腰痛を引き起こす原因となりやすい部位をここで5つ紹介します。ここで紹介する痛みを感じやすい部位は、それ単独で障害されていることももちろんあるのですが、むしろ複合的に痛みを引き起こしていることが多く、これが腰痛の原因の特定を難しくしています。
ちなみに、ここでは出来るだけ疾患名については記載を避けています。例えば、腰痛で病院を受診すると、「変形性脊椎症」「椎間板ヘルニア」などの疾患名がつけられるのが一般的なのですが、脊椎の変形や椎間板の変成は加齢によりむしろ大半の人に生じている状態であることが確認されています。
重要なのは、その中でも痛みのある人とない人がいるということであり、腰に痛みのある人は、疾患名の如何に係わらず、本章で紹介する痛みの原因となりやすい部位の障害が考えられるのです。
①椎間関節
②椎間板:後縦靭帯
③仙腸関節
④多裂筋
⑤梨状筋:坐骨神経
①椎間関節
椎間関節は背骨の後方にある左右一対の小さな関節です。図003
この関節は痛みの感度が非常に強く、ここが障害されると非常に強い痛みを感じます。ぎっくり腰の原因部位の一つでもあります。
図004をみてください。これは痛みの感じ取りやすさを示したものです。この閾値が低いほど、痛みを感じやすいという意味です。椎間関節は痛みを感じやすい部位の中でも特に強く痛みを感じる部位であるということがお分かり頂けるかと思います。
この関節を包む関節包をいう膜組織があるのですが、なんらかの負荷によりこの関節包が傷ついたり、関節に挟み込まれたりすると強い痛みを感じると考えられています。
例えば、この関節包には多裂筋という筋肉がくっついていて、多裂筋が正しく働けば、椎間関節に運動が生じる時に関節包が関節内に引き込まれて骨と骨に挟まらないように、関節の外側に関節包を引っ張ってくれます。しかしこの多裂筋が正しく働かない場合、関節包が関節内に挟みこまれてしまいます。このこと自体が痛みの原因となったり、挟まることで傷ついてしまい炎症が起こるということも考えられます。
他にも、姿勢が悪かったり、身体の柔軟性が低かったりするとこの関節は負荷を受けやすくなります。上述の通り、この関節は痛みの閾値が非常に低い部位なので、慢性的な痛みだけではなく、ちょっとした体動の時に不意に現れる鋭い痛みの原因になっているかもしれません。
②椎間板
椎間板は、脊柱(背骨)の骨と骨の間にある柔軟性を持った軟部組織です。図005
椎間板の構造はというと、中心に髄核という丸いゼリー状の物質でできた固まりがあり、その周りを線維輪という軟骨の一種で出来た組織で囲んでいます。
なんらかの圧力によって椎間板の線維輪の一部が破れてしまい、髄核がはみ出してしまうことがあります。これが有名な椎間板ヘルニアです。図006
後方に押し出された髄核が中枢神経である脊髄や、そこから出ている神経根という部分を圧迫することで腰から下肢にかけての痺れが現れることも多くあります。
椎間板の成分の、特に髄核の部分の大半は水分です。これが加齢とともに序徐に椎間板の水分量が低下し、それに伴い椎間板自体の厚みも薄くなっていきます。
水分量が低下した椎間板は柔軟性に乏しくなり変性による損傷を起こしやすくなります。
ここで重要なのは、腰痛の訴えのない人でも、特に高齢者では椎間板が変性・損傷してヘルニア状態になっている人がかなりの割合でいるようだということです。
ここで少し戻ってもう一度図004をみてみましょう。椎間板の線維輪はそれほど痛みの閾値が低くありません。つまり痛みに対してそれほど敏感ではないということです。この図でもう一つ見てもらいたいのが後縦靭帯の閾値です。閾値がかなり低いため痛みに対して敏感な場所であることがわかります。
図007をみてもらうとわかるように、椎間板の後方にこの後縦靭帯は存在します。つまり、ヘルニア状態になり、押し出された髄核の圧力が後縦靭帯に刺激を与えているかどうかが、痛みの有無と強い係わりがあると考えられます。
負荷がかかるのが後縦靭帯までであり、さらにその後方の神経にまで負荷がかからなければ、痺れは現れず痛みだけが出現するということになります。
実際に、椎間板ヘルニアと診断されても強い痛みがあるだけで痺れなどの神経症状の訴えのない患者さんは多くいます。
損傷・変性して常時ヘルニア状態の椎間板が、体動にともない後縦靭帯に不意に負荷をかけて鋭い痛みが出るということは、可能性として高いと考えられます。
また、常態的に後縦靭帯に負荷がかかり続けていて、それが慢性痛となっている可能性も考えられます。痺れの訴えがなかったり痛みが慢性痛であれば、整形外科を受診しても「椎間板ヘルニア」という診断名はつかないかもしれません。ただ、痛みの本当の原因が椎間板ヘルニアに由来している可能性もあるということを頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。
もう一点、加齢にともない椎間板が薄くなると椎間関節のかみ合わせが深くなってしまいます。椎間関節に負荷をかけてしまい、椎間関節由来の痛みを引き起こす一因となるということも考えれられています。
これは椎間板に限らずですが、身体の加齢による変性を予防することは健康の保持に非常に重要な意味を持ちます。その加齢変性の予防のための重要な方法の一つが姿勢の改善です。これについては次章で1章を割いて説明します。
③仙腸関節(骨盤)
仙腸関節とは、仙骨という骨と腸骨(寛骨)という骨の間に存在する、骨盤の中にある関節です。図008 この仙腸骨関節部分は比較的痛みを感じやすい部位であるとともに、力学的な負荷を受けやすい部分でもあります。
この関節は重力方向とほぼ垂直に近い形で関節面が存在します。そのため、重力がこの関節をずらす方向に作用するのです。図009
元来、力学的な負荷を強く受けてズレやすい構造であることから、この関節はズレないようにしっかりと強靭な靭帯や筋肉・筋膜(腱膜)で覆われて固定されています。そのため、関節であるのにほとんど可動性がありません。
しかし、姿勢の不良や筋肉の働きの異常(主に緊張の亢進)の影響を受けて、受ける負荷が増大してくると、仙腸関節を保護している靭帯などの各組織が傷つき痛みの原因となってきます。この仙腸関節周囲の組織が急激に損傷する(線維がちぎれてしまう)ことがぎっくり腰の原因の一つでもあります。
この仙腸関節に由来する痛みの原因部位として特に注目されるのが後仙腸靭帯という仙腸関節後面にある靭帯です。図010
この靭帯は後述する多裂筋の付着部位でもあります。仙腸関節にかかる重力による負荷に加え、多裂筋の緊張が亢進した状態である場合この筋肉が後仙腸靭帯を引っ張ってしまい、この靭帯に過剰な負荷をかけます。
姿勢が悪い場合に、この多裂筋の緊張は特に亢進しやすいため、姿勢の悪さが仙腸関節に由来する痛みの原因となるということも出来ます。
ちなみに、右(左)側を下にして寝た場合に右(左)側の腰が痛む、あぐらで座ると痛みが出るといった症状がある場合は、この仙腸関節に由来する痛みである可能性が高いといえます。
④多裂筋
多裂筋は背骨の両横に頚から腰まで存在する筋肉です。腰の部分では負荷のかかり方が強いこともあり特に太く発達しています。図011
この筋肉は背骨を縦方向に支えるために重要な筋肉であり、背骨の前側にある腹筋群と協同して姿勢を支えています。図012
腹筋群の働きが弱くなると、それを補うために多裂筋が過剰に働きます。この影響により、常にこの背中側の筋肉が凝り固まってしまうという状態が起こります。
大半の腰痛の人は背骨の両横に硬くなった筋肉を触ることが出来ます。この硬い筋肉の内側の部分が多裂筋です。
上述してきたことと重複しますが、この多裂筋は椎間関節の関節包に付着しており、関節包を関節の外側に引っ張ることで関節に挟み込まれるのを防ぎます。また下方では仙腸関節後面にある後仙腸靭帯に付着しています。
つまりこの多裂筋の緊張が亢進して正常に作用しなくなることで、椎間関節由来の痛みや仙腸関節由来の痛みが引き起こされます。
それだけではなく、多裂筋の緊張の亢進自体が直接的な痛みの原因にもなります。この多裂筋は隣の脊柱起立筋と共に、胸腰筋膜という強靭な膜で包まれています。図013 多裂筋の緊張が亢進することにより、この胸腰筋膜の中で筋肉にかかる圧力が上昇します(内圧の亢進)。こうなると、血管が圧迫されて血流が悪くなり、疎血による痛みを感じるようになります。
また、筋肉の内圧が上昇することに伴い、痛みを感じる神経の閾値が低下して、痛みに対して敏感になってしまうということも考えられています。ちょっとした筋肉の内圧の変動や気温の変化でさえも、「痛み」と感じるようになってしまうということです。
繰り返しますが多裂筋の緊張亢進は、椎間関節由来の痛みや仙腸関節由来の痛みの原因となり得ますが、それだけではなく筋肉自体が痛みを感じることもあります。
例えば、心臓は心筋という筋肉で出来ています。心筋梗塞が起こると強い胸痛を感じると言いますが、それは心臓の血管が詰まって心筋に血液が流れなくなるためです。
腰の筋肉でも同じことが起こっていると考えられます。筋肉の緊張により血管が圧迫されて、筋肉に十分な血液が供給されないことが痛みの原因になるということです。
腰痛の場合、心筋梗塞のように急激に血管がつまるわけではないので、急激な痛みの原因にはなりませんが、長期間続く鈍痛・不快感の原因となっている可能性は高いと言えます。
⑤梨状筋:坐骨神経
梨状筋という筋肉が緊張すると、その下を通る坐骨神経を圧迫していわゆる坐骨神経痛が出現します。図014 痛み(痺れ)が現れる場所は、腰・臀部・太ももの後面から足部にまで到る場合もあります。図015
この様に梨状筋の緊張が亢進して坐骨神経が圧迫されて痛みや痺れが出現する状態のことを「梨状筋症候群」といいます。
梨状筋の緊張が亢進する原因として最も関連が深いと考えられているのは、仙腸関節の障害に由来するというものです。
実は仙腸関節の後面と梨状筋は同じ神経に支配されています(L5・S1・S2)。そのため、仙腸関節が障害されることで、反射的に梨状筋の攣縮(れんしゅく)が起こり、筋肉が凝り固まってしまうというのです。
さらに悪いことに、この神経(L5・S1・S2)は多裂筋の下の方の筋肉も支配しているため、多裂筋の攣縮も引き起こして多裂筋を凝り固まらせてしまいます。
[仙腸関節の障害]-[多裂筋の緊張亢進]-[梨状筋の緊張亢進]といった悪循環が起こることにより、痛みの原因の特定が困難になり、また腰痛の症状も複雑となります。そして、なかなか治らずに慢性化してゆくというよくある慢性腰痛の状態が出来上がっていくというわけです。
まとめ
腰痛の代表的な原因部位を5つ紹介しました。この5つの部位は、単独で痛みの原因となるだけではなく、互いに関連して他の部位を障害して痛みを引き起こします。図016
それが原因で痛みの原因部位の特定が困難になります。原因の特定が困難なために治療法の選択も困難になり、腰痛が慢性化する原因となっていると考えられます。
これら5つの痛みの原因部位が互いに関連しているということは、一箇所の障害が他の部位の障害をも引き起こすということですが、反対に一箇所の改善が他の部位の改善にも有効であるということを意味するものでもあります。
ここで挙げた部位の全体的な機能改善と、特に機能が悪化している部位への選択的なアプローチが、慢性腰痛に対しての治療法の王道であるということが出来ると思います。
状態に応じた適切な処置で腰痛や足腰の痛み(坐骨神経痛)は改善されます。
東大阪市内や大阪府内で腰痛や足腰の痛み(坐骨神経痛)でお悩みの方は、一度ご相談ください。
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