすのです。あと直接的にはこれが肋間神経痛の原因にもなります。
 

第3章 膝関節痛

第1項

前章では不良姿勢が関節に悪影響を与えることを説明しました。それでは具体的に、膝にはどのような影響を与えるのでしょうか。

不良姿勢はこれらのすべてを誘発する原因です。

本章第2項で紹介する実技はこれらの改善を目的としたものです。

第2項 実技

実技6 滑液包の圧擦(鵞足部)
    ハムストリングスのストレッチの前に行います
目的:筋肉の動きをなめらかにする滑液の入った包みを刺激して筋肉を伸ばしやすくします
写真37
写真の位置を指の腹で円を描くように30秒ほど揉みます。脛の骨のやや内側で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)とのすき間から約5cmほど下の部分です。わかりにくい場所なので少し広めの範囲を円を描くようにマッサージします。

実技7 膝窩筋マッサージ
半月板を後方にずらす膝窩筋の過緊張を改善します。
写真38
膝を伸ばした状態で膝の裏側を指で30秒ほどマッサージします。

実技8 ハムストリングスストレッチ 立位
目的
 半月板を後方にずらすハムストリングスの過緊張を改善します

写真39
まずしゃがんで両手を床につけます。
写真40
膝を伸ばして20秒止めます。

写真41
難しい場合は台を置いて行います。太ももの後ろ側につっぱりを感じたらOKです。ふくらはぎにつっぱりを感じる場合はうまくストレッチされていません。お尻の位置を前後にずらしながら太ももの後ろ側は引っ張られる場所を探してみてください。

実技9 ハムストリングスのストレッチ(座位)
目的
 立位でのストレッチが困難な場合に行います
写真42
立位でのストレッチを行うのが難しい場合や不可が強すぎると感じる場合には座位で行います。伸ばすほうの足の足首を下にさげて行って下さい。反対側の脚は曲げておきます。1回20~30秒程度で行います。

実技10 腓腹筋ストレッチ
目的
 膝を曲げる作用をもった腓腹筋の過緊張を改善します
写真43
伸ばすほうの足の足首をしっかりと上にあげて行って下さい。反対側の脚は曲げておきます。ふくらはぎにつっぱりを感じることができれば正しくストレッチできています。1回20~30秒程度で行います。

実技11 大腿直筋ストレッチ
目的
 過剰に緊張した大腿直筋の緊張を改善します
写真44
横向きに寝ます。下側の脚は軽く曲げておきます。手で足部を持って股関節を後ろに曲げる方向に引っ張ります。太ももの前側につっぱる感覚を感じることができれば正しくストレッチできています。1回20~30秒程度で行います。

実技12 大腿筋膜張筋ストレッチ
目的
 過剰に緊張した大腿筋膜張筋の緊張を改善します
写真45
立位で写真の姿勢で行います。ストレッチする方の脚を内側後ろ側に持っていきます。太ももの横側につっぱりを感じることができていれば正しくストレッチできています。1回20~30秒程度で行います。

実技13 腸腰筋ストレッチ
目的
不良姿勢を誘発しやすい腸腰筋の過緊張を改善します

写真46
後ろ側の脚の股関節の前面につっぱりを感じることができれば正しくストレッチされています。


実技14 外側広筋の柔軟性改善
目的
 過剰に緊張した外側広筋の柔軟性を改善します。
写真47
椅子に浅めに座ります。
写真48
両方の手でしっかりと太ももを挟みます
写真49
しっかり挟んだまま外側の手を下方向に、内側の手を上方向に動かします。太ももの筋肉をしっかりとはさんで、骨を中心に回転させるような感じです。かなり手に力を入れてください。
写真50、51
膝に近いところから行い、股関節の近くまで、しっかり太ももの筋肉を回転させるように揉んでいきます。特に太ももの外側の筋肉を掌底でしっかり下へ押すようにしてみてください。

実技15 パテラセッティング変法
目的
 膝蓋下脂肪体という組織の柔軟性を改善します

写真52
椅子に浅く座り膝を30°~40°くらいに浅めに曲げます。
写真53
膝のお皿を掌底で少し体重をかけながら押します。
写真54
イチ、ニの、サン! というような感じでリズミカルに膝をすばやく伸ばします。膝を伸ばすときに膝のお皿が上に移動するのを手で感じることができたら正しくできています。10回程度行います。しっかりと膝のお皿を下に押し込むことと、膝を伸ばした時にポーンと勢いよく膝のお皿を上に移動させることがポイントです。

実技16 大腿直筋を抑制しての膝伸展運動
目的
 働きの悪い中間広筋を働かせるために行います
写真55
膝を90°くらいに曲げた姿勢で椅子に座ります。
写真56
太ももの真ん中を両手の親指で押します。押す位置は膝の先端から12~13センチのところ。握りこぶし一個半くらいのところです。多少ずれてもかまいません。
写真57
太ももを両手の親指で押しながら3秒くらいかけてゆっくり伸ばします。伸びきったら今度は3秒くらいかけてゆっくり降ろします。10回から30回行います。

実技17 内側広筋を使用した膝伸展運動
目的
 働きの悪い内側広筋を働かせるために行います
写真58
椅子に座り両膝で枕をはさみます。はさむのは座布団などでもかまいません。
写真59
そのまま膝を3秒くらいかけてゆっくり伸ばします。伸びきったら同じく3秒くらいかけてゆっくり降ろします。10回から30回行います。

実技18 膝屈曲運動
 目的
  ハムストリングスの収縮と弛緩を促し筋緊張の正常化をはかります
写真60
 腹這いで寝ます
写真61
 3秒くらいかけながらゆっくりと床面と垂直になる角度(90°)まで膝を曲げます。
 3秒くらいかけてゆっくりと床に脚をおろします。

※実技16・17・18では負荷が軽すぎて運動をしている感じがしないようなら足首に軽めの重りを巻きつけて行ってみても良いでしょう。ただし筋力増強のための運動ではないので、重すぎる重りをつけるとかえって逆効果になります。


第4章 腰痛

第1項

 まず不良姿勢が腰に与える影響から考えます。背骨(脊柱)は理想的な姿勢をとっている場合、ゆるやかなカーブを描くS字状の形態をしています。腰の部分は前方を凸にして軽く湾曲しています。図4

第2章でも第3章でも見た不良姿勢です。くどいようですがもう一度見てみましょう。

①最も多い「猫背」写真10 
②腰とおなかを前に出しすぎている姿勢写真11 
③腰の反りが強く重心が前方にある姿勢。写真12
④一見とても綺麗な姿勢。写真13 

①の姿勢では腰の湾曲が後方を凸にした湾曲に変わってしまっています。本来S字状である背骨のカーブがC字状になってしまっています。

②③④ではいずれも腰の反りが強くなりすぎています。

 これはどちらも腰痛を引き起こす原因となる姿勢です。腰の湾曲は大きくても小さくても(後方に凸になっても)いけないのです。この理由はいろいろあるのですが(本当にたくさんあります)、私が最も重要であると考える点を一つご説明しておきます。

 ①②③④のいずれの姿勢についても言える共通点は、腹部の筋肉(主に腹横筋)の働きが悪いという点です。
①の場合では腹部の筋肉の働きが弱いために十分に上半身の体重を支えることができず前のめりに倒れてしまっているのです。それでも完全に前に倒れるわけにはいかないため背中側の筋肉の力により釣り合いをとってかろうじて姿勢を維持している状態です。
 ②③④の場合は腹部の筋肉による前方からの支持ができないために背中側の筋肉が過剰に働いています。背中側の筋肉が働き過ぎて体が後ろ側に反ってしまっているのです。

 理想的な姿勢をとる場合、腹横筋が働き(腹横筋はお腹をへこませる筋肉)内臓を前から圧迫します。圧迫された内臓は後ろ側にも壁があるために上下方向に圧力が広がります。これが体を支える力として作用して、過度に背中側の筋肉の力を使うことなく姿勢を支えているのです。

 腹横筋が正常に作用しない場合、相対的に背中側の筋肉が過剰に働いて姿勢を維持せざるを得なくなります。この時テコの支点となる脊柱(背骨)に非常に強い圧力が加わるのです。図5
 
痛みの原因部位1:脊柱

 腰痛患者が病院で医師に診てもらうと大抵の場合、変形性腰椎症や椎間板ヘルニアといった診断名をつけられます。変形性腰椎症も椎間板ヘルニアもこれが起こる原因として重要なのは背中側の筋肉の過緊張と腹部の筋肉(主に腹横筋)の活動不足です。
 背骨は椎骨という小さな骨がたくさん連なってできています。椎骨と椎骨の間には椎間板という柔軟性をもった軟部組織が挟まっています。このような椎骨と椎間板の連続体を脊柱と言います。一般にいう背骨のことです。図6左
椎骨には棘突起という出っ張りがついており、その上下の棘突起と棘突起は小さな靭帯や筋肉などの軟部組織によってつながっています。

 体を前傾させるとき、脊柱は複数の椎骨に挟まった複数の椎間板の前方が少しずつ潰れることにより脊柱が前方に曲がります。図6中央 この時、棘突起と棘突起の間を結ぶ軟部組織も少しずつ伸びます。

 腹部の筋肉の働きが弱く背中側の筋肉の緊張が強い状態で体を前傾する場合、脊柱の中で一箇所だけ大きく過剰に動いてしまう部位が現れます。背中側の筋肉の過緊張によって背骨を後ろに曲げる力が働いているのに無理に前方に曲げようとするため、図5のテコの支点になりやすい場所にだけ力が集中してしまい、そこだけ過剰に曲がってしまうのです。逆に他の部分は背中側の筋肉に引っ張られて前に曲がりにくくなっています。

 言い方を変えると、背中側の筋肉の過緊張により背骨が前に曲がりにくくなっているため、無理に曲げると真ん中で背骨が折れてしまうようなイメージです。図6右

具体的には腰椎の4番付近がこの位置です。図7 場所には個人差がかなりありますが、この辺りに痛みを訴える人は実際に腰痛患者のかなりの割合を占めます。

 この、腰椎の一箇所だけ過剰に曲がる部分の椎間板はその圧力によって椎間板の前側が大きくつぶされます。すると椎間板の中身である髄核という組織が後ろ側に押し出されてしまいます。これが椎間板ヘルニアです。

 また、棘突起と棘突起を結んでいる靭帯や小さな筋肉などの軟部組織もこの部分だけ過剰に引っ張られるために損傷します。体を軽く曲げて横向きに寝て、背中の真ん中の突起部分と突起部分の間を上から順に押してみてください。人によっては強い痛みがあります。痛みがある人はまさにこの部分の組織が傷ついているのです。
 椎間板ヘルニアにまではならなくても椎骨のまわりの組織(棘突起の間以外にもいろいろな組織がついているのですが)が損傷することで腰痛はおこります。この様な状態の人は普通、病院で受診すると変形性腰椎症という診断名をつけられます。椎間板ヘルニアにせよ変形性腰椎症状にせよ、腰の左右の真ん中だけではなく右側や左側に痛みが出ることも多くあります。組織の傷め方や姿勢の左右差などによると考えられます。

他に脊柱管狭窄症という名前の病態もあります。脊柱管狭窄症は主に加齢などによって椎骨と椎間板に変成がおこり、脊柱の中を通っている「脊髄」という中枢神経が圧迫されて痛みや痺れがおこります。抹消の神経根という部分の圧迫による痺れである場合も多くあります。変成の原因の一つに腹部の筋肉の活動低下と背中側の筋肉の過緊張による脊柱の縦方向への圧力の増大が考えられます。

まとめ:脊柱由来の痛み
 椎間板ヘルニア
 変形性脊椎症(腰椎症)
 脊柱管狭窄症
  ※比較的多くみられるものを挙げましたが、他にも数多く痛みの原因はあります。


痛みの原因部位2:仙腸関節

仙腸関節とは骨盤を構成する骨のうち仙骨と腸骨という二つの骨の間にある関節です。この関節は関節であって関節でない、半関節とも呼ばれます。ほとんど可動性がなく動かないのですが、わずかに動くのです。主にお辞儀をするような形、前後にうなずくような動きをする作用があります。
この関節が原因で痛みが生じている場合、骨盤あたりの高さで、左右の片側に痛みを感じることが多いようです。両側が痛む場合でも左右で痛みの強さに差があることが多いようです。不良姿勢のなかでも特に第2章で紹介した左右への姿勢の偏りが多い場合に多く見受けられます。

鑑別方法としては上後腸骨棘という仙骨と腸骨の境目の場所に痛みが現れる場合はこの仙腸関節が痛みの原因として考えられます。 写真62 図8

仙腸関節由来の痛みである場合、この上後腸骨棘の部分を指先で強く押した場合に痛みが出ることが多く、鑑別方法として用いられることもあります。また痛む側の腰を下にして横向きに寝た場合に痛みが強くなる場合があります。

痛みについてのまとめ

 痛みの原因が脊柱・仙腸関節いずれであれ、痛みが生じると周辺の筋肉の緊張が上がります。腰痛の場合は周辺の筋肉というのが背中の筋肉であるため、非常にタチが悪いのです。背中側の筋肉の過緊張が原因で痛みが生じているのに、痛むとさらに背中側の筋肉が緊張してしまうのです。もともとの痛みを悪化させるだけではなく、筋肉の緊張それ自体が痛みとして感知されるようにもなってしまうのです。

いずれの痛みに対しても、不良姿勢の改善と周辺の筋肉の働きの正常化が不可欠です。

痺れについて
 腰痛に脚の痺れが伴う場合、以下の3つのうちのどれか、もしくは複合したものである可能性が高いと考えられます。

1:椎間板ヘルニア
2:坐骨神経痛
3:脊柱管狭窄症

1:椎間板ヘルニア
 椎間板ヘルニアでは圧力により後方に押し出された髄核という組織が神経を圧迫して痺れを引き起こします。痺れは左右両側におこる場合と、いずれか片側のみにおこる場合があります。本章で紹介する腰椎の持続進展運動などにより改善する可能性があります。ただし、しびれの種類によっては悪化する場合もあるため、説明をよく読んだ上で行ってください。 

2:坐骨神経痛
 坐骨神経痛が原因である場合、骨盤付近で側を通っている梨状筋という筋肉の過緊張に由来している可能性があります。本章で紹介する梨状筋への各種アプローチにより改善する可能性があります。

3:脊柱管狭窄症
 痛みのところで説明した通り、脊髄が圧迫されることなどにより痛みが生じます。
脊柱管狭窄症の改善には腹部の筋肉を活動させること、背中側の筋肉の緊張を抑制することが重要です。それは不良姿勢を改善することと同義です。
 腰を反らせる運動(腰椎の進展)で痛みや痺れが強くなる傾向があるため、間違って椎間板ヘルニアの治療を行うとかえって症状が悪化するおそれがあります。


第2項 実技

・実際に行ってみて腰痛や痺れが強くなるような場合には行わないでください。
・ストレッチにより筋肉が伸ばされて多少痛い分には構いません。

実技19 恥骨包マッサージ
目的
 筋肉の動きをなめらかにする滑液の入った包みを刺激して筋肉を伸ばしやすくします
写真63
写真の位置:股関節の付け根辺りの前面を指先で30秒ほどマッサージします

実技20 内転筋群ストレッチ
目的
股関節内転筋群の緊張を改善して姿勢の改善をはかります
写真64
両方の足の裏を合わせて座る
写真65
上から両方の膝を押す

1回20秒から30秒行います

実技21 大腿筋膜張筋ストレッチ
第3章参照

実技22 腸腰筋ストレッチ
第3章参照

実技23 腸腰筋を働かせる運動
目的
働きの悪い腸腰筋を働かせます
写真66
 背筋を伸ばして座ります。できれば少しイスの座面を少し高くします。
写真67 67b 67c
 太ももを上にあげます。左右交互に20~50回行います。 

悪い例1:写真68
 背中が丸くなり骨盤が後ろに倒れる
悪い例2:写真69
 上げる脚がまっすぐ上にあがらず外側を向く
悪い例3:写真70
上げる脚がまっすぐ上にあがらず内側を向く

実技24 大臀筋ストレッチ(床座位)
目的
 股関節の屈曲(前に曲がる)方向への阻害要因となる大臀筋の柔軟性を改善する。

写真71 (右側大臀筋のストレッチ)
床に座って脚を組む
写真72 (右側大臀筋のストレッチ)
体を前に倒す
 股関節の後面から太ももの上の方の裏側にかけてつっぱりを感じることができれば正しくできています。

実技25 大臀筋ストレッチ(イス座位)
目的
 床座位での大臀筋ストレッチが難しい場合に行ってみてください。

写真73(右側大臀筋のストレッチ)
 イスに座り脚を組む
写真74(右側大臀筋のストレッチ)
 体を前に倒す

実技26 臀部挙上運動(ステップ1)
目的
 働きの悪い大臀筋の収縮と弛緩を行います。補助的に広背筋の収縮と弛緩も行います。
写真75 75b
膝を立てて寝ます。脇を少し開いて肘を曲げておきます。
写真76
お尻を持ち上げます。肘と上腕で床面を軽く押してお尻を持ち上げるのを助けつつ行います。

これを10回程度行います

実技27 臀部挙上運動(ステップ2)
目的
 働きの悪い大臀筋を働かせます。補助的に広背筋の収縮と弛緩も行います。
ステップ1より負荷が強くなります。
写真77
脚を組んで膝を立てて寝ます。脇を少し開いて肘を曲げておきます。
写真78
お尻を持ち上げます。肘と上腕で床面を軽く押してお尻を持ち上げるのを助けつつ行います。

左右両側を10回ずつ行います

実技28 腹式呼吸の練習:臥位 ※重要!
目的
 働きの悪い腹横筋を働かせます
写真79
 上向きに寝て両手をお腹に当てます。すこし足は曲げておきます。
写真80
 鼻から大きく息を吸います。息を吸った時にお腹が膨らむように呼吸します。
写真81
 10秒以上時間をかけて口から息を吐きます。息を吐いた時にお腹が凹むように呼吸します。少し苦しいかもしれませんが、できるだけ細く長く息が吐けるように口をすぼめて息を吐ききります。写真追加01

これを5~10回程度行います。過呼吸にならないように注意して回数を調整します。

実技29 腹式呼吸の練習:座位 ※重要!
目的:臥位での腹式呼吸に慣れたら座位で行います。どこでもできるのでこの実技だけでもよいので1日に2~3セットを毎日行うのが理想です。

写真追加02
 背もたれにもたれずにイスに座ります。両手をお腹に当てます。
写真追加03
 鼻から大きく息を吸います。息を吸った時にお腹が膨らむように呼吸します。
写真追加04
 10秒以上時間をかけて口から息を吐きます。息を吐いた時にお腹が凹むように呼吸します。少し苦しいかもしれませんが、できるだけ細く長く息が吐けるように口をすぼめて息を吐ききります。写真追加01

これを5~10回程度行います。過呼吸にならないように注意して回数を調整します。

実技30 臥位での体幹回旋運動
目的
 体幹の回旋運動を阻害する筋肉の緊張を抑制します

写真82
 膝を立てて寝ます
写真83
 膝を右に倒します
写真84
 反対方向(左側)に倒します

5~10回行います

実技31 体幹回旋ストレッチ
目的
 体幹回旋を阻害する筋肉の柔軟性を改善します

①右側へのストレッチ
写真85
 寝て脚を組みます。右脚が上になります。
写真86
 組んだ脚を左側に倒します
1回20~30秒行います

②左側へのストレッチ
写真87
 寝て脚を組みます。左脚が上になります。
写真88
 組んだ脚を右側に倒します
1回20~30秒行います

動かしてみて硬いと感じる方向に多めに行っても結構です。

実技32 立位での体幹回旋運動
目的
 立位で過重をかけながら体の回旋を行うことで腹部と背部の筋肉の働きを調整します

写真89
左右の脚に均等に体重を乗せ、左右対称の姿勢で立位をとります。
写真90
 大きく息を吸いながら右側の脚に体重を乗せます。この時、両肩の位置は床面と水平になるように注意します。どちらかの肩が上がったり下がったりしてはいけません。
写真91
 良い姿勢を保ちながら右側に体を回旋します。この時も左右の肩の位置は床面と水平、どちらかの肩が上がったり下がったりしてはいけません。

写真92
写真93
 反対側にも同様のことを行います。

左右に3回~5回ずつ行います。やりにくい方向に多めに行っても結構です。


※実技33・34・35は坐骨神経痛がある場合に行います
実技33 梨状筋の緊張抑制(座位)
目的
 坐骨神経痛がある時に試みます
写真94
 浅めにイスに座り、片脚を伸ばします。
写真95
伸ばした方の足部を内側に倒します。
写真96
 伸ばした方の足部を外側に倒します。

これを10~20回程度繰り返します。坐骨神経痛のある側の脚だけで結構です。

実技34 梨状筋の緊張抑制(臥位)
目的
 坐骨神経痛みがある時に試みます。できれば実技33と両方行います。下向きに寝ることが難しければ無理に行う必要はありません。

写真97
 下向きに寝て右脚の膝を曲げます
写真98
 膝を曲げた側の脚を内側に倒します
写真99
 膝を曲げた側の脚を外側に倒します。

これを10~20回繰り返します。坐骨神経痛のある側だけで結構です。

実技35 梨状筋ストレッチ
目的
 梨状筋の柔軟性を改善します

写真100
 下向きに寝て右脚の膝を曲げます
写真101 101b
 膝を曲げた側の脚を外側に倒します。ここで20~30秒止めます。可能であれば、右足部を手で持ってストレッチのかかりを良くしてあげると良いでしょう。

※実技36・37は椎間板ヘルニアであることがわかっている場合に行います。異なる病態である時は痛みや痺れが悪化する可能性があります。
実技36 持続的腰椎伸展運動
目的
 椎間板の後ろ側に圧を加えることにより、後方に突出した髄核の整復を行う。
 痛みが腰の左右中央にある場合や痺れが両側に同等にある場合に行います。

写真102
お腹を下にして寝る。

写真103
 肘を立てて前腕で体重を支持する。この姿勢で痛みや痺れが増強して耐えられない場合は写真94の姿勢に戻します。

写真104
写真95の姿勢が苦痛でなければ肘を伸ばして手で体重を支えます。この姿勢で痛みや痺れが増強して耐えられない場合は写真95の姿勢に戻します。

写真94、95、96の姿勢のうち耐えることができるところで5~10分姿勢を保ちます。1セット10回を上限に行います。この運動を行っているうちに写真94から写真95へ、写真95から写真96へと進めていけるようであればそのように行ってください。

実技37 持続的腰椎伸展運動(側屈位)
目的
椎間板の後ろ側に圧を加えることにより、後方に突出した髄核の整復を行う。
 痛みや痺れの強さが左右のどちらかに特に強い場合に行う。

写真105 105b
 お腹が下になるように寝る。この時、痛みの強い側が凹になるような姿勢をとる。
写真106
 肘を立てて前腕で体重を支持する。この姿勢で痛みや痺れが増強して耐えられない場合は写真100の姿勢に戻します。

写真107
写真101の姿勢が苦痛でなければ肘を伸ばして手で体重を支えます。この姿勢で痛みや痺れが増強して耐えられない場合は写真101の姿勢に戻します。

写真100、101、102の姿勢のうち耐えることができるところで5~10分姿勢を保ちます。1セット10回を上限に行います。この運動を行っているうちに写真100から写真101へ、写真101から写真102へと進めていけるようであればそのように行ってください。

※この運動では痛みのある側を凹にして寝た姿勢で行いますが、どの程度凹にして行うかは状態によって異なります。実際に行いながらあなたにとって良い位置を探しつつ行ってください。

第5章 
余談:体をまもるための知識


余談1:杖の持ち方

 関節痛の人にとって杖を持つことは良いことです。見た目が気になったり持ち歩くのが不便でないのなら、杖を持つことを考えてみても良いでしょう。
 しかし、ちょっと注意して欲しいのはどちらの側の手に杖を持つのかです。右側の脚が悪い人は左手に、左側の足が悪い人は右手に杖を持ってください。
 よく、右脚が悪いのに右手で杖を持っている人を非常に多く見かけます。大抵皆さん右利きなので右手で杖を持ってしまうようです。しかしこれでは意味がありません。
 そもそも、脚の悪い人が杖を持つことの意味はどこにあるのでしょうか。それは悪い側の脚にかかる体重を、杖を持った手に分散するためです。

写真108を見てください。これが右脚が悪い人にとっての正しい杖のつき方、つまり左手で杖を持った場合の歩行の様子です。右脚を地面についた時に同時に杖が地面についています。普通、右脚が前に出た時には左手が前に出ます。だから右脚が地面についている時には同時に杖も地面につくことになります。右脚にかかる体重の何割かを杖に分散させることができます。

 写真109を見てください。間違った杖のつき方です。右手で杖を持つと歩行中の右脚だけで体重を支える時期に杖が宙に浮いてしまっています。そして痛くない左足を地面についた時に同時に杖も地面につきます。これでは意味がありません。

 ちなみに、杖自体は100円均一で売っている物から一本何万円もするものまでピンキリです。

余談2:サポーターと腰痛ベルト(コルセット)

 膝が痛い人が膝サポーターを着けているのをよく見かけます。サポーターには膝の関節周囲の筋肉の働きを補助する効果があります。サポーターの種類によっては左右両側にバネが入っていて、膝を伸ばすのを強力に助けてくれる物もあります。

 このサポーターには良い部分と悪い部分があります。良い部分は膝にかかる負担を減らしてくれるため、痛みが軽減・消失することがあります。
 悪い部分は膝周囲の筋肉の活動を助けてしまうため、ずっと使っていると膝周囲の筋肉が衰えてしまい関節痛を悪化させます。

 サポーターを着けるべきかどうか。痛みが強い時には着けてください。また、長時間歩いたりするなど、関節へ負担をかけることがあらかじめわかっているような場合には予防のためにサポーターをつけておくと良いでしょう。関節の破壊を防ぐためにも有効です。
 逆に悪いのは、なんとなく習慣としてずっとサポーターをつけてしまうことです。痛くない時や寝る時などはサポーターははずしてください。

 腰痛ベルト(コルセット)も基本的に同じです。こちらの場合、着ける位置に気をつけてください。体の上の方につけてしまっていて腹巻のようになってしまっている人をたまに見かけます。正しい位置は、腰の骨が腰痛ベルトの上下の真ん中にくる場所です。

 サポーターも腰痛ベルト(コルセット)も医師から処方された場合は医師の指示に従って着用してください。医師から「2週間は着けていてください」と言われた場合は痛くなくても勝手に着けるのをやめてはいけません。


余談3:腹式呼吸と胸式呼吸 
腹式呼吸は本当に体に良いのか。いや、そうでもないよ。

 腹式呼吸と胸式呼吸の違いをご存知でしょうか? 有名だから知っている人も多いかもしれませんが改めてご紹介しておきます。
 簡単に言うと腹式呼吸は息を吸った時にお腹が前に出っ張り、息を吐いた時にお腹がへこむような呼吸方法です。
 反対に胸式呼吸では息を吸った時にお腹がへこみ、息を吐いた時にお腹が出っ張ります。

 さて、どちらが体に良いでしょうか。一般的には腹式呼吸が良い呼吸方法だと紹介されているように思われます。それにはちゃんとした理由があります。腹式呼吸を行うほうが深く呼吸をできるのです。これは一回あたりの呼吸で体に取り込むことができる酸素の量が多いということを意味します。つまり効率が良いのです。我々理学療法士も呼吸器疾患のあるような人に対してはこの呼吸方法を指導します。

 しかし、やってみればすぐにわかることですが、運動をしながら腹式呼吸を行うことは不可能です。ランニングをしながら腹式呼吸にチャレンジしてみてください。理屈抜きに無理だということがよくわかります。ウォーキング(歩行)くらいの軽い運動でも結構難しいと思います。

 なぜでしょう。ここで一つ、横隔膜と腹横筋の働きに着目してもう一度腹式呼吸と胸式呼吸について考えてみましょう。図9

横隔膜は膜という名前ですが筋肉です。息を吸う時に主に働く筋肉で、これが働くということは横隔膜は下方に下がるということです。腹横筋はお腹をへこませる時に使う筋肉です。意識的にお腹をへこませることができるのもこの筋肉の作用ですが、普段は無意識に自動的に働く筋肉です。

腹式呼吸では息を吐いた時にお腹がへこみます。腹横筋の作用はお腹をへこませる作用です。つまり息を吐いた時、横隔膜が働いていない時に腹横筋が働くということです。反対に息を吸った時にはお腹が出っ張ります。つまり腹横筋が働いていないため下に下がった横隔膜の作用により内臓が圧迫されてお腹が前に出っ張るのです。

 胸式呼吸では息を吸った時にお腹がへこみます。この時に腹横筋が働いているということです。息を吸っているので横隔膜が働き下に下がっています。腹横筋と横隔膜の両方が同時に働いているため、上向きの力が大きくなり背すじを伸ばす(体幹伸展)方向に脊柱の運動が起こります。反対に息を吐く時には横隔膜も腹横筋も働かないため、体は前に曲がる(体幹屈曲)方向に運動が起こります。

 横隔膜と腹横筋を単純に呼吸のための筋肉であるととらえるなら、呼吸の効率の良い腹式呼吸が圧倒的に有利です。
しかし、横隔膜と腹横筋を良い姿勢を維持するための筋肉、つまり姿勢維持筋であるととらえるならば胸式呼吸の要素を過小評価するわけにはいきません。背中側の筋肉を過剰に働かせることなく良い姿勢を保つにはこれは重要な要素なのです。

胸式呼吸では息を深く吐くと背骨が前に曲がる(体幹屈曲)方向に作用が起こってしまうため深く息を吐くことが難しく、呼吸は浅くなりがちです。深く息を吐くことができないため呼吸の効率のみで考えると効率が悪いのは確かです。

 本書の中で何度か説明しているように背中側の筋肉を過剰に働かせる姿勢をとると関節痛の原因になります。その意味では胸式呼吸の要素、つまり横隔膜と腹横筋の作用で体を支えるということは関節痛の治療において重要な意味を持ちます。

結論
 腹式呼吸も胸式呼吸も同じくらい重要

 いずれの呼吸方法にしても横隔膜と腹横筋を協調させて働かせることが重要です。その練習のために第2章では胸式呼吸の要素の強い運動方法(息を吸いながら背すじを伸ばすような運動)を、第4章では腹式呼吸の練習方法を紹介しました。

 本当に勉強するほどに神様は人間の体を無駄のないように作っていると考えさせられます。


余談4:肩こり・首のこり

 不良姿勢はどれも例外なく背中側の筋肉に強い負担がかかります。第2章などでも述べたように、不良姿勢はどれもお腹側の筋肉である腹横筋の働きが悪いため、反対側の背中の筋肉に負担を強いるのです。これは腰に限らず上は頭頚部から背中を通って腰の下まで、すべての背中側の筋肉に負担をかけます。
 だから首のこりにつながるのは当然ですし、首の筋肉には横に広がり肩に付くものがいくつかあるため(肩甲挙筋や僧帽筋上部線維など)肩こりを引き起こすのです。

 だから、もし肩や首が慢性的にこっている場合は不良姿勢の影響である可能性が高いのです。本書では詳しく触れませんが、不良姿勢では頭部や肩の位置も正常と異なる場所に変位してしまっているため、周辺の筋肉に強いこりを引き起こすばかりか、関節痛などの状態を作り出します。
 具体的に言うと、肩や首のこりが強い人は頚椎症や頚部の椎間板ヘルニア、五十肩や胸郭出口症候群などの疾患が起こりやすいのです。あと不良姿勢なので当然ですが本書に書いてある腰痛・膝関節痛も起こりやすいといえます。ちなみに、五十肩などは左側に多い傾向にあります。腰から下はよく使う右側を、肩や首は使われない左側を悪くしやすいようです。あくまで傾向ですが、これは偶然ではありません。あまり意識している人は少ないようですが、肩こりの人は右の凝りと左の凝りの強さについて一度意識してみると良いかもしれません。

 心当たりのある人は本書の第2章で紹介した方法などを実践して姿勢や動作の不良を改善して予防に努めるのが賢明かと思われます。


余談5:インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(浅層筋)

 インナーマッスルという言葉を聞いたことはありませんか? 最近その重要性が解明されてきており、よくその名前を聞くようになりました。
 インナーマッスルとは体の内側・深い奥のほうにある筋肉です。例えば腹筋群と呼ばれる筋肉には、浅いところ・体の表面に近いところから順に腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋という4種類の筋肉が存在します。

 体の表面に近い筋肉は主に運動をする時に使う筋肉です。例えば腹直筋は体を前に曲げる運動、外腹斜筋や内腹斜筋は体を前に曲げながら体を捻る方向に作用します。
それに対して体の表面から遠い筋肉・奥にある筋肉は姿勢の制御や関節の安定化に作用する筋肉です。例えば腹筋群の中で最も深い位置にある腹横筋はお腹をへこませて内臓を圧迫し、背中側の筋肉に頼りすぎずに体を支える作用があります。

 いわゆる腹筋運動を行うと腹直筋を鍛えるだけで腹横筋はあまり働きません。これでは腰痛などの治療には効果が期待できません。
これと同じように、太ももの筋肉を鍛えるためにイスに座り足に重りをつけて膝の曲げ伸ばしをする運動を行っても、太ももの表面にある大腿直筋という筋肉が働きすぎて膝関節痛の治療に重要な中間広筋などを十分に働かせることができません。
 
強い負荷をかけて運動を行うと体の表面に近い浅層の筋肉:アウターマッスルの働きが優位になってきます。運動には重要な筋肉なのですが、この筋肉の緊張が痛みの原因となることがよくあるため注意が必要です。

 よく関節痛の原因は筋力の低下からきているから治すためには筋トレをしないといけないと思われがちです。
確かにインナーマッスルの活動が低下していることを、「筋力低下」と言うのは言葉的には間違いではないのかもしれません。
しかし治療のために筋トレを行うことは間違いである場合が多いばかりか、痛みを増悪させる結果にもなりかねないので注意してください。

まとめ
 痛みの自己治療では筋トレはしないほうが良い


 ※状態によっては強い負荷での筋力増強運動が必要な場合もあります。病院で専門の医師や理学療法士などに高負荷での運動を指導された場合はそれに従ってください。


余談6:マッサージで痛みは治るのか

 腰痛などで悩まれている人でマッサージに通っている人も多いかと思われます。そもそもマッサージで痛みは治るのでしょうか。

第1章でも述べましたが、痛みの原因と治療方法についてもう一度おさらいしてみましょう。

痛みの原因
 1:痛みの原因は筋肉の不活動と筋肉の活動のしすぎ(筋緊張の亢進)
 2:その原因は姿勢と動作の不良
 3:筋肉の活動の異常が関節内の組織の配置のバランスを崩す=痛みが出る
 4:筋緊張の亢進はそれ自体が痛みの原因にもなる

 治療方法
 1:姿勢と動作の改善
2:活動しすぎの筋肉の働きを抑制する(筋緊張の抑制)、
3:不活動の筋肉を活動させる(筋活動の促通) ただし筋力増強ではない
4:関節内の組織の配置を正常化させる

 指圧やマッサージによって筋肉を押したり揉んだりすると筋肉の線維が伸張されて筋肉の緊張が緩みます。これはストレッチによる筋緊張の抑制と同じ作用機序です。筋肉内にある受容器が筋線維の張力を感知して反射的に筋肉の緊張をやわらげるのです。筋肉の緊張が緩むため痛みの原因の4に挙げた「筋緊張の亢進はそれ自体が痛みの原因にもなる」という点を改善します。

 しかし、それ以外の原因を改善していないためすぐにまた元に戻ってしまうのです。実際に経験した人ならわかると思いますが、マッサージを受けた後は筋肉の凝りがほぐれて体が軽くなったような気がするのに、翌日にはまた同じ状態に戻ってしまいます。
 筋肉の緊張に対して何もしないよりはたまに指圧やマッサージで筋緊張をほぐした方が良いと思います。しかし、痛みの根本的な治療にはなり得ないということはよく覚えておいてください。

 注意して欲しいのは、指圧やマッサージはストレッチと違い緊張した筋肉の限定された一点に圧をかけて筋肉の線維を伸張する方法なので、気持ちが良いかわりに筋肉の線維を傷つけやすいという点です。筋肉の線維が傷つくと余計に筋肉が緊張します。いわゆる揉み返しです。マッサージのやりすぎには注意してください。

改めて申しておきますが、痛みの治療で最も重要なのは姿勢の改善です。


余談7:やめて欲しい腰痛体操

 腰痛の治療や予防の体操というものは昔からあります。その中でも最もポピュラーな運動が図10のような、両脚を曲げて膝を抱えるような運動です。これは腰部の背中側の筋肉をストレッチするための方法です。
しかし、私としてはこれは最もお勧めできない運動方法です。私はこれでヘルニアになりました。

 学校を卒業して理学療法士として臨床現場に出てすぐ、まだ入職から2ヶ月くらいの時のこと、私は軽い腰痛になっていました。腰痛と言っても「凝る」とか「張る」といった程度のもので、痛いかと聞かれると痛いような痛くもないような微妙な程度のものでした。
 
 そこで背中側の筋肉をストレッチするために図10のような運動を自分でしていたのですが、運動中に突然激痛が走りました。しばらくしても治らず、運動時(特に前屈時)に強い痛みが出たため整形外科を受診したところ、椎間板ヘルニアと診断されました。

 理由は第4章で紹介したことと重複するのですが、背中側の筋肉が過剰に緊張した状態で前屈を行うと、ある一箇所に集中的に負荷がかかってしまいます。図6 私もその場所を損傷してしまったわけです。
私の場合は椎間板がやられてヘルニアになりましたが、場合によっては他の組織が損傷する可能性も十分にあります。そうなると、例えば変形性脊椎症などといった診断名をつけられるでしょう。

 えらいもので自分が患者になると必死で治療方法を探して勉強します。理学療法士となって間もない時のことでしたが、それでもプロなので専門書など文献を必死に調べて自己治療をしました。職場の先輩に治療してもらいながら教えを受けたりもしました。それでなんとか1ヶ月か2ヶ月くらいで状態は元にもどりました。ちなみに本書で紹介している治療法のいくつかはその時に調べたものです。


余談8:不良姿勢の最終形態

 ここまでに幾度か、不良姿勢が痛みの原因であるということを紹介して参りました。では不良姿勢を放置しておくと最終的にはどうなるのでしょうか。

答えは背骨がつぶれます。

 おどしで言っているのではありません。専門的には脊椎の圧迫骨折という名前の骨折で、高齢者に多い4大骨折の一つです。よくある骨折なのです。

 突然この骨折がおこる場合、強い痛みが出ます。骨折なので当然です。治療のためには手術や長期間の固定が必要となります。

 徐々に圧迫骨折が進行するということも多くあります。長年かけて徐々に圧迫骨折が進行する場合、痛みは感じないか、慢性的な腰痛が続くかのどちらかです。
圧迫骨折では普通、背骨の椎骨の前側がつぶれます。その結果、徐々に圧迫骨折が進行するということは、徐々に体が前に曲がり前のめりになるということです。

不良姿勢は腹横筋の活動不足によるものであると、本書では幾度も説明してきました。腹横筋の働きによる背骨の前側からの支えがないために、最終的に前のめりになってゆくのです。その結果、背骨(椎骨)の前側がつぶれると言うこともできます。

街で背中の丸まったお婆さんを見ることはよくあると思います。その様なお婆さんは、この「徐々に圧迫骨折が進行」した人なのです。

この様な人は不良姿勢の最終形なので当然いろいろ痛みを訴えられます。

あとがき

 すみません。あとがきですがちょっと長くなります。

 本書は実技を紹介するための本ですが、タイトルを「読むだけで治る本」と名付けました。ここまでお読み頂ければ痛みの根本的な原因が不良姿勢にあるということがご理解いただけたかと思います。例え本書で紹介した実技を一つも行わなくても、自分で姿勢を意識するだけでも痛みが治る可能性があります。少なくとも関節破壊の進行を阻止するためには有効です。意識をすれば姿勢は変わります。姿勢が変われば人生が変わります。

 はじめにも申しましたが、医療保険制度の問題で慢性期疾患のリハビリを病院で行うことはかなり難しい状況です。
本当は病院で理学療法士に個別のリハビリを受けることが最も望ましいのですが、それが困難である以上、自分で治すより他に仕方がありません。

本書は私が理学療法士として、病院でリハビリとして行っている治療方法をアレンジして自分一人でも行うことができるようにしたものです。

病院での1回の治療時間は20分から40分程度です。だから本書の治療内容を実践した場合にはそれくらいの時間がかかると思います。人によってはもっと時間がかかるかもしれません。

 たまに、「数分でOK」というような見出しで書かれている本などを見かけますが、本当にそれで痛みが治るのでしょうか。私の知る限り、極めて限られた状態以外でそのようなことは不可能です。
はっきり言ってしまうと、そんなに簡単に慢性痛は治りません。だから、時間をかけて丁寧に治療しなければならないのです。

私見ですが、
 一回20分~40分
 等間隔で週に3回以上
 最低でも1ヶ月
最低でもこれくらいの時間、治療を行わないとなかなか成果は上がらないと思います。

 本書の内容には私の私見や経験則から書かれた内容も含まれております。学術書ではないため学術論文などに依った科学的根拠がなくても私が有益であると考える内容を記載しました。また、痛みの原因等について、自己治療の困難なものや有病率の少ない疾患についてはその説明がなされておりません。「痛み」については本書で取り上げた内容以外にも多くの要因があり、しかも現代医療では未解明なものも多いのです。その点、ご了承ください。

 余談ですが、この本を書いていて気づいたことがあります。本書で紹介している実技の内容と一般にダイエットとか美容のための体操として紹介されているものとの共通点がかなり多いということです。考え方で言うと「姿勢を良くする」「腹横筋でお腹を締める」「筋肉をやわらかくする」というのがその主なものです。
 考えてみれば、「姿勢が悪い」とか「お腹が出っ張っている」などというのは痛みを引き起こしやすいだけでなく見た目にも醜いですし、当然のことかもしれません。人の脳は本能的に健康的な人を「美しい」と感じるように出来ているのかもしれません。


腰痛・ヘルニア等を本気で改善したい人はこちら
http://www.tnseitai.com/



※得られる結果には個人差があります

東大阪の腰痛・ヘルニア 工事中(テスト2)

[記事URL]

三章 ねこ背を生むメカニズム
20min_stop_nekoze-03.indd 1 13/10/22 6:52
3 第三章 ねこ背を生むメカニズム 2
/骨盤のゆがみ
ねこ背をはじめとする不良姿勢の原因として「骨盤のゆがみ」ということがよく言
われます。よく聴く言葉なのですが、少なくとも医療上の専門用語としては使われな
い言葉です。
これはどのような状態のことを言っているのでしょうか。「骨盤のゆがみ」といわ
れる状態について、ここで私なりに簡単にまとめてみました。
① 骨盤の、骨同士が接合する部分がねじれる、ずれる。
骨盤は複数の骨がつながってできています。そのつなぎめの部分がねじれてしまえ
ば、文字通りの「骨盤のゆがみ」といわれる状態になります。
特に仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節という部分(図2)は、地面に対して垂直方向に
存在するため、重力の影響によってせん断力が働き、負荷がかかりやすくなっていま
す。そのため、この部分のねじれやズレが腰痛などの病態の原因となることが、よく
あります(骨盤前面の恥骨結合という部位も骨の接合部なのですが、産後の女性以外ではあま
▲図1
上に向かう力と下に向かう力がぶつかり、
仙腸関節にズレをもたらす力が働く
足元からの力(床反力)が上方向に作用する
重力により上半身の重量が下方向に作用する
仙骨
仙腸関節
20min_stop_nekoze-03.indd 2-3 13/10/22 6:52
5 第三章 ねこ背を生むメカニズム 4
りこの部位が問題になるということはないようで
す。)。
② 姿勢の影響で骨盤が傾く・回旋する
一般的に「骨盤のゆがみ」と言われている状
態の大半はこちらになると思います。これは要
するに、骨盤のゆがみというより、姿勢全体の
ゆがみであり、肩こり・腰痛・膝関節痛はじめ
諸病態のベースになるものす。
骨盤の傾きの影響などから、腹部が前方に出
っ張ったり、ねこ背になったりもして見た目に
も美しくない姿勢となります。
▲図3:前後方向への傾斜
▲図5:骨盤が回旋してしまっている
▲図4:左右方向への傾斜
20min_stop_nekoze-03.indd 4-5 13/10/22 6:52
7 第三章 ねこ背を生むメカニズム 6
実際には、たとえば、骨盤が後方に傾き、合わせて右側に傾き、さらに左側が後方
に回旋してしまっているといった具合に、上記の三つのパターンが合わさって骨盤が
ゆがんでいる人が多いようです。
/股関節と姿勢
股関節の周りの筋肉の柔軟性に問題があると、骨盤を正常ではない角度に傾けてし
まうため、姿勢のゆがみの原因になります。股関節には前面、後面、側面のそれぞれ
に筋肉がありますが、いずれに問題があっても、姿勢の悪化につながります。
① 関節前面の筋肉に問題がある場合

10
を見てください。これは股関節の前面に付いている筋肉の柔軟性が低下したり
短縮している場合の図です。短縮した股関節前面の筋肉にひっぱられて骨盤が前に傾
いています(骨盤前傾)。こうなると、バランスをとるために背骨は腰の部分で反りを
大きくする必要が出てきます。
つまり、股関節前面の筋肉の短縮は悪
い姿勢の一つである「反り腰型」の原因
となるのです。
股関節周囲で反り腰型の原因となる筋
肉には、
● 腸腰筋
● 大腿筋膜張筋
● 恥骨筋
● 大腿直筋
といったものがあります。
① 関節後面の筋肉に問題がある場合
今度は図
11
を見てください。こちらは股関節後面についている筋肉の柔軟性が低下
したり短縮している場合の図です。短縮した股関節後面の筋肉に引っ張られて骨盤は
▲図10:
図10 図11 図12
20min_stop_nekoze-03.indd 6-7 13/10/22 6:52
9 第三章 ねこ背を生むメカニズム 8
この場合、右脚の内側についている筋
肉の柔軟性が低下している可能性があり
ます。そして、反対側の左脚では外側の
筋肉の柔軟性が低下している可能性があ
ります。
それぞれ、右脚や左脚の外側や内側の
筋肉の柔軟性が低下することで、骨盤を側方に傾斜させてしまうこともあります。
この図
12
を見ると、これでは脚の長さが左右で同じでは釣り合いが取れず両足で立
てないようにも見えます。そこで実際には、無意識のうちに各関節の角度などが巧妙
に調整されることで、骨盤の傾きが相殺されてバランスをとっているのです。しか
し、両脚が不釣り合いなままでバランスをとっているわけですから、これがいわゆる
身体のゆがみの一つでもあるわけです。
ちなみに、若いころからずっと左右のいずれかに片寄った姿勢をとっていると、長
後ろに倒れます(骨盤後傾)。こうなる
と、バランスをとるために背骨は前方に
曲がってねこ背になります。
つまり、股関節後面の筋肉の短縮は悪
い姿勢の一つである「ねこ背型」の原因
となるのです。
股関節周囲でねこ背型の原因となる筋肉は、
● ハムストリングス(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の三つの筋肉の総称)
● 大臀筋
です。
② 関節の側面の筋肉に問題がある場合
次は図
12
を見てください。骨盤の右側が上がっています。それなのに脚はまっすぐ
下に伸びています。
▲図12: ▲図11:
図 10 図 11 図12 図 10 図 11 図 12
20min_stop_nekoze-03.indd 8-9 13/10/22 6:52
11 第三章 ねこ背を生むメカニズム 10
この場合、図
13
のように脚が外に開き、いわ
ゆるO脚やガニ股と言われる姿勢になります。
これは膝を痛めやすい姿勢の典型です。
③ 関節の回旋作用がある筋肉に問題がある場合
最後に骨盤を回旋させる筋肉を見てみましょ
う。図125 を見てください。右側の足先が左側よりも前に出ています。これは骨盤の
右側が前に出て左側が後方に下がっている、つまり回旋してしまっている状態です。
上半身や顔はまっすぐ正面を向いていますので骨盤の回旋によって身体のねじれが起
こってしまっているということです。
こういう人は股関節では大腿骨を回旋させる筋肉の柔軟性に左右差が生じていま
す。
大腿骨を回旋させる筋肉には、
期的には、本当に左右の脚の長さが変わってくることがあります。まさかと思うかも
しれませんが、実際に測ってみると、左右の脚長差がある人は案外多いものです。実
際に脚長差がある場合でも、やはり同様に、代償的に身体の各関節の角度が調整され
るので、一見脚長差などないようにも見えます。実際、日常生活においても左右の脚
長差が2センチ以下であれば動作に問題は生じないとされていますが、それを超える
ようであれば、靴底の厚さを変えるなどして、補高する必要が生じます。
股関節周囲で骨盤の側方傾斜の原因となる筋肉には、
● 外側......中臀筋・小臀筋・大腿筋膜張筋
● 内側...... 短内転筋・長内転筋・大内転筋・恥骨筋・薄筋
が、あります。
上述した場合とは別に、両側の股関節外側の筋肉が凝り固まって柔軟性が低下し、
反対に両側の股関節内側の筋肉が弱化して衰えている人も非常に多くいます。
▲図13:
図13
20min_stop_nekoze-03.indd 10-11 13/10/22 6:52
13 第三章 ねこ背を生むメカニズム 12
/股関節と動作
股関節の柔軟性は、単純な座位や立位姿
勢以上に、運動を行うときにさらに重要に
なります。
例えばゴルフのスイングは一般に「腰を
ひねる」動作ですが、左足の足先の向きに
注目すると、スイング後の足先は体の正面
とは違う方向を向いていることがわかりま
す(図
15
)。実は、一般に「腰をひねる」と
思われている動作の大半は(立位では)股関
節の回旋運動によるものなのです。
● 股関節外旋筋群(梨状筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋)
があります。
どうでしょう。ここまで読んでいただければおわかり
いただけるかと思いますが、股関節周囲の柔軟性の低下
は第一章で紹介した3種類の骨盤のゆがみ、すなわち
● 前後方向への傾斜
● 左右方向への傾斜
● 骨盤の回旋
はすべてを引き起こす原因となるのです。
骨盤がゆがめば、その上についている背骨の曲がり方
が変わってきます。股関節の柔軟性は姿勢の制御に対して重要な意味を持っているの
です。
▲図15:一般に腰をひねるという運動は、実際には股関節の ▲図125:
回旋運動によるところが大き図い。1左5足先の向きに注目
20min_stop_nekoze-03.indd 12-13 13/10/22 6:52
15 第三章 ねこ背を生むメカニズム 14
ページ参照)にも過剰な負荷がかかり、腰椎や仙腸関節周囲の組織を損傷させてしま
い腰痛の原因となります。
このように、股関節の柔軟性に問題がある場合、腰に過剰な負荷がかかってしまい
腰痛を引き起こす原因となります。そして間接的には腰痛だけではなく、姿勢不良を
原因とするすべての疾患の原因にもなり得ます。
/体幹筋の働き
健康本やトレーニング本などで「体幹」あるいは「コア」という言葉はすっかりおな
じみになっていますが、姿勢改善においても、体幹部は重要です。
体幹は腹筋群と背筋群から成ります。
人間は背骨を縦方向に、垂直に立てて姿勢をつくっていますが、これが可能なのは、
胴体部分前面の腹筋群と後面の背筋群、それぞれの筋肉が適正に働いているからで
す。
腰椎(腰の骨)の回旋作用は左右に5度しかありません。それ以上の回旋負荷が腰
にかかると、組織の損傷が起こり腰痛の原因となります。股関節の柔軟性に問題があ
れば腰椎に過剰な回旋負荷がかかってしまう可能性が高いのです(体をひねる作用には
頚椎と胸椎の回旋作用も重要です)。
今度は図
16
を見てください。左は股
関節の柔軟性に問題がない場合の前屈
時の図です。この場合、股関節が前方

70
度、腰椎は前方に
40
度曲がってい
ます。
これが股関節の柔軟性に問題がある
と、右側の図のように代償として腰椎
に過剰に負荷がかかります。腰椎だけ
ではなく、骨盤に存在する仙腸関節(●
▲図16
20min_stop_nekoze-03.indd 14-15 13/10/22 6:52
17 第三章 ねこ背を生むメカニズム 16
過剰に働いて腰の部分の反りが強くな
り「反り腰」なってしまうのです。
/体幹のコア(核)になる筋肉
腹筋群に含まれるいくつかの筋肉の
うち、特に腹横筋の働きが悪いと綺麗
な姿勢を保つことができません。次章
から姿勢改善に役立つエクササイズを
紹介しますが、体幹部分に関して言えば、まず強化すべき筋肉は、この腹横筋です。
なお、腹横筋はいわゆる腹筋運動をしても鍛えることができません。腹筋運動で鍛
えられるのは腹直筋という、腹筋群の中でもまた別の筋肉だからです。
上述した腹横筋の他にも体幹には姿勢制御において特に重要な働きをする筋肉がい
くつかあります。ここでそれらについて簡単に紹介します。
図6を見てください。普通、このよ
うに背筋群によって背中側から背骨を
引っ張る力と、腹筋群が内臓を圧迫し
て圧力で胸郭を押し上げる力とで、人
は姿勢を保っています。
第1章で紹介した悪い姿勢の典型で
ある「ねこ背」「反り腰」の双方に共通
するのは、大半の場合腹筋群の働きが
悪いという点です。
腹筋群の働きが悪いと、図7のよう
に胸郭を十分に支えることができずに
前に倒れこみ「ねこ背」になるか、反
対に図8のように腰の部分の背筋群が
▲図8 ▲図7 ▲図6 図 06 図 07
内蔵
胸部
内蔵
胸部
骨盤骨盤
図 06 図 07
内蔵
胸部
内蔵
胸部
骨盤骨盤
図 08 図 09
内蔵
胸部
骨盤 骨盤


20min_stop_nekoze-03.indd 16-17 13/10/22 6:52
19 第三章 ねこ背を生むメカニズム 18
3:横隔膜
膜という名前ですが横隔膜は筋肉です。息を吸う時に働きます。息を吸う時に下に
さがり、息を吐くときに上に戻ります。この筋肉の働きがなければ人間は呼吸ができ
ません。この横隔膜は胸郭の下面の壁となります。
4:骨盤底筋群
この筋肉は骨盤の真ん中にある大きな穴を塞いでいる小さな筋肉の群です。この筋
肉はおしっこを我慢する時に働く筋肉(尿道括約筋)やお尻の穴をしめる筋肉(肛門括
約筋)などであり、普段あまり意識をすることのない筋肉です。この筋肉がちゃんと
働かずにたるんでしまうと内臓をうまく下から支えることができません。
上記の4つの筋肉は身体のインナーユニットと呼ばれる筋肉で、それぞれあまり意
識をしなくても姿勢を制御する時に自動的に協調して働いてくれます。このインナー
ユニットは最も狭い意味での身体のコア(核)となる部分であり、これらの筋肉を正
1:腹横筋
すでに少し紹介しましたが、この筋肉は腹筋群のなかで最も深い場所にある筋肉で
す。この筋肉の働きは「お腹を凹ませる」作用です。意識的にお腹を凹ませる時にも
働きますが、普段は無意識のうちに姿勢の変化に応じて自動的に働いています。この
筋肉の働きが悪いと、姿勢が悪くなるだけでなく、内臓が前に押し出されてお腹が前
方にでっぱります。
2:多裂筋(腰部)
背骨の背中側に付いている筋肉です。同類の他の筋群よりも深層・内側についてい
ます。腹横筋と連動して働き、背骨を支えて姿勢を保ちます。腹横筋の働きが悪いと
この筋肉は代償的に過剰に働きます。腰痛の人などは背骨の横にあるこの筋肉が凝り
固まっている場合が多いです。
20min_stop_nekoze-03.indd 18-19 13/10/22 6:52
21 第三章 ねこ背を生むメカニズム 20
に関連した内容を説明するのでもう一度ここで紹介しておきます。是非とももう一度
ここで試してみてください。
実技B 腹横筋と横隔膜の同時収縮
① ラックスして立ちます。この姿勢で
はじめにウエストのサイズを測りま
す。
② 深呼吸の要領で大きく息を吸い、背
すじを伸ばします。ここでもう一度
ウエストのサイズを測ります。
①より②の状態のほうが、お腹が凹ん
でウエストのサイズが小さくなっている
はずです。このときにお腹が凹む理由に
常に働かせることは、美しい姿勢をつ
くるうえで重要であるばかりでなく、
無理なく身体を動かす上で非常に重要
な意味を持つのです。
この体幹のコア(核)の部分の安定性
のことを「コア・スタビリティ」と呼ぶ
ことがあります。
 体幹は文字通り身体の幹であり、ここがしっかりしていないと腕や脚を使った運
動や動作にも十分に力を入れることができません。そして無理な動作を続けると体の
幹自体が醜く曲がりくねってしまうという悪循環になるのです。
/呼吸に使われる筋肉と姿勢の関係
第一章で紹介したウエストのサイズが一瞬で小さくなる方法の実技です。この実技
▲写真16 写真17 ▲図9
図 08 図 09
内蔵
胸部
骨盤 骨盤


20min_stop_nekoze-03.indd 20-21 13/10/22 6:52
23 第三章 ねこ背を生むメカニズム 22
絡めて、ここでは呼吸に使われる筋肉と姿勢との関係について説明いたします。
実技Bのとき、胸式呼吸という呼吸方法で息を吸っています。それに対して腹式呼
吸という呼吸方法もあります。
テレビの健康番組などで「腹式呼吸のすすめ」といったテーマが取り上げられるこ
とも多いせいか、なんとなくイメージとして、腹式呼吸は良い呼吸法で胸式呼吸は悪
い呼吸法というようなイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、腹式
呼吸と胸式呼吸は同じくらい重要なものです。
一般に「深呼吸」と呼ばれている呼吸方法は、胸式呼吸に類別される呼吸法でもあ
ります。まずは呼吸方法に良い方法と悪い方法があるわけではないということを理解
してください。
/腹式呼吸と胸式呼吸─筋肉の働き方の違い
胸式呼吸と腹式呼吸の違いを説明しましょう。

18
の左側を見てください。これは実
技Bとして紹介した胸式呼吸を行ってい
る時の筋肉の働き方の図です。
息を吸うとき、横隔膜という筋肉が働
いてこれが下に下がります。このタイミ
ングでお腹を凹ませる腹横筋が働いて内
臓が圧迫されると背骨が後ろに反って背
すじが伸びます。実技Bを行うとお腹が
凹んで背すじが伸びるのはこのような筋
肉の共同した活動によるものなのです。
では、この呼吸法で息を吐く場合はど
うなるでしょうか。

18
の右側のようになります。横隔膜
▲図18
18
20min_stop_nekoze-03.indd 22-23 13/10/22 6:52
25 第三章 ねこ背を生むメカニズム 24
方です。横隔膜が働いて下に下がっています。しかし腹横筋が働いていないため、横
隔膜によって上から圧迫された内臓が前方に押し出されお腹が前方にでっぱります。
次に図の右側、息を吐く時の図です。腹横筋が働き内臓を圧迫してお腹を凹ませて
います。圧迫された内臓の上方向への圧力によって横隔膜が上に押し上げられていま
す。息を吐く時、横隔膜は弛緩するだけで上方向に戻っていくのですが、腹式呼吸の
場合ではこの内臓の圧力の作用で更にその動きを助け、より深く息を吐くことができ
ます。
腹式呼吸の場合、息を吸っても吐いても姿勢に影響を与えません。また、息を深く
吐き出すことができるため、深い呼吸ができるようになります。
以上のことを踏まえて、改めて胸式呼吸と腹式呼吸の特徴をまとめるとこうなりま
す。
が弛緩して上にあがり、腹横筋も働きま
せん。こうなると体の前側からの支えが
なくなるため、背骨は前方に曲がりねこ
背のようになります。
実際に胸式呼吸の一種である深呼吸を
してみれば、息を吸うときと吐く時での
姿勢の違いが良くわかると思います。是
非一度試してみてください。
今度は図
19
を見てみてください。こち
らは腹式呼吸を行っている時の筋肉の働
き方の図です。
図の左側が息を吸うときの筋肉の働き
▲図18
19
20min_stop_nekoze-03.indd 24-25 13/10/22 6:52
27 第三章 ねこ背を生むメカニズム 26
ちなみに、もっとも姿勢を安定させる方法は息をとめることです。
実際に重量挙げの選手や短距離走の選手などは息を止めます。背骨への負担を減ら
したり、体の重心を安定して効率よく走ったりするには、横隔膜や腹横筋をグッと固
めて動かさないのが一番効率的なのです。
安静時においては腹式呼吸のほうが深く呼吸ができるため、効率的な呼吸法となり
ます。また、歌を歌ったり大声を出すときなどは、息を強く吐くことができるために
腹式呼吸が有利となります。
しかし、たまに安静時でも胸式呼吸を行っている人がいます。女性に多いのです
が、これは問題です。可能性として、腹横筋や背中側の筋肉の働きが正常よりも悪い
可能性があります。安静時であっても胸式呼吸による姿勢維持作用がないと姿勢の維
持が難しくなっているかもしれないからです。
● 胸式呼吸......息を吸うと背すじが伸びてお腹が凹む
  息を吐くと姿勢が崩れてねこ背になる
● 腹式呼吸......息を吸っても吐いても姿勢に影響がない
  深い呼吸ができる
/呼吸方法の使い分け
普通、人は特に意識をせずに胸式呼吸と腹式呼吸、この異なる呼吸方法を適切に使
い分けています。
例えば、腹式呼吸をしながら運動をすることは困難です。試しに腹式呼吸をしなが
らランニングをしてみてください。
理屈抜きに不可能なのがよくわかります。
運動をするときには、胸式呼吸の方が有利なのです。息を吸う時に背すじを伸ばす
作用が運動中の姿勢の安定を助けるからです。ただし、胸式呼吸で息を深く吐くと背
骨が曲がりねこ背になってしまうため、必然的に呼吸は浅くなってしまいます。
20min_stop_nekoze-03.indd 26-27 13/10/22 6:52
29 第三章 ねこ背を生むメカニズム 28
腹直筋という4つの筋肉があります(図
20
)。
この場合、腹横筋はインナーマッスルで腹直
筋はアウターマッスルになります。
インナーマッスルは主に姿勢の制御や安定
性、ひいては生命維持にも寄与するような筋
肉です。先ほど紹介した呼吸や姿勢維持に関
係するような筋肉もこれにあたります。
 アウターマッスルのほうの働きはという
と、こちらは運動、つまりダイナミックに動
く時に強く働く筋肉です。力強い動きを出す
にはこのアウターマッスルの作用が重要にな
ります。
胸式呼吸では呼吸は浅くなりがちなので、長期的にみると健康を損なう根本的な原
因の一つにもなりかねません。
もし自分が安静時でも胸式呼吸をしているようであれば、本書の実技紹介の章で紹
介する腹横筋など体幹に対するアプローチ方法を是非実践してみてください。
/インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(浅層筋)
インナーマッスルという言葉を聞いたことはないでしょうか?
最近、その重要性が注目され、テレビや雑誌で話題になることも多いので、知って
いる人もいると思います。
身体の内側の深い位置にある筋肉のことをインナーマッスル(深層筋)といいます。
これに対して、身体の表面に近い浅い部分にある筋肉はアウターマッスル(浅層筋)
といいます。
例えば、腹筋群と呼ばれる筋肉には内側から順に、腹横筋→内腹斜筋→外腹斜筋→
▲図30:腹筋軍の中でも一番内側に位置する腹横筋はインナーマッスル
と呼ばれる
腹横筋
内腹斜筋
外腹斜筋
腹直筋
20min_stop_nekoze-03.indd 28-29 13/10/22 6:52
31 第三章 ねこ背を生むメカニズム 30
姿勢が悪い人は、インナーマッスルの働きが悪いことが多いようです。
インナーマッスルが弱くなれば姿勢は悪くなり、悪い姿勢をとり続ければ、結果と
してインナーマッスルの働きはますます悪くなってしまいます(不良姿勢以外に、運動
不足などの生活習慣によってインナーマッスルの働きが悪くなることもありますが)。
インナーマッスルの働きが悪いと、その代償として、本来姿勢の維持には関わらな
いアウターマッスルの作用で姿勢が維持されるようになります。
悪い姿勢とは、本来とは違う筋肉の作用により姿勢が維持された姿勢でもあるので
す。
アウターマッスルの作用で姿勢を維持すると、その筋肉は過剰に緊張して凝り固ま
り柔軟性が低下します。
肩こりや筋肉に由来する腰痛の原因などはまさにこれです。
このような状態を解消するためには、インナーマッスルの活性化とアウターマッス
ルの過剰な緊張や柔軟性を改善する必要があるのです。
/肩甲骨の位置のズレ
その他にも留意すべき点はあります。一つが肩
甲骨です。
脚に対して骨盤が重要であるのと同様に、腕に
対しては肩甲骨が重要な意味を持ちます。肩甲骨
の位置がズレていると姿勢が悪くなりますし、慢
性的な肩やクビの凝りを引き起こす原因にもなり
ます。
そもそも、肩甲骨の位置がズレているとはどう
いうことでしょうか。

20
を見てください。最も多いのは、この図の
ように肩甲骨が外側にズレるケースです。
▲図20
020
20min_stop_nekoze-03.indd 30-31 13/10/22 6:52
33 第三章 ねこ背を生むメカニズム 32
長年「ねこ背+撫で肩」の姿勢をとっている人は、この大胸筋や小胸筋の柔軟性を
改善する必要があります。
/ふくらはぎの筋肉と足のむくみ・立位姿勢の安定
もう一つ留意すべきはふくらはぎです。
ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれるほど、血液の循環に重要な意味を持っていま
す。この部分の筋肉が十分に働かないと、足部の血液を上方向に押し戻すことができ
なくなってしまうためです。
血液を上方向に十分に押し戻すことができなくなると、体の水分が足元に貯留して
しまいます。これがいわゆる「むくみ」の原因です。
運動不足が原因でふくらはぎの筋肉の働きが悪くなり、足首のあたりがむくんでい
る人は実際にかなり多くいます。とくにもともと筋肉量が少ない女性に多くみられる
症状です。
筋肉が使われていないため、単純に衰えているだけではなく、凝り固まったりして
背骨が前方に曲がるねこ背型の姿勢をとると、自然と肩甲骨は外側に変位し、いわ
ゆる撫で肩になります。
このような姿勢や運動のつながりを運動連鎖と言いますが、この運動連鎖によって
「ねこ背+撫で肩」といった、一般的によく見かける悪い姿勢がつくられることも多
くあります。
このように、肩甲骨の位置がズレて撫で肩姿
勢を長期間とっていると、この姿勢でいること
が自然となってしまい、胸部にある大胸筋や小
胸筋といった筋肉が硬化・短縮してきます。こ
れらの筋肉は肩を前方に引っ張る作用があるた
め、柔軟性が低下してしまうと、この撫で肩姿
勢を固着させてしまう原因になります。
▲ 図31:ねこ背になると肩甲骨が
外側に変位して図撫で3肩1になる
重力の方向
骨格
20min_stop_nekoze-03.indd 32-33 13/10/22 6:52
35 第三章 ねこ背を生むメカニズム 34
具体的には、長母趾屈筋・長趾屈筋などがそれにあたり
ます。これらの名称に使われている「趾」という感じは
「し」または「あしゆび」と読み、解剖学的には手の指と区
別されるものです。
 運動不足の生活が続くと、この足の指を曲げるための
筋肉も衰えてしまいます。この筋肉は血液の循環にとって
重要なだけではなく、立位姿勢や立位動作中にしっかりと
バランスがとれるように地面を踏みしめる働きをします。

27
の左側の図を見てください。
足の指を曲げる筋肉がしっかりと働いていない状態とい
うのは、極端にいうとこの図のように足の裏の極めて狭い
部分で全体重を支えているようなものなのです。当然こう
なるとバランスを取るのが難しくなり姿勢も悪くなりま
柔軟性が低下していることも多くあり
ます。
「ふくらはぎ」といわれる部分の大半
は下腿三頭筋という筋肉です。この下
腿三頭筋は腓腹筋という筋肉と腓腹筋
という筋肉の総称です。
この下腿三頭筋の働きが悪いと足の
むくみの原因になるのですが、ふくら
はぎにはもう一つ重要な筋肉がありま
す。それは下腿三頭筋よりも深部にあ
って足裏まで達し、足の指を曲げるた
めの筋肉です。
▲図33:足の指を曲げるための筋肉が衰えるとしっかり地面を踏めない ▲図30
図33
腹横筋
外 内
ヒラメ筋
長母趾屈筋
長趾屈筋
腓腹筋
下腿三頭筋
20min_stop_nekoze-03.indd 34-35 13/10/22 6:52
37 第三章 ねこ背を生むメカニズム 36
足の指は、足の裏全体から見ると大し
た大きさではないように見えるかもしれ
ません。しかし、図
28
の骨の図を見てく
ださい。
「足の指」を趾骨の部分だけではなく、
中足骨の部分まで含めて捉えると、足の
裏全体の面積のかなりの部分を占めるこ
とがわかります。
足の指を曲げる筋肉が働かない状態と
いうのは、この図
28
の足根骨の部分だけ
で体重を支えている状態と言っても良い
かもしれません。
す。
 反対に足の指を曲げる筋肉がちゃんと働いている場合は図
27
の右側の図のように
足の裏全体で体重を支えることができます。当然この方が姿勢も動作も安定します。
体重を支える面積が違ってくる
▲図27
027
足の指の筋肉がきち
んと働いている場合
足の指の筋肉が働い
ていない場合
▲図28
足根骨
中足骨
趾骨
20min_stop_nekoze-03.indd 36-37 13/10/22 6:52
38
以上のように、ふくらはぎの部分の筋肉の機能を改善することは、足のむくみをと
るために重要であり、またバランスよく安定した立位姿勢をとったり、安全に歩いた
り運動したりするためにも重要だということです。
20min_stop_nekoze-03.indd 38 13/10/22 6:52__


腰痛・ヘルニア等を本気で改善したい人はこちら
http://www.tnseitai.com/



※得られる結果には個人差があります


《 前 1  2  3  4  5  6  7  8 



期日までにお電話頂くと
下記割引料金となります

aオファ全体無期限.png

今すぐお電話を!


当院は完全予約制です
事前にご予約ください

※留守番電話にお名前と電話番号をお伝えください。後ほど折り返しお電話いたします。

電話でのお問合せ


お電話での予約方法

ほとんどの時間、施術中のため電話に出る事ができません。
そのため留守番電話に設定していますので、「お名前」と「電話番号」を残しておいてください。
こちらより折り返し連絡させて頂きます。


お電話いただきますと録音メッセージが流れます。
録音メッセージでは、

電話アイコン

はい。TN整体院です。
ご予約・お問い合わせの方はお名前と電話番号をお願いします。
こちらより折り返し連絡致します。

と録音メッセージが流れます。

矢印アイコン

電話アイコン

お名前・ご連絡先をメッセージに残しておいてください。

矢印アイコン

電話アイコン

当日または次の日にメッセージを頂いた連絡先へ当院よりご連絡させて頂きます。

そこで予約の日程を決めていきます。
その際に、あなたの疑問に感じている事や不安に思う事がありましたら遠慮なくお伝えください。

電話でのお問合せ

ライン予約できます.png
LINE特典

↑ここから友達登録してLINEでご連絡ください



 【住 所】 〒577-0022 大阪府東大阪市荒本新町3-4-303
 【電話番号】 090-2598-5692
 【営業時間】 8:00~20:00
 【定休日】 不定休
 【最寄駅】 近鉄けいはんな線(地下鉄中央線)荒本駅から徒歩3分
 【駐車場】 最寄りのコインパーキングをご利用ください

PageTop

書籍の執筆・メディア掲載
メニュー
病態説明2.png
会社概要

東大阪市 腰痛専門整体
「TN整体院」


【住所】
〒577-0022
大阪府東大阪市荒本新町3-4-303


【電話番号】
090-2598-5692


【営業時間】
8:00~20:00


【定休日】
不定休


【最寄駅】
近鉄けいはんな線荒本駅
徒歩3分


【駐車場】
最寄りのコインパーキングをご利用ください




東大阪市 「TN整体院」
  • 住所:〒577-0022
    大阪府東大阪市荒本新町3-4-303
  • 電話:090-2598-5692